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『相棒』シーズン22-15「マッターホルンの殺人」/世文見聞録124
シーズン22も後半戦。下手な予想も数撃ちゃ当たる──川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」であるドラマ『相棒』シリーズについて語ります。
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○『相棒22』第15話(ネタバレ注意!)
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<あらすじ>
サイバーセキュリティ対策本部の土師(松嶋亮太)が、特命係に奇妙な動画を持ち込んでくる。土師いわく、スイスの高山・マッターホルンの山中で“完全犯罪”が行われた証拠映像だという。動画には、「善ちゃん」と名乗る配信者が何者かに襲われ、テント内で息絶える姿が映し出されていた。現場がスイスでは完全に管轄外だが、興味を持った右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とともに独自の捜査を開始する。さっそく、映像から「善ちゃん」が何者かつきとめた右京は、勤め先の芸能プロを訪問。善ちゃんこと善家光明(加治将樹)は、「夢を追う若者を支える仕事に就きたい」と社長に直談判し、6年前から同社で働いていたと分かる。その事務所では現在、ジュニアアイドルグループを売り出し中で、善家はメンバーからも同僚からも慕われていたという。ただ、なぜ急に登山に熱を入れ始めたのかは判然としなかった。そんな中、善家には意外な過去があり、その過去をめぐって一人の少年と深い繋がりがあることが明らかになってくる。
川口世文:「元日スペシャル」の再放送が3月27日に決まった。つまり今シーズンの最終回のあとになる……ということは最終回は甲斐亨関連の話にはならないな。
木暮林太郎:確かに話が関連していたら、意地でも最終回前に再放送しそうだもんな……それはともかく、今回のサブタイトルはものすごい“スケール感”があった。
川口:さすがの『相棒』も、ロンドンを除けば、東南アジア以外で活躍したことがないから、来シーズンは本当にヨーロッパあたりに出張っていってほしいね。
木暮:残念ながら、今回の話は「マッターホルン」でも「殺人」でもなかったからなあ(笑)
川口:その代わり前回に引き続いてチェスが出てきた。
木暮:右京さんが“将棋も”さしたのははじめてかな?
川口:才能ある若者あるいは子供を、良くも悪くも自分の思ったようにコントロールしようとした男の話である点も共通している。
木暮:前回の美術品コレクターと今回の“善ちゃん”が実は同じだっていいたいわけ?
川口:考え方もキャラクターも正反対といっていいけど実はよく似た人物のような気がする。少なくとも、やろうとしたことの発想がどちらもあまりに極端だった。
木暮:まあ、そういう人間が出てくるからこそ、面白い謎が右京さんの前に提示されるわけだからな。
川口:とにかく対照的な2作品をつづけて配置したこと自体が面白かった。『相棒』における“シリーズ構成”のポリシーというものがあるなら、ぜひ聞いてみたい。
木暮:一方で『相棒』はマーチャンダイジングは弱いよな。以前の「ほっぺ丸」とか、今回のダルメシアンジャスパーのブレスレット、早々に商品化すればいいのに。
川口:だったらおれは「イモっ娘」のCDだな。
木暮:本気でそういっているならセンスを疑われるぞ。