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日本公開60周年「0011ナポレオン・ソロ」映画シリーズ第2弾『消された顔』&第3弾『地獄へ道づれ』/世文見聞録156

川口世文と木暮林太郎が、全然思い入れはないけれど、007ファンとしては一度は観ておきたかった「0011ナポレオン・ソロ」映画シリーズを、日本では公開60周年となる第1弾『罠を張れ』から1作ずつ観ていきます。


○第2作『0011ナポレオン・ソロ/消された顔』(ネタバレ注意!)

木暮林太郎:ナポレオン・ソロの“そっくりさん”を作って本人と入れ替えようというアイディアはいかにもな感じだな。本家007でもやっていないだろ?

川口世文:『ロシアより愛をこめて』のプレタイトルでボンドの仮面をかぶった“そっくりさん”が出てきて殺されるけど、ここまで本格的なものじゃなかった。

木暮:実際問題、見かけはそっくりでも、完璧にソロに化けて行動するのは難しいよな。ドラマっぽい発想だ。

川口:ずっとロバート・ヴォーンが画面には出ているんだけど、今回もソロ本人は“背景”にいる印象になる。

木暮:しかも「暗躍」もせず敵に“捕まった”ままだ。

川口:ようやく「スラッシュ」という組織が登場する。

木暮:記号の「/」じゃなくて「つぐみ」の意味なんだって? 前回の「ワスプ」のほうが何だか強そうだな。

川口:センタ・バーガー演じる「スラッシュ」の女性エージェント・サリーナとソロの関係が絶妙だった。甘いというか緩いというべきか、ルパンと不二子みたいな感じで、少なくともボンド映画では絶対に起きない感じ。

木暮:別にレギュラーというわけでもないんだろ? 本家でやらないといえば「8月作戦」の中身もそうだ。

川口:いまいちよくわからなかったな。「保管庫」の鍵のコードを毎年8月に更新するんだけど、それを三つに分けたり、一つのケースにまとめたり。しかも飛行機内で「偽者」にあっさり写真に撮られちゃうし。

木暮:そんなことより「保管庫」の中身が問題だろ? 宇宙から送られてきた謎の「パワー」って何だよ?(笑)

川口:きっと本家ではやらないことをやろうっていうのが全体のコンセプトだったんだ。ソロたち4人の監視役が「0013キットリッジ」というのも興味深かった。

木暮:キットリッジ? あの『ミッション:インポッシブル』の……いくらなんでもそんな関連性はないだろ?

○第3作『0011ナポレオン・ソロ/地獄へ道づれ』(ネタバレ注意!)

川口世文:脚本のディーン・ハーグローヴは『刑事コロンボ』でよく聞く名前だし、監督のジョセフ・サージェントはのちに『サブウェイ・パニック』を撮っている。

木暮林太郎:シリーズでいちばん上映時間が長いし、何だか期待が持てそうではあったんだけど……。

川口:今回の敵は組織ではなくて個人。しかも「アレクサンダー大王」の生まれ変わりを自認しているパラノイア型の敵であるところは『ゴールドフィンガー』っぽくもある。禿げ頭の手強てごわそうな手下は『オクトパシー』のゴビンダみたいだし、考古学者は『美しき獲物たち』のモートナー博士を思い出した。

木暮:細かいキャラはよく知らないけど、ボンドがスペクターという組織と戦った『ロシアより愛をこめて』より『ゴールドフィンガー』寄りの作品だってことだな。

川口:偶然そうなったとは思うけどね。「人間チェス」で最初の勝負をするところとか、ラストのプロペラ機内の戦いなどはかなり意識的にやっているような気もする。

木暮:でも、そこに彼から100万ドルの財産を取り返そうとする離婚調停中の妻──しかも名前が「トレーシー」──が出てくるところがナポレオン・ソロらしい。

川口:アレクサンダー本人も“十戒”に基づいて犯罪を実行していくし、考古学者は捕まえたイリヤを生きたままミイラにしようとするし、なかなかの暴走ぶり(笑)

木暮:暗殺されそうになる東南アジア某国の「シンモク大統領」を島田テルが演じていたよね?──『007は二度死ぬ』で“大里社長”をやっていた人だ。

川口:よく気がついたな……それにしても、冒頭でわざわざ米軍基地から盗んだ“意志喪失ガス”BG30が最後まで使われないという展開には驚かされたよ。

木暮:きっとその“意志喪失ガス”はうっかり脚本家が吸ってしまったんだよ(笑)


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