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『相棒』シーズン22-20「トレードオフ~AI右京の完全推理」/世文見聞録129
シーズン22も最終回。下手な予想も数撃ちゃ当たる──川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」であるドラマ『相棒』シリーズについて語ります。
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○『相棒22』第20話(ネタバレ注意!)
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<あらすじ>
「警視庁の名探偵」を名乗る右京(水谷豊)が、一連の事件の黒幕は、武智内閣官房長官(金田明夫)に違いないと断言した動画が拡散され、波紋を呼んでいた。右京自身は「身に覚えがない」と否認していたが、警視庁上層部から謹慎を言い渡されてしまう。薫(寺脇康文)は、右京の潔白を証明しようと奔走するが、状況が好転する気配すらなかった。そうこうするうち、殺害されたプロデューサーのスマホに、下川元法務大臣(黒谷友香)からの着信履歴が残っていたことが判明。警察は下川に疑惑の目を向ける。いっぽう、下川が指揮権を発動したことで梯子を外された特捜部長の尾上 (甲本雅裕)は、左遷の憂き目に遭っていた。そんな中、“謹慎中”の右京は、政治学者襲撃事件を起こして拘留中の少年にアプローチし、背後関係に迫ろうとしていた。同じ頃、薫は驚きの情報を耳にしていた。それぞれの思惑が交錯する中、一連の事件の核心に迫る“右京の動画”が再び発信される。
川口世文:今回のサブタイトルはギリギリまで「~AI右京の完全推理」の部分が発表されていなかった。
木暮林太郎:制作側の“迷い”が感じられたね。結局“AI右京”が推理したわけでもなかったし──。
川口:仮に水谷豊が亡くなっていて、最終話全体が生成系AIで作られていましたというなら納得するけどね。
木暮:そんなバカな(笑)……「トレードオフ」は“交換殺人”の意味だったと考えていいのか?
川口:そういうことになるのかな? あるいは今回の新官房長官の人の操り方の基本がトレードオフだったか。
木暮:出世と“引き換え”に右京と社美彌子を陥れろって持ち掛けたわけか?
川口:そうだね。『科捜研の女』では刑事部長を演じている金田明夫をキャスティングしたのに、実にあっさり退場してしまったから、人となりがわからなかった。
木暮:カラオケ好きで日本刀が趣味だけじゃ物足りないか? それをいうなら彼だけじゃなくて、元法務大臣も元特捜部長もキャラクターとしてはもったいなかった。
川口:もったいないといえば「名探偵“右京”」もね。
木暮:「コナンの友達か?」って子供に訊かれたり、ホームズの格好をしたり、謹慎という名の単独行動をしたり……あれはあれで面白かった。
川口:杉下右京の名前が全国に知れ渡っている状況で話が進むというのも新鮮だ。話の冒頭の追い詰められ方は、『日曜劇場』だったらきっと第1話でやっているぞ。
木暮:そのまま1クールぐらいつづけてもそれはそれで面白かっただろう──『逃亡者杉下右京』的な感じで。
川口:それができないのが『相棒』だけどね。
木暮:“再放送”のことも考えないといけないからな。
川口:とにもかくにも“二桁視聴率”は確保したようだけど、いよいよ次ですべてに“決着”がつくのかな?
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