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『ダーティハリー5』/世文見聞録100【5部作映画談】
「世文見聞録」シーズン2。おなじみ川口世文と木暮林太郎が『午後のロードショー』での「ダーティハリー」シリーズ全作連続放送に気をよくして、1作ずつ語っていきます。
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○『ダーティハリー5』について(ネタバレ注意!)
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木暮林太郎:そもそもあの「死亡賭博」って、どういうルールなんだろう? 仲間内だけで賭けているんだから、誰かが対象人物を殺そうなんて発想はそもそも出ないはずじゃないの?
川口世文:数年単位でじっくり楽しむ賭けだったんじゃないか? そういうところをもっと詳しく説明してほしかったよな。ピーター・スワンの過去作についても、もうちょっと教えてくれれば、ある種の「見立て殺人」として楽しめたんだけど。
木暮:なんせ上映時間90分だからね。必要な情報しか与えない。そのへんがいかにも80年代の映画らしい。
川口:すでにビデオの時代で、マスコミ批判に、ストーカー犯罪がテーマ。時代の変化が感じ取れる。
木暮:多少年を取ったとはいえ、キャラハンのキャラが変わらないことが、逆に面白い効果を上げているな。珍しく今回はサン・クエンティン刑務所送りにできたギャングに対する脅しが効きすぎちゃって、逆にハリーにボディガードがつけられる展開には笑った。
川口:ジム・キャリーとリーアム・ニーソンが出演していることでも有名だけど、リーアム・ニーソンが主演でリメイクはありえないかな?
木暮:今更、リーアム=ハリーか? アクション俳優として“修行”は積んできたけど……それはどうかな?
川口:最近じゃ、フィリップ・マーロウも演じてるし、そもそもキャラハンは“アイルランド系”だし……。
木暮:なるほど……まあ、10年前だったら、しかもイーストウッドがこんなに長く“現役”じゃなかったら、どこかでそういう企画がなくはなかったかもね。
川口:それにしても、ハリーを警察のイメージアップに使おうっていうんだから時代も変わったよな? ハリーが表紙になったあの“雑誌”を読んでみたかった(笑)
木暮:“間抜けな市警察本部”という意味では何も変わっていないように思うんだけどなぁ……。
川口:中国系の相棒クワンも“お祖父ちゃん”の言いつけをしっかり守って“生き残る”し。
木暮:彼を演じたのがジャッキー・チェンだったら面白かったのに。明らかにそんなイメージの役者だったぞ。
川口:それはどうだろう? イーストウッドの“二大俳優共演映画”はどれもあまりパッとしなかったからな。
木暮:中盤のラジコンカーチェイスは、今ならドローンを使いそうだな?
川口:車から降りて、とっとと撃っちゃえばよかった。
木暮:それをいっちゃおしまいだよ(笑)。それよりラストでM29を奪われてからの展開だ──問題なのは!
川口:こっちは「何発撃ったか」をしっかり数える癖がついちゃっているからな。
木暮:ハリーも相手が弾を撃ち尽くしたことをわかっている……にもかかわらず、あの仕打ち。
川口:「分裂症」という言葉が使われて、法律上「措置入院」させられなかったこともわかっているだけに、あれは今なら完全にアウトだね。
木暮:何というか、このシリーズの“文脈”的にもアウトだとしかいいようがない。
川口:どうすればよかったんだろう? 犯人に1作目のハリーと同じセリフをいわせるとか? あるいは引き金を引けとハリーが挑発するとか?
木暮:いずれにしても、前作だって真犯人を“殺さなかった”んだから、“撃たない”というのが正解だろう。
川口:でも、それじゃあ、観客は納得しない。
木暮:今度こそ“過剰防衛”で警察をクビになるオチがついたら、ある意味もっとも皮肉な結末だったかもな。
川口:その結果、ハリーが“私立探偵”になる新シリーズが開幕したなら、それはそれでありだったんだけど。
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