
TokyoCamp コンパクトバーナー 'Azuchi' 開発秘話
こんにちは。
TokyoCamp プロダクトデザイナーの長澤創です。
今回はTokyoCampのコンパクトバーナー'Azuchi'の開発秘話についてご紹介します。
私たちは新たな挑戦を始めました。
現状の製品では満足できず、「理想的なコンパクトバーナー」がないことに気づきました。
もっと使いやすく、安全で、かつ美しいデザインの道具が必要だと感じたのです。
その思いから、私たちは「Azuchi」を開発することを決意し、完成されたバーナーを作り上げるという新たな挑戦を始めました。
この挑戦は、まるで織田信長が数々の不可能を打破したように、私たちも小さな企業でありながら、世界でも非常に厳しいとされるJIAの適合性検査に合格しなければならないという難題に挑むことを意味します。
JIAによる適合性検査は、安全性や耐久性に関する非常に高い基準が求められ、合格すること自体が大きな壁となります。
これを突破することが、私たちにとって大きな挑戦であり、夢の実現に向けた第一歩です。
JIAのPSLPGマーク(日本ガス機器検査協会が発行する「液化石油ガス器具等の適合性検査基準合格マーク」)を取得するための適合性検査基準は非常に厳しいとされています。
1. 安全性に関する厳格な基準
耐久性試験:使用中の故障リスクを低減するため、繰り返し使用や長期間の使用による部品の劣化を評価。
燃焼試験:火力の安定性、完全燃焼状態の維持を確認。すすや一酸化炭素の発生を防ぐ設計が必須。
火災リスク低減:過熱やガス漏れが起こりにくい構造の確認。
2. 機能性に関する詳細なチェック
点火性能: 点火がスムーズかつ確実であること。複数条件(温度、湿度、風)下での検証。
ガス供給の安定性: ガス供給が一定で、不安定な火力やガス漏れが起こらない設計が求められる。
3. 法規制および環境への配慮
法令適合: 液化石油ガス法および関連規則に完全に準拠。
環境配慮: 排ガス基準やエネルギー効率の要件を満たす設計。
4. 工場の品質管理体制
製造プロセスの監査: 製品ごとの品質のばらつきを防ぐため、工場の製造管理や品質保証システムの検査も含まれる。
ランダム検査: 製品出荷時にランダムな検査が実施され、基準を満たさない場合は認証取り消しの可能性も。
5. 定期的な認証更新取得後も、認証を維持するために定期的な試験や工場監査が義務付けられる。
取得の難しさ
これらの基準は製品設計・製造技術・品質管理体制のすべてにおいて高水準を求めるため、小規模メーカーや新製品にとって取得のハードルが高いと言われています。特に「安定した燃焼性能」と「安全設計の信頼性」が認証取得の大きな障壁です。
「Azuchi」がこれらの基準を満たした場合、それ自体が製品の品質と安全性の高さを証明します。
何度も壁にぶつかり、諦めかけたこともありましたが、時が経っても心の中には、消えぬ炎が宿っていました。
ルーツは福島
プロダクトデザイナーである私のルーツは福島にあります。
3.11を経験し、多くの人が防災の重要性を改めて認識しました。
防災は、単なる”準備”ではなく、私たち日本人の生活における大切な要素の一つであると考えます。
コンパクトバーナーは、アウトドアシーンをさらに豊かにし、いざという時の備えにもなる、頼れるパートナーです。
この製品を通じて、少しでも多くの人々の役に立ちたいという思いが、私たちの原動力となっています。
信長は自らの信念を貫き、夢を追い求め、仲間たちと共に数々の難局を乗り越えました。
私たちも困難を乗り越えることで、理想の製品を実現しようとしています。手を差し伸べてくれる企業とのご縁を得たとき、希望の光が見えたのです。
そして、誰もが知る製品を手がけた名デザイナーが、私たちの製品作りに加わってくれることになりました。
仲間たちと共に、数えきれない挑戦と失敗を乗り越え、数多の支援を受けながら、私たちの夢が少しずつ形になっていきます、何度も試作を繰り返した結果、ようやく完成したコンパクトバーナーです。
私たちは再びJIAの適合性検査をクリアすべく挑戦を続けています。
名は「Azuchi」
このバーナーには「Azuchi」という名を付けました。
安土城の堅牢さと美しさに感銘を受け、私たちのバーナーにもその精神を込めています。
「Azuchi」は、ただのバーナーではありません。
それは、夢を追い求める情熱の象徴であり、私たちの強い想いを反映し、独自の美しさと力強さを兼ね備えた存在です。
このバーナーを手にすることで、使う人々が新たな冒険に踏み出すきっかけとなり、有事の際にも頼りになるパートナーとなることを信じています。
どうぞよろしくお願いいたします。
発売情報はTokyoCamp Azuchi 公式LINEから