ブラオケ的名曲名盤紹介〜マニアックな世界へようこそ…〜 #8「奏でるオーボエ曲」
今回 オーボエが活躍する吹奏楽の名曲として紹介するのは、松田彬人氏作曲 黒田賢一氏編曲「リズと青い鳥」です。
■はじめに
この楽曲は映画『リズと青い鳥』の劇中曲で、全4楽章からなる吹奏楽曲です。(映画のために書きおろされたそうです。)
映画『リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品で、『響け!ユーフォニアム』同様 吹奏楽部に所属する高校生にフォーカスを当てた作品です。映画の主役がオーボエを担当しているということもあり、当楽曲はオーボエが大いに活躍しています。
■楽曲紹介
当楽曲は映画内の架空の童話【リズと青い鳥】をモチーフにしているため、まずは童話のあらすじを以下に記載します。
舞台の幕開け。一人で森に住んでいる少女リズは青い鳥と出会う:一楽章に相当
↓
森を嵐が襲う。嵐が開けた朝、女の子がリズの家の前で倒れている。
リズと女の子は仲良く暮らすようになる
:二楽章に相当
↓
リズ、女の子が青い鳥であると気づき、
愛ゆえに女の子に別れを告げる:三楽章に相当
↓
大団円:四楽章に相当
楽曲では少女リズと青い鳥の出会いから別れが描かれています。
(カギカッコ内は公式の副題です)
一楽章「ありふれた日々」
新しい出会いを予期させるような、明るいはつらつとした音楽です。
途中、憂いをおびた三楽章のメインフレーズがでてきますがここでおそらくリズは青い鳥と出会いました。
二楽章「新しい家族」
嵐の夜から始まります。
忍び寄る低音とウィンドマシーンで嵐が表現されております。
嵐が過ぎ去ったあとは、二人のウキウキ同居生活。少し陰りを見せながら曲は静かに終結します。
三楽章「愛ゆえの決断」
白眉。オーボエの伸びやかな美しい音色を思う存分に味わえます。
『響け!ユーフォニアム』および『リズと青い鳥』という作品がなければこの楽曲は生まれなかったと思うと、どこにも足を向けて寝られません。
映画の劇中曲としては主に当楽章がフューチャーされたカット版が使用されています。
別れの悲しみが感じられる切々とした音楽です。
オーボエのソロから始まり、フルートと呼応しながら進行し やがて転調します。
オーボエとフルートを主体とした旋律のあとは開けた明るい雰囲気に展開されます。
その後、今度は躍動感を持ったオーボエのソロが続きます。鳥の本領発揮といったところです。
最後は鳥がそっと飛び立つようなオーボエのソロで締めくくられます。
四楽章「遠き空へ」
冒頭の静かな打楽器に時の経過を感じます。
クラリネットやユーフォニアムで奏でられる温かな旋律は音の厚みを増しながら次第に盛り上がりを見せます。
途中ところどころ聞こえるオーボエは今は遠く離れた青い鳥を思わせます。
その後、日の出のような金管楽器の華やかなファンファーレ、その上空を誇らしげに飛行するオーボエが美しい!
最後は一気にフィナーレまで駆け抜けます。
■おわりに
映画の紹介は割愛しましたが、映画『リズと青い鳥』も傑作です。
学生たちの張り詰めた心情が繊細に丁寧に表現されております。
牛尾憲輔氏が作曲している劇伴も素敵です。
何より主役の吹き替え?を担当されているオーボエ奏者の音色が素晴らしいです!!甘くてロマンチックそれでいて物悲しい…これぞオーボエの醍醐味…ビブラートは水紋のように自然でタンギングやブレスの音もなんだか泣けてきます。
是非、機会がありましたら全楽章通してお聞きください。