夜の河原で
最近は暖かくなってきて、夜のお散歩も
気持ちいいですね。
そんな春の日の、夜の始まり頃の時間。
一人は大量の炭が入ったバックパックを、一人はたくさんの木の入った麻袋を、一人はタライを担いで歩いている。
先頭と最後を歩く2人のヘッドライトが足元を照らす中、暗闇に足を取られないように、土手を下っていく。
え、なに、この状況…!?
完全に不審者感しかない。
ねぇ、なに、この状況!?
前回の失敗で、「今度こそ煮沸を成功させねば!」
と焦った私たちは、
アウトドアが得意な別の師匠の「河原に石組んで炭で火を起こせば?」
作戦に挑戦することにしたのでした。
実に3度目の正直。
今日こそは絶対に成功しなければ。
アウトドア師匠は手際よく石を組み、炭で火を起こしていく。
旅の音楽家とアクセサリー作家は煮沸前に流木を磨く下準備をする。
BGMの元ちとせと煙がしみる…
でも手は止めない。
次々と流木を磨き、師匠は火に薪をくべている。
時々薪にする小枝を拾ったりしながら、それぞれの作業を進める。
そう、今回こそは絶対に成功しなければ。
新商品のリリース日は決まっているし、二回の失敗は大きな遅れだ。
お湯が沸いた
焦る気持ちとは裏腹に、思いの外早く師匠から声がかかった。
「沸いたよ」
作業開始から1時間ほどした頃だろうか?
あ!沸いてるー!!!
歓喜の3人。
ヘッドライトが揺れる。もはや湯が湧いただけで小躍りだ。
磨き作業を終えたほぼ全ての流木が、直径60cmのタライに収まった。
あ、ドラム缶じゃなくてもいけたんだね。あはは。
さて、ここからはグツグツ煮出すだけ。
持ってきた食材をおもむろに取り出す旅の音楽家。
やたらとアウトドア慣れしているミュージシャンと一緒にいると、時々ここは何処なんだろうと思う時がある。
窯をちょっと延長して網を乗せ、
用意していたウナギの蒲焼き、ソーセージなどを焼いて、なんならウイスキーとか飲んじゃって、完全にキャンプを楽しんでいる。
小さなバーナーでお湯を沸かして飲むコーヒーも最高だった。
ティファールじゃなくてもお湯は沸く。
そして河原で肉を焼き酒を飲む、という原始的なパーティが、とっても幸せな気持ちにさせてくれるということ。
そんなことをしみじみと感じながら、
深夜の河原を後にしたのでした。
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Aromariage 鷲尾直美
お花、旅、音楽、の日々つれづれコラムです。
アクセサリーデザイナーと旅の音楽家という女性2人によるインテリアブランド「TOKYO BENZAITEN by studio iota label」と申します。
流木やドライフラワーなどボタニカル素材を使用したインテリアを企画・販売し、アウトドアライフを送ってます。