ここから、未来の東京がはじまる----「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に「SusHi Tech Tokyo」がブース出展<前編>
東京ベイeSGパートナー各社の最先端技術が
「SusHi Tech Tokyo」ブースに集結
東京ビッグサイトで開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」(2023年10月28日〜11月5日開催)。およそ70年続いた「東京モーターショー」が名称とコンセプトを変え、新たに最先端テクノロジーを駆使した未来の生活が体感できるイベントとして生まれ変わりました。
出展者数は455社、13日間の来場者数は1,112,000人。自動車産業の枠を超えた未来を感じさせる展示の数々に、多くの来場者が驚きと感嘆の声を上げました。中でも、自動運転技術や有人ドローン、空飛ぶクルマなど、最先端の次世代モビリティに多くの関心が集まっていました。
各メディアでも大きな話題となったこのイベントに、東京都は「SusHi Tech Tokyo(スシテック東京)」のブースを出展。ブースでは「東京ベイeSGパートナー」の各企業が、独自の最先端技術をパネルや映像、実物や模型などを用いて展示。環境問題や災害対策などの切迫した課題に対して、人と技術に何ができるのかをテーマに、各企業が独自の技術やユニークなアイデアをわかりやすく紹介しました。さまざまな課題解決への可能性を示した展示に、来場者は足を止め、各企業の説明を興味深く聞いていました。
また、今回は、東京都が2024年4月から5月にかけてベイエリアで開催するイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」をPRする貴重な機会にもなりました。
ここでは、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に出展した「SusHi Tech Tokyo」のブースから、各企業の展示の様子をまとめてレポートします。
−空気で膨らむ“やさしい”モビリティ
株式会社メルカリ
フリマアプリのメルカリの研究開発機関mercari R4Dと東京大学川原圭博研 究室との共同研究によって生まれた電動モビリティ「poimo(ポイモ)」。空気圧で膨らむ風船のようなインフレータブル構造によって自由な形にカスタムでき、普段は折りたたんでコンパクトにすることも可能です。
海外のテックイベントでも好評を博し、車椅子を利用する障がい者やシニアの安全で快適な新たな移動手段としての活用も期待され、社会実装に向けた設計改良や実証が進められています。
−広域・長距離飛行を実現した「垂直離着陸型固定翼ドローン」
エアロセンス株式会社
自社開発と国内生産に特化したドローンとクラウドサービスを提供するエアロセンス株式会社。同社が開発した「エアロボウイング」は、広域・長距離飛行を実現した国内初の「垂直離着陸型固定翼ドローン」です。
翼を固定した状態で最大50kmの長距離飛行が可能となり、最高速度100km/hの高速飛行によって、山間部の点検や海域の巡視、河川の調査飛行など、広域・長距離飛行が求められるシーンで活用されています。さらに、こうした特性を活かして緊急時や災害時の医療品輸送などにも利用可能。独自開発のフライトコントローラと内臓コンピュータの統合により、離陸から着陸まで全自動で飛行が行なえるのも特徴です。
−変形ロボット玩具から着想を得た電動式の「タタメルバイク」
株式会社ICOMA
株式会社ICOMAが手掛けるのは、日本の変形ロボット玩具から着想した折りたたみ式の電動バイク「タタメルバイク」。折りたたむと小さな箱型になるデザインは駐車スペースが限られた日本の住環境にマッチし、室内やオフィスなどにも簡単に運び込むことができます。
今後は、防災用のポータブル電源や側面パネルを活用したデジタルサイネージ、太陽光パネルによる自家発電など、従来のバイクにはなかった多様な機能を盛り込むことも想定しています。
−モビリティのセキュリティを確保する次世代認証アクセス制限活用サービス
株式会社ラック
株式会社ラックは、サイバーセキュリティとシステムインテグレーションの豊富な経験と最新技術で、社会や事業の様々な課題を解決するサービスを提供しています。
街全体を見守る総合的なセキュリティ・セーフティサービスにも力を入れており、IoTによって高度化・複雑化するモビリティの運用に対して次世代認証を取り入れた新たなアクセス制限活用サービスを開発しています。
アクセス制限活用サービスとは、ドローンなどのモビリティを利用する際、事前にエリアや距離をアクセス許可条件として登録することで、利用者(運転者)がその許可条件に合致するかどうかをチェックする仕組みです。さらに位置情報を送信することで、登録されている地点からのアクセスのみを可能にするなど、安心・安全な遠隔操作を行なうことが可能になります。今後はドローンやレンタルバイクでの活用のほか、高齢者施設の入出管理システムなどでの活用も考えているといいます。
−見えない光でも発電する世界初の無色透明ガラス
inQs株式会社
身近な素材から新たな可能性を見出す製品づくりを行うinQs株式会社。同社は、赤外線や紫外線などの見えない光でも発電できる物質を用いた「光発電素子」を世界で初めて開発しました。この光発電素子によって生まれた無色透明発電ガラス「SQPV GLASS(エスキューピーブイガラス)」は、可視光透過率70%以上、可視光を通しながら広範囲の光を吸収して発電します。
ガラス両面からの受光による発電が可能で、発電と遮熱効果によって創エネと省エネを実現。建物や自動車の窓、外壁などにも設置が可能です。また、太陽光だけでなく屋内照明でも発電でき、蓄電しておくことで非常用電源としても利用できます。発電部には、Cd、Pb等の有害物質は使用していません。
次回へ続く
(文・さくらい伸)