SQLにおける再帰関数(再帰CTE)の活用方法

SQLにおける再帰関数(再帰CTE)の活用方法1. 再帰SQLとは?

再帰SQL(Common Table Expression:CTEを使用した再帰クエリ)とは、 自身を繰り返し参照しながらデータを取得するSQLの手法です。 通常、階層構造のデータ(組織ツリー、カテゴリ構造、経路探索など)を扱う際に用いられます。

2. 再帰SQLを使うべきシーン

✅ 階層構造を持つデータを取得するとき

  • 例:会社の組織ツリー、フォルダの階層構造、カテゴリー分類

✅ グラフ構造のデータを探索するとき

  • 例:最短経路の探索、ネットワーク構造の解析

✅ 繰り返し計算が必要なとき

  • 例:フィボナッチ数列、階乗計算

3. なぜエクセルでは簡単にできるのにSQLでは再帰SQLが必要なのか?

Excelでは、セルの参照を用いて簡単に階層データを処理できます。 例えば、VLOOKUP や INDEX+MATCH 関数を使うことで、 上位のデータをたどったり、必要な情報を取得できます。

しかし、SQLではデータが表形式(リレーショナルデータベース)で管理され、 セルの直接参照のような機能がない ため、 ツリー構造をたどるためには明示的な自己結合や再帰処理が必要になります。

また、Excelではドラッグ操作によって簡単に計算を適用できますが、 SQLではすべての行に適用するためのクエリを書く必要があります。 そのため、再帰SQLを使わないと複雑なデータ探索ができないのです。

4. 再帰SQLの基本構造

再帰CTEは以下のような構造になります。

WITH RECURSIVE 再帰CTE名 (カラム1, カラム2, …) AS (
    -- アンカー部(最初の結果を取得)
    初期SELECT文
    UNION ALL
    -- 再帰部(自己結合によって次のレベルを取得)
    再帰SELECT文(CTEを自己参照)
)
SELECT * FROM 再帰CTE名;

5. 具体的な例(階層構造のデータ取得)

🏢 組織ツリーの取得

会社の従業員テーブル employees が以下のような構造だとします。

このデータを使って、社長からの組織ツリーを再帰SQLで取得します。

WITH RECURSIVE employee_hierarchy AS (
    -- アンカー部(最上位の社長を取得)
    SELECT id, name, manager_id, 1 AS level
    FROM employees
    WHERE manager_id IS NULL
    
    UNION ALL
    
    -- 再帰部(上位のIDをキーにして部下を取得)
    SELECT e.id, e.name, e.manager_id, eh.level + 1
    FROM employees e
    INNER JOIN employee_hierarchy eh ON e.manager_id = eh.id
)
SELECT * FROM employee_hierarchy;


6. パフォーマンスの注意点と最適化

🔹 無限ループに注意!

  • WHERE で終了条件を厳密に設定する。

  • OPTION (MAXRECURSION n) を使って再帰回数の上限を設定する(SQL Server)。

🔹 インデックスの活用

  • manager_id カラムにインデックスを貼るとパフォーマンスが向上する。

🔹 UNION ALL を使う

  • UNION ではなく UNION ALL を使用すると、重複排除のコストを削減できる。


🎯 まとめ

✅ 再帰SQLは階層構造やグラフ探索に最適!
✅ WITH RECURSIVE を使ってデータを繰り返し取得
無限ループ対策とパフォーマンス最適化が重要!
Excelと違い、SQLではセル参照ができないため再帰CTEが必要!

これで、SQLの再帰関数(再帰CTE)を活用する方法がバッチリ分かるはずです!💡


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