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引き算の美学〜ブルーナ絵本展@銀座松屋(8/30まで)
ミッフィーの作者で知られるディック・ブルーナの絵本にスポットを当てた展覧会。1953年に初めて出版して以来、実に120冊の絵本を世に出しました。ミッフィー以外にも、ポピー、くんくん、ボリスとさまざまなキャラクター、そして、みんなが知ってる、しらゆきひめ、あかずきんなど昔話、今までに見なかった絵本も展示されてます。
一見デジタル画にさえ見えてしまうシンプルな描線ですが、一本一本時間をかけて手書きしてます。厳密には下書きにピンで穴を開けた下書きをなぞるので、迷いのない印刷のような絵が出来上がります。ただ、印刷と違うところは、そのびびり線。手書き故に唯一無二のこの描線が、絵に温かみを与えてると思います。
また、構図も秀逸です。何十枚のスケッチを重ねて、これしかない構図を決定します。構図次第で、無表情なキャラクターに動きが見えてくるところもギャップ萌えですし、絵本という枚数が限られた最小限の枚数で、動きを表現しなくてはいけないところは、足し算ではなく引き算の美学かも。
当初4色から始まった配色も、途中で2色増えたもののメインカラーを6色に抑えています。幼児向けの絵本で、知覚できる色は少ないという前提もあり、色数を抑えているのもあるのですが、色を増えると絵が説明的になってしまい、想像する領域が狭まってしまいます。そのあたりが、大人にも人気があるシンプルさにも繋がっていると思いました。
表情も微妙なので、昔話シリーズの悪いキャラクターが悪く見えないというデメリットもありますが、それも含めてブルーナ流でもあるのかなと思いつつ帰り道考えてました。
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