CNNの英語検定を受けてみた
コロナウィルスの中、そうは言ってもと、オフィスに出かけた。比較的広いオフィスなので、気のせいか、皆、軽く「濃厚接触」(しかし品のない響きだ)にあたらない距離に分かれて作業をしているような気がする。
在宅勤務を奨励したせいもあるのだろう。
なんとなく作業のピッチも緩やかになった気もする。
昼時になったので、PCで新聞を眺めた。ウェブのテキストを読む前に、紙面を一覧するのが習慣だ。紙面を一覧する理由は、広告を見るためだ。特に、書籍広告。
CNN英語検定という広告が目についた。無料で受けられると。
https://www.asahipress.com/special/eigo_kentei/
なんか気になったので、受けてみることにした。
CNNのニュースを使って、Multiple Choiceや穴埋め問題を100問解くという話だ。
昔はTOEFLとか受けにいった記憶もあるが、検定嫌いなもので、英検などというものとはとんと無縁な生活を過ごしてきた。
自分の英語は職場で学んだり、読書で作り上げた英語力だ。
海外にいた時に、外国人の仲の良い弁護士が、笑いながら、君の話す英語は、書き言葉のようだと言った。どういう意味か、すんなりとわからなかったので、ムッとした顔をした僕に、「褒めてるんだよ」とあわてて彼は言った。曰く、使う単語がしっかりとしたものだから、Fluentでなくても、Respectは得られるはずだと。
多分、イジリと、努力への敬意が半ばするというあたりが真実だったのだと思う。
英語が得意な日本人の上司からは、「お前の英語はマサカリ英語だな」と言われた。ザクザク切って、短いセンテンスを繰り出すという意味らしく、これはイジリが80%ぐらいの比率だった。
何を言いたかったかというと、僕は、現場での英語能力への(根拠なき)現場力に支えられてきたので、それを、第三者の目でテストされるということへの嫌悪感(性格には不安感)があったということだ。そのせいで、まともな英語検定試験など受けたことがなかったのである。
そんなもの本当に実務に役に立つのかという意識が強かったのだ。
そういう意味で、今回、うっかり受けてみたCNN英語検定がどの程度優れたものなのかを客観的に評価する能力はない。
始めてみると、限られた時間内で、時間の経過が PCの画面の上の方でカチカチ言っているという、極めて圧迫感のあるテストだった。
教材は、CNNのニュース。
ニュースを聞いたあとに、テキストの中の空欄を埋めるとか、内容についての質問に答えるとかいうリスニングのテストが半分ぐらい。後半は、長文を読んで、いくつかの質問に答えるという読解テスト。
実際、題材は、普通にネイティブのそこそこ学歴の高い層が聞いているニュースなので、案外大変だった。Multiple Choiceなので、リスニングの時に、質問と答えを眺めながら聞けばいいとかいう試験対策的なことはできそうだが、まあまあ大変だった。
読むという方は数十年、英語の文章を大量に読む仕事をしてきているので、読解力的には、アメリカ人の中の下ぐらいの力はあるような気がしている。
しかしリスニングは、数多くの新しい移民を数にいれてようやく下の上ぐらいかなと勝手に思っていた。実際リスニングではNon-NativeはどこまでいってもNativeの50%ぐらいにしかならないという諦観がある。
PodcastやAudibleによって生の英語に触れることのできる機会は指数級数的に増加はしているのだが、それをずっと聞きっぱなしたところで、Nativeたちの効くPodcast Showについていけるわけではない。
話す方は、自分の書ける英語が、自分の話せる英語と直結している。それが流暢かどうかはともかく、自分の考えていることを伝えることの方が、相手が伝えたいことを理解するよりははるかにハードルが低い。
実際、海外との社内通信の主な部分は、メールやメッセンジャーによるチャットである。その意味では、デジタル時代の海外コミュニケーションの基本は筆談であるともいえる。筆談を声に出して読み上げれば、それなりの会話になる。
CNN英語検定の前半では、Multiple Choiceという手がかりはあるものの、もっとも弱いリスニング力が試され、後半は、読む力が試された。
ストップウォッチの圧迫を受けながら(試験に伴う嫌な記憶に少々イラつきながら)テストを終了し、さっさと採点ボタンを押した。
72/100だった。
正解比率は後半の方が前半より高かった。これも想定の範囲だった。
しかし数十年英語を使う仕事をしてきて72点というのはどうなんだろう。点数に対する評価は一切書かれていなかった。
よくできました、もう少し頑張りましょうとまでは言わぬが、数字だけ言われてもなあという気分が残った。
これを中の上と見るか、中の下とみるか。
という謎を残しつつも、CNN英語検定というのが確かにNative Speakerが日々触れる英語を題材としているというところは普通に評価できることなのかなあと思った。
でもストップウォッチに追われて、英語を聞いたり、読んだりするというのは、少なくとも、今の僕には無意味だし、他の誰かに、格別の意味があるとも思えないなというのが結論だった。
進学とか留学とか就職とかいうことのためという目的がある人にはまだ切実な問題なのかもしれないが、それは、英語で読んだり、書いたり、話したりする力がつくというものとはちょっと次元の違うもののような気がする。
週末はMediumでEvan Williamsに関するコラムを検索して、Slow Readingすることにしようっと。