取るに足らない不幸
今日は何の取り柄もない1日だった。
朝には不本意な相手から不本意な手紙が届いた。僕はまずそれを素早く一度読んだ。そしてそれから一文字ずつ注意深く目を通し、合計で12回読んだ後、力の限り握りつぶし、勢いよくゴミ箱に放り込んだ。
次は昼過ぎに洗濯物を干している時に不注意で植木鉢をひっくり返し、床を土まみれにした。せめてもの償いとして片付けるついでに床を磨いた。
それから気分でも変えようと飲みに出かけたら目当ての店が2軒連続で臨時休業だった。
そして挙げ句の果てにはネットで取り置きしておいたスニーカーを取りに行くと、手違いで違うサイズが確保されており、マイサイズはすでに完売していた。店員は悪びれることもなく、顔には「そんなものね」という表情を浮かべていた。なので僕も仕方なく「そんなものね」と思うことにした。
この程度の不幸なんて2週間もすれば忘れているくらいのものだけれど、なんと言ってもこの全ては今日起こったのだ。そして今日という1日はまだ終わっていない。
取るに足らない不幸の積み重なり。
その集積を人は人生と呼ぶ。