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奥多摩に再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)を開設

 東京都交通局では昭和32年以降、多摩川の流水を活用して発電した電気を小売電気事業者に供給する電気事業を経営しています。
 現在、多摩川第一発電所と白丸発電所、多摩川第三発電所の3つの水力発電所と白丸調整池ダムを管理しており、これらの施設は秩父多摩甲斐国立公園内に立地し、豊かな自然に囲まれております。
 3つの水力発電所の最大出力の合計は36,500キロワット、1年間の発電電力量は一般家庭のおよそ35,000世帯分の使用量に相当します。

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 このたび、東京都奥多摩町にある白丸調整池ダムに隣接する場所に「東京都交通局再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)」を開設しましたので紹介します。
 この施設は、奥多摩に通じるハイキングコース、大多摩ウォーキングトレイルのほぼ中間に位置し、上流には白丸湖や数馬峡、下流には鳩ノ巣渓谷などの景勝地があり、白丸魚道(魚が遡上する施設)とも隣接して、行楽シーズンには、多くの観光客が訪れる場所となります。

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[東京都交通局再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)]

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[多摩川第一発電所]

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[多摩川第三発電所]

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[白丸発電所]

1. 展示施設の計画と建屋の建設

(1)展示施設の計画

 白丸調整池ダムには、ゲートを操作する監視所があり、昭和32年より使用してきました。建屋の建替えにあわせて、道路に面した河川左岸側に移設し、3階に展示施設を計画しました。
 展示内容は、交通局の水力発電事業と再生可能エネルギーの有効性についてPRするとともに、発電所が立地する奥多摩地域の魅力を発信するものとなります。

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[旧監視所と新監視所]

(2)建屋の建設

 平成31年2月より工事を開始し、斜面に建屋を建設することから、テールアルメ擁壁よる土地の造成を行いました。この建屋は、3階建てのコンクリート構造で、1階に受変電設備、2階にダム監視設備、3階に展示施設を各々配置するプランで、令和2年7月に完成しました。

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[再生可能エネルギーPR館(新監視所3階)]

2. 展示内容

 館内正面には、プロジェクションマッピングを映し出すジオラマシアターを設置し、この周りを囲む壁面には、複数のデジタルサイネージを採用した展示や地域の観光案内を行うブースを設置しました。また、来館者へのサービスとして、USB携帯用充電器、無料Wi-Fi、AED(自動体外式除細動器)などを備えています。

(1)ジオラマシアター

 館内は約70平方メートルの限られたスペースですが、200インチの大迫力のジオラマシアターをメイン展示にするため、スクリーンを斜めに配置することやプロジェクターを設置する高さを確保するため天井をくり抜くなどの工夫をしました。
 奥多摩地域の起伏のある地形をジオラマに模したスクリーンに投影する大迫力の映像により、交通局の電気事業を紹介するとともに、奥多摩地域の魅力ある自然を紹介しています。

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[大迫力のジオラマシアター ]

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  [スクリーンを斜めに配置(拡大)]


(2)壁面展示

 テーマごとに6つのブースに分け、展示物を設置しています。子供からシニアまで幅広い層に対して、分かりやすく表現するとともに、多くの展示内容を限られたスペースに収めるため、複数のデジタルサイネージを採用しました。
 それぞれのブースについて紹介します。
①白丸ダムの役割:デジタルサイネージ(タッチパネル)には、8つのコンテンツがあり、ダムの役割や放流時の対応などを紹介しています。
②白丸ダム周辺の見どころ:周辺にある奥多摩ならではの見どころとして「大多摩ウォーキングトレイル」、「白丸魚道」、「鳩ノ巣渓谷」などを紹介しています。
③使うならつくろう!:デジタルサイネージ(タッチパネル)には、8つのコンテンツがあり、交通局の水力発電の諸元や電気事業の歴史などを紹介しています。
④自然の魅力にあふれた奥多摩地域の見どころ:イラストを交えた地図により、地域にある観光名所などを紹介しています。
⑤気候変動対策のカギを握る「再生可能エネルギー」:水力発電をはじめとするCO2を排出しない再生可能エネルギーを紹介しています。
⑥再生可能エネルギーの発電のしくみ:再生可能エネルギーによる発電について、どのような仕組みで行うのか、紹介しています。ここでは、子供でもわかりやすく、手回しハンドルを回すことにより、周辺にある風力発電(街路灯)、太陽光発電(再生可能エネルギーPR館屋根)、水力発電(白丸発電所)の3つの発電設備と発電量を競える体験型の展示物となります。採用した手回しハンドルは、来館者が軸荷重をリアルに体感できるように拘り、ハンドルの重さを調整してみました。

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[デジタルサイネージを採用した壁面]

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[手回しハンドルで発電を体験]

(3)再生可能エネルギーの展示

 再生可能エネルギーを利用した発電として、水力発電だけではなく、太陽光発電や風力発電についても、現地に設置して紹介しています。

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[白丸湖周辺にある再生可能エネルギーの発電]

 展示室内では、これらの発電施設で、発電した電力をリアルタイムで見られるよう、表示パネルを設置しています。各発電施設と展示室間の通信経路は、河川横断や起伏があることから、有線ではなく無線で行う計画としました。
 各発電施設で測定した電力の値を電流信号に変換し、この信号を発信機より送信、展示室内に設置した受信機にて受け、パネルに表示しています。
 パネルを確認すると、太陽光発電や風力発電に比べ、水力発電で発電した電力が、いかに大きいかが伝わると思います。

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[太陽光発電]

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[風力発電]

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[白丸発電所]

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[展示室内(リアルタイムで電力を表示)]


3. おわりに

 再生可能エネルギーPR館(エコっと白丸)は、令和3年11月6日、多くの皆様のご協力のもと、開館することができました。
 当館は、東京都交通局の電気事業や再生可能エネルギーの有効性についてPRするものであり、地域の観光案内も行っております。これからも、来館者に喜ばれ、魅力のある施設として、取り組んでまいりますので、奥多摩の散策の際には、ぜひ、お越しいただくことを、心より、お待ちしております。
 ご来館の際には、開館状況について、交通局のホームページなどで、ご案内していますので、ご確認ください。
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/other/hatsuden/prkan/