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【ジビエ】珈琲漢(コーヒーマン)達の本気の趣味。洋食同好会「Autumn 2024(2/3)」 のレポート。
現在メンバーは5人。バリスタやロースターなど、全員がコーヒーを仕事としています。
洋食同好会Tokyo Omurice’s(トーキョーオムライズ)では、四季折々の旬の食材や、風物詩、色、匂い、音など季節の破片を集めて、食を通して表現し、音楽やコーヒーとのペアリングを提案します。
【THEMA】
Autumn 2024のテーマは「Autumu Leaves」。
紅葉のように9月は「黄」10月は「赤」11月は「茶(褐色)」とテーマカラーを設定して、3回に分けて開催します。
前回のテーマカラーは「黄」でした。黄色を月に例えてウフマヨで「無月」を表現しました。今回のテーマカラーは「赤」です。
そしてAutumn 2024のメインテーマである「Autumn Leaves」を考えた時に、花札の絵柄の一つである「紅葉に鹿」が思い浮かびました。
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鉄雄ヘッドシェフはジビエも調理出来るとのことで、すぐにメニューが鹿肉のロティに決まりました。
そしてコーヒーとのペアリングを考えて、ソースは旬のクランベリーを使い、コーヒーはベリーやカシスのようなフレーバーを持ち、野生味を感じるケニアを選択しました。クランベリーに主軸を置いてペアリングを考えると他にもコーヒーの候補はあるのですが、ジビエとクランベリーソースなら、ケニアがぴったりだと思いました。
【MENU】
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鹿肉のロティ クランベリーソース
(鹿肉、エシャロット、マッシュルーム、タイム、クランベリー、赤ワイン、バルサミコ酢、他)
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金木犀の琥珀糖
(金木犀、桂花陳酒、桂花茶、グラニュー糖、寒天)
COFFEE
(Kenya Gatomboya AA Dark Roast、Kenya Mitondo AA)
【FOOD】
料理は鉄雄ヘッドシェフが、レシピ作成から調理まで担当しています。
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フレンチのトラディショナルなソースをベースに、クランベリーのフレーバーを活かせるように、にんにくと玉ねぎの代わりに、上品な甘さがあるエシャロットを使いました。旨みを担うのはブラウンマッシュルームです。ホワイトよりブラウンの方が香りが芳醇な為、ジビエと相性が良いと考えました。また、ホールの黒胡椒を粗く潰して(ミニョネット)香りをしっかりと付けました。
【SWEETS】
スイーツはMiyaさんが1シーズンで一品担当してくださいます。
今回は秋の香りである金木犀を使い、キラキラと宝石のような美しい見た目の、金木犀の琥珀糖を作ってくださいました。
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グラニュー糖と桂花陳酒を混ぜ、砂糖が溶けたら金木犀を入れます。
火にかけすぎると香りが飛んでしまうので気をつけます。
昨年もこの季節にMiyaさんが金木犀を使ってパウンドケーキとダッグワーズを作ってくださいました。記憶に直結していると言われる嗅覚を刺激する金木犀の香りは、ノスタルジックな懐かしさだけでなく、Miyaさんが作ってくださる甘く美味しいスイーツの味覚と驚きが脳裏に浮かびます。
【MUSIC】
プレイリストはペインターとしても活動しているオカシンペさんが担当してくださいます。
メインテーマと別に、音楽フェスティバルが秋にあったら、と想像して作成してくださいました。ロックだけに留まらないThe Grateful Deadからいよいよ秋の音楽祭がスタートするような高揚感に包まれます。ジャズ、ファンクと続き、The Daktarisのアフロビートなどテンポアップも面白いです。アメリカ、ドイツ、イギリスなどロックを中心としたフリーなプレイリストの構成は非常に興味深いです。
Agitation FreeのSahara Cityからややスローテンポになり、くるりのトランスファーで季節の巡りにはっとさせられます。後半はチェット・ベイカーやMahalia Jacksonの声音が、陽が落ちる情景を目に浮かばせます。さらに後半、トム・ウェイツのアイル・ビー・ゴーンはどこかハロウィンの収穫祭を彷彿とさせます。坂本慎太郎の“いる”は僕の心にとても刺さりました。
【COFFEE】
コーヒーはフードペアリング用で2種類、スイーツペアリング用で1種類用意しました。
〈フードペアリング用〉
Kenya Gatomboya AA Dark Roast
Process : Washed
Variety : SL28, SL34
Altitude : 1770m
Flavor Profile : Cassis Liqueur, Bitter Chocolate, Raisin,
Brew : AeroPress, Water Drip,
TDS(AeroPress) : 1.29%
EXT(AeroPress) : 18.64%
TDS(Water Drip) : 2.02%
EXT(Water Drip) : 21.82%
Roster : COFFEE COUNTY
今回はお肉料理ということで、赤いカラーを連想できるコーヒーを選びました。
ボディも負けないように、深煎りのKenyaを2種類の抽出方法で用意しました。一つ目はフレーバーを楽しめるエアロプレスで前日に仕込み、二つ目はボディを楽しめる、常温水を使った点滴での透過抽出で仕込みました。冷蔵庫で一晩冷やし、当日常温に戻してから氷が入ったグラスに注ぎます。
そうすることにより、甘さを感じやすい温度帯から、氷が溶けていくにつれフレーバーの広がりも楽しめます。
ホットコーヒーとのペアリングにも挑戦していきたいですが、食事の時に飲みやすい温度帯であるアイスコーヒーで試作しています。今後もフレーバー豊かなスペシャルティコーヒーを、ワインに例えてペアリングの可能性を模索していきます。
〈スイーツペアリング用〉
Kenya Mitondo AA
Process : Washed
Variety : Ruiru11, SL28, Batian
Altitude : 1486m
Flavor Profile : Orange, Cassis, Floral,
Brew : AeroPress
TDS : 1.35%
EXT : 19.76%
Roaster : PASSAGE COFFEE
料理との繋がりを作りたく、同じ生産国のKenyaにしました。こちらは浅い焙煎で、オレンジやカシス、そしてフローラルな香りが特徴です。こちらも前日にエアロプレスで仕込みを行いました。
【PLATE】
食器やグラス、カトラリーはyumiko iiboshi porcelainからセレクトしています。
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右「pattern H26 kemuri」「pattern D12 kemuri」
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下「pattern A30 kemuri」「CUP65 ama beige」
【NEXT】
次回は11月に開催予定「Autumn 2024(3/3)」です。
テーマカラーは「茶」です。秋の季語である「冬隣」を“食”を通して表現できればと考えています。
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