盲目の少女の夢、想像力、勇気——東京二期会が来夏に贈る『イオランタ/くるみ割り人形』の物語
東京二期会が来夏に贈る『イオランタ/くるみ割り人形』は、ウィーン・フォルクスオーパー、ウィーン国立バレエ団との共同制作公演。オペラ『イオランタ』の主人公である、盲目の王女イオランタの夢の中の世界を、名作バレエ『くるみ割り人形』で描くことによって、オペラとバレエが見事に融合した、唯一無二のパフォーミングアートが誕生しました。
これまで何度も『くるみ割り人形』を鑑賞されてきたバレエ・ファンの方にとっても、まったく新しい出会いがここで待っています。その物語をご紹介しましょう。
目が見えないイオランタ王女。でも彼女はそのことを知らない。父のルネ王が、彼女を守るために秘密にしてきたからだ。高い城壁に囲まれた庭で、看護婦や宮廷の人々に守られて穏やかに過ごすイオランタ。心の中では、おとぎ話のような世界を想像していた。
夢の中で出会うのは、くるみ割り人形の王子。その空想の世界で、イオランタは、少女から成長していく自分の姿を見つめる。でも、楽しいはずのその世界はだんだん暗い影に覆われていく。父が「ネズミの王」として現れたとき、彼女は初めて気づく。自分が「守られている」ということが、実は重い「束縛」でもあったのだと。
そんなとき、若いヴォデモン伯爵が、侵入すると処刑されるとまで禁じられたこの庭に迷い込む。眠るイオランタを見つけたヴォデモンは、彼女が誰かも知らないまま恋に落ちる。そして、イオランタが赤ばらと白ばらを間違う仕種を見て、彼女が盲目であることに気づく。ヴォデモンは、光や色の美しさを熱心に語り、その言葉がイオランタの心を動かす。「世界を見てみたい」という願いが、彼女の中で初めて生まれた瞬間だった。
しかし、治療には危険が伴うと知る父ルネ王は激しく反対する。それでも、ヴォデモンが命の危機にさらされると、イオランタは彼を救うため治療を受ける決意をする。そして起きた奇跡――イオランタは初めて「見る」ということを体験する。初めて目に映る景色、そしてそばにいるヴォデモンの姿。そのすべてが、彼女にとって新しい世界だった。
夢の中で生きていた少女が、想像力を手に入れることで、現実にむかう力を持ち、愛によって自分の運命を切り開いていく。愛と希望が奇跡を生む瞬間を、劇場で体感してみませんか?きっと新しい世界があなたにも開けるはずです!
公演詳細|東京二期会オペラ劇場『イオランタ/くるみ割り人形』
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