34話:鈍色のバタフライ/KEMCO ガラケー時代のノベルゲーム
Twitterでフォローしている方に教えていただきました。610円のアプリゲームで、ジャンルはサイコホラーです。
610円の読み物というところで一瞬悩んだのですが、キャッチコピーに惹かれて落とすことにしました。その私の心をぶち抜いたコピーがこちら。
このゲームは俺に、仲間を殺させようっていうのか?
しび〜〜〜! 声に出したい日本語すぎ〜〜。
ということで、ゲームの感想です。
「バタフライゲーム」という人狼系デスゲーム
ある日拉致され、目を覚ますと、地下の一室に閉じ込められていた9人の高校生いつメン。スピーカーから姿の見えない謎の人物に告げられたのは「バタフライゲームに勝った者が、外に出られる」ということ。ゲームと言ってもかけるのは自分たちの命。失敗は許されません。
バタフライゲームには「首謀者」という人狼ゲームでいえば「狼」の犯人役がいて、夜な夜な誰かひとりを殺せます。「首謀者」のように他の人にもそれぞれ役がランダムで行き渡っていて、そのスキルと昼間に行う会話からみんなの役に見当をつけて「首謀者」をあぶり出し「告発」して殺される前に殺せば勝ち。仲間たちがお互いに疑心暗鬼となり、壊れていく人も出てきます。
こまけぇゲームの内容は置いておいて、「鈍色のバタフライ」2010年が初出でもともとはガラケーのノベルゲーム。今でいえばこういうデスゲームってよくあるなあと思うけど、10年前からやってたってことは、人狼系デスゲームって息が長いんですね。
悪さしようものなら、毒で絶対殺すシステム
みんなで生き延びるための方針を話し合うよ!
4時間もかからずに読み終わりました。さくさく読めるのがよかったです。
そしてこのゲームのアドバンテージは、実は2週目にあったのです。
犯人の気持ちがわかる、クロスオーバーシステム
2週目から隠しモードが出てきます。1週目では見えなかった人物たちの重要な会話や動き、犯人の心の中などが見えてきます。
11eyesにも似たようなクロスヴィジョンがありますよね。
クロスヴィジョンは専用のページから読みに行かないといけなくて、私は「読むタイミングがわからん、あわわ……」ってなっていたけど、こちらでは2週目のシナリオを把握した状態で、シナリオの途中に挟んでくるもの。強制的に読ませるので私でも大丈夫、読めました。
この「隠れていた心理描写が読める」システムがすごくユーザーには好評らしく、「ぜひ他のノベルゲームでも取り入れてほしい!」という意見もSNSで多く見かけました。
こちらについての私的な感想は、私は情緒を重んじるタイプなので、見えない部分に美しさを覚えるから「こんなにまる見せにするのって、蛇足じゃない? 冷めないかな……」って最初は戸惑っていました。
でも読み続けてみると、よくできてる。「これだったらあってもいいな」という気持ちが6割まで上がりました。そんなアナザーストーリー・インの2週目は、一度経験してもらいたいと思います。
良いところはここです
・エッチ展開がない(女子の胸に言及する微妙なテキストはある)
・4時間ほどで1週目が終わる
・犯人の心理のネタバレが2週目で読める
シナリオは、幼馴染やいつメンな友人同士での殺し合いという悲惨な状況で、いちばんぐっと来たのが三角関係の男女の回。泣けるほどでもなかったけど、好きな相手のために相手に知られないようにして命を捧げるシーンは良かったです。ベタだけど好き。
あとスーパーニッチな話をすると、BGMも古いんだけどちょっと焦り系のBGMで笑けたんだよ、妹が作ったエッチなRPGシリーズによく使われている曲と雰囲気そっくりだったから……。むっちゃ関係ないけど、このノベルゲーム風のやつおもしろいのでぜひおすすめしておきます。シナリオは急展開かつ支離滅裂ながら無理やり帳尻合わせてこようとしているところとか天才です。2021年5月に新作アップしていたのは、ファンには胸熱でした。……あれ、これどっかで書いた覚えがあるな? まあいいか、いい作品は何度でもすすめよう。
鈍色のバタフライで学べたこと
「金髪ツインテールは時代」ってことかな! 違ったらごめんなさい!
すごい関係ないまとめになったけど、金髪ツインテールのヒロインってどうしてちょっとロリまたはすごく美形で、しかもツンデレが定石になっているのだろうか。私は知りたい。君が望む永遠の大道寺あゆもそうだし、私の大好きな終わる世界とバースデイもそうなんだけど。
昔のオタクくんたちはツインテールが好みだったのかなぁ。今のゲームではほぼ出てこないもんね。そう考えると、絶滅危惧種をみているような、なんだかあたたかい心になれたんだ。
守りたい、その笑顔。東京ニート的評価「鈍色のバタフライ」B