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厚生経済学の基本定理って何?

ミクロ経済学では「厚生経済学の基本定理」というものがあります。

神取道宏著の『ミクロ経済学の力』では、厚生経済学の基本定理を「ミクロ経済学が明らかにしたもろもろの結果のうちでも、最も重要な発見」としています。また、姉妹本である『ミクロ経済学の技』では、「厚生経済学の基本定理は、経済学における最も重要な結果」と言われています。

厚生経済学の第一基本定理

厚生経済学の第一基本定理とは、「完全競争市場において、すべての経済主体が価格受容者であり、市場に外部性や情報の非対称性などの市場の失敗が存在しない場合、競争均衡はパレート最適となる」という定理です。

ここで、パレート最適とは、これ以上誰の効用も犠牲にすることなく、他の誰かの効用を高めることができない状態を指します。言い換えると、誰かの効用を犠牲にしなければ、他の誰かの効用を高めることができない状態であるとも言えます。

厚生経済学の第一基本定理は、市場の自発的な取引によって資源の効率的な配分が達成されることを意味します。このことは、効率的な資源配分を実現するためには、基本的に政府の介入を必要としないことを主張する根拠となります。

しかし、効率的とはいっても、必ずしもそれが公平であるとは言えません。そこで、効率性と公平性を満たす条件を説いたのが第二基本定理です。

厚生経済学の第二基本定理

厚生経済学の第二基本定理とは、「初期の所得分配を適切に再配分すれば、いかなるパレート最適な資源配分も競争均衡として実現可能である」という定理です。

ここで、所得分配とは、政府が税金や補助金などの手段を用いて、市場における所得の偏りを是正する政策です。

厚生経済学の第二基本定理は、所得再分配などを通じて公平な初期条件を設定すれば、市場メカニズムを用いて効率的かつ公平な資源配分が可能となることを意味します。

このことは、所得再分配と完全競争市場均衡によって、公平性と効率性を両立することができることを主張する根拠となります。

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