デジタル化は投資~町田市×東京都CIO座談会②~
東京都CIOと区市町村CIOの顔が見える関係を構築するべく、東京都・区市町村CIOフォーラムを開催。さらなる都内区市町村CIO等の皆様と都CIOとのフラットなコミュニティ形成を目的とし、個別の座談会の開催に至っております!
第25回は「町田市×東京都CIO座談会」をお届けします!
令和4年7月22日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第25回座談会」として町田市と東京都CIOの対談を実施しました。
※この記事は全2回でお届けします。前半はこちら。
議題
① 特徴的なDXプロジェクトについて
② 標準化・オンライン化について
③ マインドセット
標準化・オンライン化について
自治体DX推進計画の外側からまずは目に見える成果を
東京都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
62区市町村で標準化・オンライン化をやろうという話になった時、どの辺から手を付けるのが一番いいですか?
町田市総務部長兼情報システム担当部長:高橋(以下「高橋」)
やはり、住民基本台帳が一番だと思います。20の基幹業務で言うと、そこを攻めない限り、共通化は無理だと思います。
その次、別の切り口で言うと、ライセンスの共同購入やツールの共通化になっていくかと思います。
町田市でもようやく最近LINEで電子申請できるようにしましたが、そういうツールを共通化していけば、たとえば町田市で作ったものを他の区市町村でもそのまま使えますから、そういうところで緩やかな標準化を目指すっていうのはあるのかなとは思います。
宮坂
国で推進している基幹システムの標準化もやらないといけないですが、時間がかかると思います。
最初に即効性があり、実績を出すようにするためには、基幹業務システムの外側でまずは1個2個試行的にツールの共通化をやってみて、やっぱり費用が下がるな、とか、職員が楽になるなとか、実感できることが大事なのではないでしょうか。
高橋
そうですね。国で自治体DX推進計画を作って標準化が一気に進むと思いましたが、実際にはガバメントクラウドを含めて、この2年間全然進んでいない状況です。
そうするとやはり先ほどのメタバースやLINEのように、国の計画の外側の部分から攻めていくのがいいのではないでしょうか。
宮坂
最近、LoGoフォームを使っているところが増えているじゃないですか。LoGoフォームはフォーム画面の使い回しができるので、ある市で使ったワクチンのフォームを、そのまま周りの市でも共通で使ったんですよね。
高橋
LoGoフォームを使うかどうか、いろんな議論があってよいのですが、それ以前に、中央でよいシステムを1つ整備すれば全自治体に展開できるはずです。DX人材の不足が言われていますが、こうした標準化が進めば、専門家は必ずしも1700自治体に、5人、10人ずついなければならない、ということでもないと思います。
宮坂
中央でよいシステムを1つ整備したうえで、他の自治体がどれだけ使えるようにするかが大事ということですね。
高橋
そのとおりです。
今は、そのようなものがないので、LINEなど今後標準になりそうなものを、町田市は選んでいます。
このあたり、どう選定するといいか、お聞きしたいです。
宮坂
確かに、中央に道具が揃っていれば、その道具でどんな料理をするかはいろいろとあると思うけど、同じ道具を使っていれば、標準化はできていくんじゃないかと思います。
ご質問のあった、今後、標準になりそうなものを選ぶときに重要な視点になるところは、将来の発展性があるものには、エンジニアが多いということじゃないでしょうか。
結局今後の発展性があるから、エンジニアが多いということだと思いますので、エンジニアが多いプラットフォームを選んだ方が得だと思います。
マイナーなプラットフォームってエンジニアが集まらないんで、よくならないじゃないですかね。
どのようにマインドセットを変えていくか
サービスレベルの向上が目標
高橋
先ほど紹介した、AI音声・アバター・メタバースなどを活用した新たな取組に興味があるのは、情報部門の中でも一握りのメンバーだけで、あとの8、9割方はどちらかというとルーティン業務を好む傾向があります。
宮坂
運用が好きな人も多いですからね。
高橋
今後のデジタル化では、そのような運用は減っていき、よりクリエイティブな業務が増えていくと思います。
そうなると、やはりそこら辺のマインドセットみたいなものを変えていく必要があります。
しかし、変えていくには、トップダウンだけでは駄目で、組織の中で継続させるというのは非常に難しいですね。
そこはシステムの話ばかりをしていても進まないので、どう楽になるかとか、どう業務が変わるかみたいな話とセットだと思います。
その言い方が、非常に難しいのではないでしょうか。
東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長:小澤(以下「小澤」)
まさに役所はちょっと古いタイプの人間の集まりなので、安全志向は強いですね。
どうしても役所は変えたり、チャレンジすると、やっぱりどうしてもリスクを問われてしまうということが染みついているので、二、三年で変えていくっていうところがなかなかできません。
高橋
デジタルの技術はすぐに変わってしまうので、今の技術はすぐに時代遅れになってしまいます。
でも、民間では、当たり前に対応をしているんですね、自治体もそうなっていければいいなと思っています。
宮坂
デジタルは、金がかかるということで、コストということをよく言われていますが、どうお考えですか?
高橋
サービスレベルを上げるために、最新技術を入れれば必然的に費用は上がりますが、デジタル化の領域は増えるし深くなるので、それは避けられません。ある意味、投資なのではないかと考えています。
そこの投資量をどういうふうにサービスの質として目に見える形にしていくかということころが重要なのではないでしょうか。
やっぱり都民だったり市民だったり、国民の方の暮らしがどういう風に良くなるのか、それが一番大事だと思います。
この部分で、例えば、オール東京で一括してツールのライセンスを購入すれば、相当のボリュームになるので、ボリュームディスカウントが聞くのではないかと思っています。
宮坂
デジタル化は投資である、という観点は非常に重要であると思います。海外ではもっとデジタルに対して投資をしています。
この投資という観点を、東京都全体で持てないかと思います。
また、現在ツールの一括購入は、検討しています、今後、検討結果をお示ししたいと思います。
―お時間も来たようですので、今回の座談会はこれで終了します。普段の会議とは違う、ざっくばらんな意見交換ができて非常にありがたく思っています。本日はありがとうございました!
本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!