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GovTech東京~八王子市CIO×東京都CIO座談会~

東京都CIOと区市町村CIOの顔が見える関係を構築するべく、東京都・区市町村CIOフォーラムを開催。さらなる都内区市町村CIO等の皆様と都CIOとのフラットなコミュニティ形成を目的とし、個別の座談会の開催に至っております!
第30回は「八王子市CIO×東京都CIO座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、東京都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

令和4年9月16日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第30回座談会」として八王子市CIOと東京都CIOの対談を実施しました。

参加者(敬称略)
八王子市CIO(副市長):木内 基容子
八王子市CIO補佐官:内田 勝也
八王子市デジタル推進室室長:中嶋 徹
八王子市デジタル推進室 デジタル推進担当 主幹:倉田 大輔
八王子市デジタル推進室 情報管理担当 主幹:小澤 寛
東京都CIO(副知事):宮坂 学
東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長:小澤 洋之
東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援課長:橋本 康昭

議題
①デジタル化の推進
②GovTech東京について

デジタル化の推進

災いをチャンスに変えて

―八王子市様から取組のご紹介をお願いします

八王子市CIO:木内(以下「木内」)
 八王子市でも、「八王子市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を本年2月に策定し、アクションプランをここで公表しました。
 コロナウィルス感染拡大でデジタル化の遅れを痛感し、デジタルによってコロナ禍を切り抜けたいという切実な要求がありました。
 今日は、具体的な取組を3つご紹介させていただきます。

八王子市CIO

 1つ目は、医療関係者、介護、保育、教育等の現場の方々と、コロナウィルスの最新知識や現場の状況を共有し、アドバイスし合うためにWeb会議やセミナーを開催しました。Web会議は関係者全員が参加できるよう週2回定例で行い、Webセミナーには感染症の専門家にも毎回ご出席いただき、知識をリアルタイムで共有できました。

 2つ目は、地域医療支援体制拠点を立ち上げました。自宅療養者を悪化させないという決意で、第6波到来前に、既存のシステムを活用して八王子市内の病床の利用状況を医療機関、保健所、行政が共有できるようにし、患者さんの受け入れをスムーズに進めることができました。

 3つ目は、保健所業務のデジタル化です。行財政改革部門の職員が直接現場に出向いて、ニーズを把握し、感染者のカルテを電子化して共有できるようにしたことで、保健師が事務作業から解放されて健康観察に専念できるようになり、事務的業務のかなりの部分を委託に回すことができました。

「災い転じて・・・」じゃないですが、DXの成功体験ができ、行財政改革部門と現場の信頼関係も作れたと思っています。

東京都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
 危機をチャンスに変えてデジタル化を進められたのですね。Web会議がなければ会議のセッティングだけでも大変ですよね。
 みんなが情報共有することがスムーズな意思決定に役立ったとのことで、情報を共有できるプラットフォームやデータ環境を作ることが大事だと、改めて思いました。


東京都CIO

木内
 その通りです。
 役所の方から個別に依頼しても感染者の受け入れに消極的な医療機関もありましたが、情報共有によって危機的状況を認識してもらえて、能動的に対応していただけるようになりました。

宮坂
 行革部門が現場へ入って行ってサポートしたのは大きかったですか?

木内
 現場は、感染拡大への対応で手一杯で、デジタル化できることが分からないままに慣れた業務を続けていたことがネックだったので、冷静に業務分析できる行革部門の職員が、現場に入ってサポートしたことは大きかったです。

GovTech東京について

DX推進を働き方改革へ繋げるために

宮坂
 
忙しいと変更すること自体がリスクになりますね。GovTech東京ができたら、こういう事例を自治体同士でシェアしたいと思いますが、どうでしょう?

座談会参加者の皆さん

木内
 
実は、GovTech東京について提案がありまして、定期的にウェブ上で、自治体職員やGovTech東京に所属している民間の方が自由に参加して、自治体や海外の先進的な事例を紹介したり、ゲストに発表してもらったり、質問や意見交換ができたりするような会員制サロン的な機能があれば、人材育成や連携につながるのかなと思います。

宮坂
 
そうですね。
 GovTech東京で、区市町村の皆さんとのコミュニティ作りはぜひやってみたいですね。定常的にやれたらいいですが、小澤さんどうですか?

東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長:小澤(以下「小澤」)
 
コミュニティ作りは、東京デジタルアカデミーで今年から始めて参りたいと思います。
 都庁には、海外事例を知っている職員がいますので、肌で感じたことを共有できればと思います。
 また、気軽に質問や意見交換ができるように、本年度からチャットツールを試行導入して参りたいと思っております。

宮坂
 
普段から、意見を言える関係性を作っていくのは、畑における土づくりのようなもので、後々効果を発揮すると思います。先ほどの定例のWeb会議は、まさに土壌作りだと思います。
 他に木内さんからコメントはありますか?

木内
 
人材確保についてですが、自治体の報酬水準でDXの専門人材に来てもらうのは難しいです。
 区市町村がフルタイムで直接雇用するのではなく、必要な時にアドバイスをいただくような形で、区市町村が負担する報酬の不足分を、固定的にGovTech東京でご負担いただいて人材を確保すれば、その人材を介して自治体間の事例共有に繋がり、有意義だと思います。

宮坂
 
人材のシェアリングについては、自治体の皆さんのニーズを実感していますので、形にしていきたいと思います。
 ただ、専門家の人にとっては、報酬だけでなくやり甲斐も大事だと思います。戦略や仕様の策定段階からGovTech東京の専門人材が自治体に入って行って、対等に共同で取り組むような、新しい関係を模索したいと思います。  
 あと、データ活用や調達で何かありますでしょうか?

木内
 
データについては、GovTech東京で、中長期的に実態調査や意向調査を区市町村別に集めていただければ、民間利用もできますし、オール東京の財産にもなると思います。
 また、デジタル化が進んで調査ものの回答期間が短縮化し、職員の負担が増えました。共通のフォーマットで回答できれば、一定のレベルでデータが揃いますし、既存データの活用で照会の回数を減らせると思います。

宮坂
 
GovTech東京の取り組みではないですが、都庁の統計チームが統計データのオープンデータ化を進めています。同じフォーマットで公開していくと、使う人が楽になると思います。
 それと、デジタル化するほど仕事が増えるというのはありがちな現象ですね。調査の共同化も一つの方法かもしれません。
 都庁の若手職員の提案にも、過去の調査結果を参照できるようにしたい、集計作業の軽減のためWebフォームを使いたい等、いろいろありました。 

 職員もデジタルサービス局の「お客様」ですし、働いている人が便利になった実感が持てないデジタル化は人を不幸にするかもしれませんので、職員に負担をかけないようにするのは大事な視点ですね。

―GovTech東京について他に何かございますでしょうか?

木内
 
GocTech東京は、100%東京都出資の財団法人を想定されているという報道がありましたが、運営資金や派遣された専門人材の人件費負担等、現時点でのお考えを教えていただけませんか?

小澤
 
東京都もGovTech東京からサポートを受けますので、その部分は運営資金を供給することを考えています。他方で、現在ご負担いただいている共同電子申請の他、人材の共同活用、共同調達、の物が動く部分については、区市町村の皆様にもご負担いただくことを考えています。

区市町村DX支援担当部長

宮坂
 
GovTech東京の事業計画は、皆様にとってリーズナブルで合理的にしないといけないと思います。
 ただし、受発注の関係になってしまうと、エンジニアリング集団の側に下請感が出て、成長へのモチベーションが失われてうまくいかないことがあると言われているので、区市町村、都、GovTech東京の関係をフラットにして、皆で事に当たる体制を作るべきだと思います。

 長い目で見れば、それぞれが資金を提供する方が、良い意思決定が続くかなと思いますので、その辺りについても事業計画作成の際にいろいろご意見をいただければと思います。

―ご出席されている方々で、ご意見等ありますでしょうか?

八王子市デジタル推進室室長:中嶋(以下「中嶋」)
 
宮坂CIOのTwitterをよく拝見しておりまして、大規模自治体はDXが進むのが難しいとおっしゃっていて、八王子市も基礎自治体としては大規模です。 
 DXの進め方や職員のマインドについて教えていただけませんか?

宮坂
 
私も試行錯誤していますが、1つには、職員1人1人への働きかけが大事ですね。その際に、トップとして前向きな夢やビジョンを伝えることを意識しています。危機をあおるだけではしんどくて長続きしませんから。
 もう1つは、デジタル化は目に見えないことが多いので、ビデオ会議やコピーレス、FAXレス等の目に見える変化を積み重ねて、成果を実感してもらうことが大事だと思います。

中嶋
 
今日のテーマとは別ですが、宮坂CIOは民間のご出身ですが、都庁で感じられた民間との一番の違いはどこですか?

宮坂
 
そうですね、都庁の中で民間出身者と元からいる職員の皆さん、役職者と若手の方、それと、区市町村と都の皆さん、立場を超えたフラットなコミュニケーションがちょっと少ないかなと思います。
 デジタルツールでコミュニケーションが取りやすくなりましたので、自由闊達に対話して、トップが決定するというカルチャーにしたいと思っています。


―お時間も来たようですので、今回の座談会はこれで終了します。普段の会議とは違う、ざっくばらんな意見交換ができて非常にありがたく思っています。本日はありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!


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