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帰省すると、事件です。

【新年あけましておめでとうございます】

無事、2024年も迎えることができ、去年の怒涛の一年を振りかえるようなヒマもないほどに、あっという間の1年を過ごした。

年を重ねれば、重ねるほど、経験や知識は増え“目新しいもの”から“すでに知っているもの”へと変化すれば、時間が短く感じるようになる。

不思議なものでもう何度も、何度も、1年の幕開けを経験しているのに、いまだにジワっとあたたかい気持ちになる。

年末年始は決まって、地元の青森に帰省すると決めていて、だいたい1月にすこし奮発をして飛行機で、羽田空港発の最終便で帰るようにしている。

この話しをすると3人に1人くらいは、青森って空港あるの?という質問を受けるのだけれど、あるに決まっているじゃない~と毎回毎回、グーグルマップを開いては丁寧に説明するけど聞いておきながら、さほど興味もなさそうなのは気のせいかしら?笑

大雪、置き去りバス事件

去年は雪で飛行機が全く飛ばなくて、1時間くらい羽田空港をグルグルまわって、ようやく22時ごろに青森空港へ到着。

もう夜も深いし、青森空港からバスへ乗って実家に向かおうと出口から出た瞬間、

最終便のバスが、東京からやってきた客人を“だれひとり”乗せぬまま「あばよ!」と言わんばかりに、ブーンと走り出していってしまった。

「え・・・まって」

バスは振り返る気なんてさらさらなくて、どんどん遠ざかっていく。


すごい勢いで去っていくバス

これはなにかの冗談かな?

その場にいた全員で顔を見合わせながら、呆気にとられていると、気が付いたことが

・・・ん?

もしかして、帰れないんじゃ・・・?

何秒か経過しようやく状況を理解した。
マイナス5℃なのに、へんな汗がジワっとかいてきた。


「どうしよう、帰れない!」


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わたしの家は青森のなかでも、かなり大雪が降る地域なので親は迎えにこれない。

実家は空港から1時間ほど離れているところにある。

しかも、いまは22時。
青森県民は20時に寝床につくので、
タクシーを呼ぶにも来られるか分からない・・・

このまま野宿か?

いや、凍え死んでしまう。

あのバスの運転手め・・・

顔こそ見えなかったものの、きっと私たちを待っているフリをして、出てきた瞬間にわざと出発して、ほくそ笑んでいたに違いない。

まったく、いい趣味してるぜ!

・・・そんなことよりも、家に帰る方法を探さなければ。

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ようやく脳内会議を終えて、ひょこっと現実世界にもどってみると、目の前にタクシーが3台止まっているのが見えた。

自分の世界に入り込んでいて、まったく気が付かなかった。

今すぐ飛び乗ってしまいたかったが、

ほんの少し。ためらいがよぎった。

*************************待って、ここから、1時間+深夜料金となると、とんでもない金額を請求されそう、お財布いくら入っていたっけ?お正月かなり出費増えるのに・・・でも考えている余裕もない、これを逃してしまったらほんとうに、氷点下5℃のなかで冷凍ベーコンになってしまう。それだけは、避けないと!
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腹をくくった。

とにかく、他のバスに乗れなかった乗客よりも、はやくタクシーに乗らなければ!

さっきまでバスを逃した者同士、仲間意識が芽生えていたけど、今となってはタクシーを奪い合う、いわば敵!

この際、すべって転んでもかまわない!

とにかく、1番にタクシーに乗り込むんだ!

『雪のうえはすべって危ないから走らないようにね』

ごめんお母さん、今日だけは約束を守れそうにない。

小さい頃から雪のうえでは走るなと言われて、育てられたのに、今だけは許して。

はじめて雪の上で全力疾走、
タクシー!タクシー!タクシー!!!

すると1番前のタクシーが、おにの形相をして全力疾走しているこちらに気づき、向かってきた。

助かった・・・これで、おうちに帰れる。

さっさとタクシーに乗り込み、これまであったことを、運転手のおじさんに話した。

大変だったね~と労いの言葉をもらい、
ようやく安堵することができた。

ありがとう、おじさん。

「でもね、お客さん、空港会社が遅れたせいでで、バスがいってしまったならね、空港会社にいえばいいんだよ、保証してもらえるんだから。」

え、そうなの?
驚いてうわずいた声がでてしまった。

・・・そういえば、思い返してみると、私以外だれも走っていなかった。

そういうことかと、合点がいった。
顔が赤くなってきた

・・・今年の冬こそお母さんとの約束は、ちゃんと守れそうだ!!

written by みんちゃん