「水平線」だけではない海
先日、久々に帰省をした。
以前の記事でも少し話した通り、私の出身地は香川県というかなり遠い地方なので、ここ数年帰省する機会をすっかり逃していた。
過去の記事↓
今回は実に約2年振りの帰省だった。
久々に地元に帰った中で、上京したころのことを思い出したりすることも多かったので、その時のことをまとめたいと思う。
改めて言うが、私の地元は香川県、四国地方の県の一つで日本一面積が小さい県である。
食べ物もおいしいし、物価は安いし災害も少ないので住むには割と良い県である。
なかなか良い県ではあるのだが、私が二年ほど帰省をしなかった理由は一つ。
東京からめちゃくちゃ遠い。(夜行バスで14時間、新幹線で8時間ぐらいかかる)
ので、かなり帰省を先延ばしにしていたのだが、今回家族や友人にせっつかれて帰ることになった。(移動に8時間以上かけるのが嫌すぎたので今回は飛行機をとった)
久々の帰省はかなり楽しかった。
久々にうどんを食べたり、
ほとんど観光客の気分で友人の運転で海を見に行ったり(何せ2年帰っていなかったので地元感が薄い)、
友人宅でピザを食べながら「孤独のグルメ」を見たり、
カラオケに行ったり(東京でもできる)、
温泉に入ったり、
久々に祖母や家族に会ったりした。
今回の帰省で感じたことは大きく3つある。
まず「運転が必要な生活」を目の当たりにして驚いた。
東京などの都会だと電車が発達しているので、運転する機会などはほぼないのだが、
地方となると「運転」は必須スキルになってくる。(私も友人の運転がなければ県内での移動はできなかったと思う)
私は運転免許をとる際、教習所で実技をしたこともあったが、
その際に「自分は運転に向いてないんだな」と思ったので、地元で生活するとハードモードだったのかもしれないなあとこの時感じた。
改めて私みたいな運転下手でも生きていける東京に感謝した。
また、2年帰っていなかったので、街中もかなり様子が変わっていて、
私の知らない店があったり、元あった店がなくなってマンションが建っていたりした。
(地元の友人は当たり前のように話すので自分だけ浦島太郎みたいな気分になった)
これだけ帰っていないと、帰省が旅行のような「非日常」的なものに思えてワクワクした。
自分の育った街のはずなのに、新鮮な気持ちで観光できたのはかなり楽しかった。
そして、今回の帰省で何よりも心に残ったのが「海」だ。
私はもともとかなり海が好きな人間で、国内・海外問わず「綺麗な海を見たい!」という気持ちだけで各所に足を運んだことがある。
香川県にも瀬戸内海という海があり、私は幼いころからよく海を見に行ったり、船で瀬戸内海の中の島に行ったりもしていて、「海」はかなり見慣れていたのだが、
ある時、「日本には水平線のある(島や向かいの県が見えない)」海があると知り衝撃を受けた。
香川県から瀬戸内海を見ると、どうしても島や向かいの県が見えてしまうため、純粋な「水平線だけの」海を見たことがなかったのだ。
(笑ってしまうような話だが、上京した理由の一つに「水平線だけの海を見たい」というものもあった)
地元にいたころの私は、とにかく「水平線だけの」海にかなりの憧れを抱いていた。
上京して数年、少し電車に乗れば「水平線だけの」海が見えるようになり、そんな海にもすっかり慣れてきた頃だった。
久しぶりに地元の「水平線だけの」海ではない海を見たとき、純粋に「綺麗だな」という感情と、上京する前のことと上京した後のことが一気に頭によみがえってきた。
地元にいたころは当たり前だと思っていた「水平線だけ」ではない海。
それを「綺麗だ」と新鮮に感じるほどには、私の東京生活は長かったのだなあと感じた。
同時に、地元を出て様々なものを見たからこそ、幼い頃ここまで見慣れた瀬戸内海を改めて「綺麗だな」と感じられたのだと思った。
上京する前、上京した後。
変わらないもの、変わりゆくもの。
様々なものを見て、様々な経験をして、私自身の感じ方や考え方も大きく変わっていたのだなあと改めて感慨深くなった。
同時に、勇気を出して飛び出して、いろんな経験をしてきてよかったと心から感じた。
2年後、私はこの海を見たときに何を思うのだろうか。
どんな経験をして、どんな自分になっているのだろうか。
そんな期待と感傷を抱きながら、私は今日もまた、東京という街を生きる。
Written by yuuun