国葬の法的根拠について-朝日新聞の今日-(2022/7/17)
産経新聞は3面で国葬の法的根拠について整理する記事を載せていました(7/17)。内閣府設置法4条3項の内閣府の所掌事務として「国の儀式、内閣の行う儀式及び行事の事務に関すること」を定める条文。
岸田総理は内閣法制局に何度も確認したというのだから間違いないだろう(これから左派があちこちで起こすだろう行政訴訟にも耐えうるという意味です。彼らは、まず、行政訴訟法に基づいて差止め訴訟(に基づく仮処分)を提起し、これが却下された後、個人の良心の自由が侵害されたという国賠請求を提起すると思われます)。
そこで思ったのですが、首相の靖国参拝の法的根拠もこの内閣府設置法4条3項を根拠に「公的」参拝として決められるということです。政教分離訴訟を提起されるでしょうが、同じ理屈をもって …… すなわち、国家儀礼は直接的には信条の思想信条の自由を侵害するものではない。間接的な侵害はあるとしても目的と内容と態様に基づいて判断する……。クリアできると考えます。
さて、朝日新聞は、今日も社説でとりあげませんでした。代りに同じく7面の「声」で読者2人のオピニオンを掲載しています。埼玉(94歳)の原田奈爺雄の「安倍元首相の国葬 議論深めよ」と東京(66歳)の吉野典子のそれ。前者は安倍元総理の批判-「多くの人々の疑念、憂慮があったにもかかわらず、憲法などないかのごとく、閣議決定で憲法解釈を変え、集団的自衛権を一部容認するなど、戦争することを可能にする国を目指してきたと私は思う。」です。後者は「政治家の評価 歴史研究待って」の題で、「歴代総理大臣の中でも、安倍晋三元総理ほど、国民の支持・不支持や好き嫌いがはっきり分かれる政治家は珍しいだろう。」で始まり、「今回の国葬決定には自民党内の派閥の力学が働いて言われる。」と続け、「政治家の評価は、未公開の資料が将来公開され、歴史研究が進んだ後にようやく定まる。」として国葬は「歴史に対しても故人に対しても失礼ではないだろうか」と結ぶ。
これは明らかに編集がつくったダミー論文である。これを「国民の声」として取り上げる形で《社説》をもっともらしく書く。いつもの朝日のやり方である。明日の朝刊に注目しよう。
しかし、ここから、国葬の決定については、この2つぐらいしか論点がないということが分かる。後は、国葬を前提とした上で、その中身に関し、学校や自治体や企業に対する服喪と儀礼の要請/勧告の当否である。昨日述べたように、一定の時間、それぞれの思いに任せて「黙祷」の儀礼を要請する程度であれば憲法問題はクリアできるであろう。国家儀礼は信条・良心の自由を直接侵害するものではないというのが最高裁判例だからである。
●前記事「国葬の法的根拠について-朝日新聞の今日-」
●国葬の法的根拠について-朝日新聞の今日-(2022/7/17)
●国葬の法的根拠について(3)