【増田大輝インタビュー後編】盗塁技術・積極走塁に迫る!!
お待たせいたしました!徳島インディゴソックスOBであり、読売ジャイアンツで活躍中の増田大輝選手への独占インタビューの後編です。前回は独立リーグ時代からどうプレーしていたのか、支配下に上がるため、1軍で出るために何を努力したのかという点について話を伺いました。今回は増田選手の自慢の武器である「足」について伺っています!!
増田大輝内野手のこれまで
背番号0 右投右打
172㎝/68kg 1993年7月29日生まれ
徳島県出身
2014~2015年
徳島インディゴソックスに所属
2015年育成ドラフト1巡目で
読売ジャイアンツから指名を受ける
2017年7月28日
支配下登録される 背番号は98
2019年4月29日
初一軍昇格、初出場を果たす
2019年はチームトップの15盗塁を記録
代走の切り札として存在感を発揮
背番号を現在の0に変更
2020年も代走、守備固めを中心に活躍
盗塁ランキング2位(9/18時点)
コンマ何秒を争う世界で
――足、守備が武器だなという意識はいつ頃からありますか?
増田大輝選手(以下、増田) 走塁に関しては「相手の隙をつく」っていうのは小学校から言われていたことで、小学校の時から二盗、三盗は当たり前で、それを中高でも続けて、独立でも積極的な走塁っていうのは続けてました。
守備は独立の1年目は全然よくなかったんですけど、そのオフに今楽天で活躍されてる藤田(一也)選手に守備のことを教えてもらってから、練習方法があっていたのかもしれないが、それで自信がついてNPBにかかった年は自信をもって守れるようになった。
――藤田選手からはどういうことを?
増田 難しいんですけど。左足を前にして捕球するっていうのを大体の人が言われてると思うんですけど、藤田さんは右足、左足を平行にして捕る、そこからボールの勢いを使って右足を踏み出して投げる。
それによってクッションもうまれるし柔らかくグラブも使えて、半歩前に出れるか、半歩後ろに下がれるかっていうそこのバランスも兼ね備わっていてすごくよかったと自分では思っています。
――盗塁をするうえで大事にしていることは?
増田 1番はスタート、思い切り、どれだけ腹を括るれるかだと思います。
――二盗するときと三盗するときの違いはなにがありますか?
増田 三盗は相手が動き出す前にはスタート切らないとある程度のピッチャーではアウトになっちゃうので三盗の方がそんな難しくないというか、難しいですけど二盗よりかは難しくないと思います。
――二盗の方がスタートが切りにくかったりするんですか?
増田 二盗は理論上アウトになるっていうことらしいので。どんだけいいスタートを切ってもタッチするところにボールが来ればアウトになりますし、投げる前にスタート切っちゃうと牽制されますし、そこは難しいと感じる。
――走りにくいキャッチャーはいますか?
増田 そうですね、今なら阪神の梅野(隆太郎)選手は取ってから早いですし、送球もすごいいいのでキャッチャーと対戦するというよりかはピッチャーと駆け引きするっていう感じですね。
――走りにくいピッチャーはどんなピッチャーですか?
増田 クイックが早いとキャッチャーがもし2.0秒でセカンドスローしたとしても、ピッチャーが1.1秒台で投げて3.10秒でセカンドベースに到達するとしてもアウトになる確率のほうが高いのでクイックは早ければ早いほどはスタートが切りづらいですね。
――盗塁はコンマ何秒っていうのを争う世界なんですね
増田 そうですね!もうそこですね。そのスタートで0.何秒変ってしまうのでね。
――増田選手の印象として早いカウントから仕掛けていく印象があるが、そこは何か意識している部分はありますか?
増田 早いカウントで走れた方がバッターもそのあとピッチャーに入り込みやすいでしょうし、走る走ると思っていて追い込まれるっていうのはバッターに申し訳ないので、そこも駆け引きですけど、出来る限り早い段階で走りたいとはみんな思っていると思います。
「あっ!」って言わせたい
――代走は勝負所で起用される場面が多いですが、重圧や期待は感じますか?
増田 絶対ここ1点が欲しいっていう場面でいつも出させていただいてるので、そこはベンチ、監督の期待にこたえたいですし、アウトになってしまっては何の意味もないので。
かといって何も仕掛けないっていうのは相手にプレッシャーもかけれないですし、そこはもう腹括って思い切っていくようにはしてます。
――そういう重圧はどうすれば跳ね返せますか?
増田 いいイメージを持っていることが1番だと思います。それなりに相手を研究して準備しているっていうのもありますけど、セーフになるっていうイメージを強く持てているのでアウトになった時のことは考えてないので、それがいい方向に進んでいるのかなと思います。
――盗塁とかにも活きていると思うが、結構思い切りはいい方?
増田 これぐらいならいける!っていう開き直りではないですけど、「これぐらいならセーフになれる」っていう自信と偽走して「あっこれはいける」と思ったらそのままセカンドいきます。
――理論上の数字と自信がうまい具合に合致しているように話を聞いていて感じる。秒数とか事前に調べてから代走に出ている?
増田 それはもちろん、そうです。
――それで、いけるなぁって思いながら行く?
増田 そうですね。でも真っすぐでキャッチャーがストライクだったらアウトになっちゃうので、そこもカウント別に自分の中で考えてやってます。
――そこ行くか!っていう積極的な走塁が多いですが、それは自信の判断ですか?コーチャーを見ての判断ですか?
増田 自分が見えないところはコーチを信じて回してたらいきますし、もし自分が見えるところだったらいけると思ったらいくと思います
――その走塁の勘、センスはどこで養われますか?
増田 独立の時もどんどん足でアピールするっていうのは大事ですし、今の隙でいくかっていう「あっ!」って言わせたいっていう気持ちは常にあったのでそれが今に活きていると思います。
――今、盗塁ランキング2位ですが、盗塁王は意識の中にはありますか?
増田 (ニヤッと笑って)いや無理でしょ(笑)そら取りたいですけど、一個一個の積み重ねなので最終的な結果がどうであれ、自分はベンチの期待に応えるだけです。
谷田球団代表:模範解答です。
――ジャイアンツの1軍選手の中で増田選手は異端な、尖った存在になっていると思います。チームの中で存在感を出すにはどんなことが求められると思いますか?
増田 声かけ、守備の時にしてもピッチャーを一人にしない、ベンチにいても味方を応援する、試合になったら隙を作らないっていうところじゃないですかね。
――前もっての準備が大事だと?
増田 独立の時はそういうの全然考えてなかったんですけど、こうやって1軍に来させてもらってまだまだ勉強することがあるなって思っています。
――それはベンチの雰囲気、コーチからの声かけとかの部分から感じることですか?
増田 僕は今代走とかで出してもらっているんで、この回に代走あるなとかそれを先読みしてその前にそれまでに準備をしっかり終わらすように自分の中で計算してっていうのをすごい考えながらやってます。
――NPBを目指す選手たちにエールを
増田 正直独立リーグの時は2年目も全然バッティングがよくなくて、守備と走塁がすごい評価してもらったっていうので、バッティングだけじゃないんだっていうのをそこで感じましたし、自分の得意なところを伸ばせばもしかすればっていうのもあると思います。
そこで人より抜けてたり、思い切りだとかあっと思わせることができれば自分の道が切り開けるでしょうし、自分がNPBに行きたいって強く思えばなんでもできると思うので、そこは僕も今も独立リーグから変らずハングリー精神を持ってやっているので、独立リーグのみんなもハングリー精神を持って共に頑張っていきましょう。
<おまけ>
――甲子園での登板はどういう流れで登板に至りましたか?
増田 去年から連戦が続く中で、リリーフピッチャーを使いたくないっていう時にメジャーでもよくやっているように投げるかもしれないって言われていて、去年は出番がなかったんですけど。今年に入って過密スケジュールで今年も準備しといてって言われてて。
堀岡が抑えていればもちろんなかったですけど、あそこで満塁ホームラン打たれちゃったので、じゃあいってみるかってなった。自分的にはやっと来たか!って感じでした。投げたい投げたいとは思っていたのでまさか投げるところが甲子園っていうので自分もすごいテンション上がっちゃったんですけど。
行く前に監督には肩壊さないように投げてこいとは言われて。ストライクが入るくらいの力加減で投げることができたので楽しかったです。もうちょい投げれますけど次の日の張りがエグいと思います。(笑)
~取材を通して~
最後まで読んでいただきありがとうございました!徳島インディゴソックス藍スポ編集部の中俊輔です。今回のインタビューでは谷田球団代表と共に質問をさせていただきました。取材が始まってから気づいたことですが、谷田球団代表も増田選手も93年組ということで同学年なんです!直接質問する立場だった僕は少し緊張していたんですが、増田選手はすべての質問に対して丁寧に答えてくださりました。特に盗塁の話になった時に、すぐに具体的な秒数で話をされた部分にはプロとして普段から高い意識を持っているのを感じました。また野球の技術に関する話も多く伺いましたが、それだけでなく夢を追いかけるためのヒントも今回の取材の中にあると思います。これからも増田選手が巨人軍に欠かせない選手として活躍する姿がめちゃめちゃ楽しみです!!
取材・文 中俊輔 (写真 読売巨人軍提供)