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「ぼくがかんがえた巨大ヒーロー」第1話
本日から、自分で考えたオリジナル巨大ヒーロードラマの脚本をアップロードしていきます。
作品の概要は、以下の記事からご覧ください。↓
noteにそのまま貼ると見づらいんですが、内容はそれを凌駕するスケールと面白さでお送りしております。
それでは以下よりご覧ください。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
※4話以降は100円で読めるようにいたします
あらすじ
7年前、謎の巨人と怪獣・ゴルドスとの戦いで大きな被害を受けた青年・増島優斗は、「生まれ育った永樹を人の力で守る」という信念でJRN(Japan Rescue Network)に志願し、地元・永樹市でレスキュー隊員として活動している。
ある日、優斗の幼馴染である桑田礼二、乾大悟、本橋くるみが、東京から帰省することになった。
会話の流れで礼二が、小学校の裏庭にタイムカプセルを埋めていたことを思い出し、4人で掘り出すことになる。
埋めた物品を懐かしんでいると、地底から突如ゴルドスが復活し、市街地で暴れ回り、7年前と同じ惨劇が繰り返されてしまう。
「天覇神社」の本堂で少年を救助している最中、何者かが優斗に「お前の望む力を与えよう」と語りかける。
優斗は、その正体を直感で7年前の巨人だと悟り、かつて自分の故郷を破壊した力を拒絶するが、街の凄惨な状況を見てやむなく融合し、その一度きり巨人として戦うことを選ぶ。
ぼくがかんがえた巨大ヒーロー第1話
UUUUUUネメシス(仮)
第一話『あの日、この場所で』(仮)
第一稿 2024年 11月 10日
(脚本)tokura
【本編キャスト】
増島優斗(24)・・・UUUUUUネメシス。
鳴海今日子(26)・・・東知新聞政治部記者。
桑田礼二(24)・・・元サッカー選手。
本橋くるみ(24)・・・会社員。
乾大悟(24)・・・会社員。
澤田龍(32)・・・レスキュー隊員。
軽部譲太(21)・・・レスキュー隊員。
黒木一(72)・・・カフェのマスター
記者A
記者B
女性客
女性
その他
【特撮キャラクター】
UUUUUUネメシス
大鬣獅子怪獣ゴルドス
【声の出演】
ネメシス
1.(回想)永樹市・市街地(夕)
多くの家屋が倒壊している。
瓦礫を避けながらスマホを耳に当て、
一心不乱に突っ走る優斗。
パニック状態で逃げ惑う人々。
優斗「父さーん!母さーん!」
さらに大きな揺れと共にゴルドスが至近距離に迫っている。
ゴルドスに怯える優斗。
ゴルドスと反対方向から、突如眩い光と共にUUUUUUが現れる。
目を細めながらもUUUUUUを見る優斗。
優斗「次は何だよ」
UUUUUUは病み上がりのような状態でふらふらとしている。
全長20mほどで、ゴルドスよりも一回り小柄。
ゴルドス、UUUUUUを威嚇する。
UUUUUUを恐れている様子。
容赦なく取っ組み合う両者。
UUUUUUのパンチがゴルドスに命中し、ゴルドスが転がると、周辺にある建物もどんどんと壊れていく。
優斗「やめろー!永樹を……俺たちの街を壊すなー!」
ゴルドスがUUUUUUに突進していくと同時に建物や道路も壊れ、UUUUUUが倒れるとまた更に町が壊れる。
優斗、走っていると自分の家の前に着き、家の瓦礫の下で倒れている両親を発見する。
優斗、2人のもとに駆け寄る。
優斗「父さん!母さん!」
UUUUUUが自らにエネルギーを溜め始める。
光の粒子がUUUUUUの体に満ちる。
ゴルドスとUUUUUUの間には永樹北高校の校舎が位置している。
優斗の目にUUUUUUが映り込む。
優斗「ハッ……!」
UUUUUU、光線をゴルドスに向けて放つ。
光線が校舎を破壊し、ゴルドスに向かって伸びていくが、ゴルドス、間一髪で避け、背後にある建物や山に光線が命中し、跡形もなくなる。
光線の軌道の周囲にある建物もエネルギーの余波で消し飛ぶ。
粒子となり消え去るUUUUUU。
ゴルドス、疲弊した様子で地中に戻っていく。
膝から崩れ落ち、地面に拳を叩きつけ、悔し涙を流す優斗。
優斗「うわあああああああああ!」
完全に崩壊した街並み。
<回想終わり>
2.同・点描
市街地の様子。まばらに家屋が位置しているが、建設中のものもある。
× × ×
ほったらかしになっている農地。
× × ×
シャッター商店街。人通りは少ない。
× × ×
国道。車どおりは少ない。
「ようこそ!先進防災都市 永樹へ!」とイラスト付きでポップに描かれた看板。
優斗N「あの惨劇から7年。永樹は復興を遂げつつある。でも、この街からさらに活気は失われ、衰退の一途を辿っている」
3.JRN東北支部第8管区・外観(夜)
4.同・中・3F廊下(夜)
けたたましくサイレンが鳴り響く。
次々に隊員たちが走り抜けていく中に優斗(24)の姿もある。
管区長の声「永樹ロイヤルホテル2F中華レストランの厨房にて火災発生。第3部隊、直ちに出動せよ」
5.同・駐車場(夜)
特殊レスキュー車両「リヴァイアサン」の運転席に乗り込む優斗。
6.永樹市内・国道666号線(夜)
大音量のサイレンを響かせながら、2車線に跨って走るリヴァイアサン。
7.永樹ロイヤルホテル・外
建物の2F部分が激しく燃えている。
入り口前にリヴァイアサンが到着する。
8.リヴァイアサン・中・運転席(夜)
優斗、ハンドル横の緑のボタンを押す。
優斗「急速冷却弾、発射!」
9.永樹ロイヤルホテル・外
リヴァイアサンから建物2F部分目がけて雪の塊のような直径5mほどのボールが4つ発射され、命中すると、速やかに鎮火される。
10. リヴァイアサン・中・運転席(夜)
矢島の声「建物内に男性4人が取り残されている模様。連携して救助せよ」
優斗「了解」
11. 永樹ロイヤルホテル・外(夜)
リヴァイアサンから建物2Fに向けてワイヤーが伸び、優斗、澤田龍(32)、軽部譲太(21)がウインチで滑りながら建物内に入っていく。
12. 同・中華レストラン・厨房・中
瓦礫の下敷きになって倒れているコック4名。
駆け付ける優斗たちレスキュー隊員3名。
レスキュー隊員たち、各自瓦礫を取り除き、コックたちを救出する。
肩を組み進んでいこうとすると、突如
大きな音と共にホールで火災が発生する。
優斗「引火したか」
女性客の声「きゃー!」
澤田「奥にまだもう一人いるのか」
優斗「この人たち連れて先に行ってください」
レスキュー隊員「お前は⁉」
優斗「あの人を助けてきます」
澤田「無茶だ!冷静に考えろ!」
優斗「冷静になってたら、救える人も救えませんよ。それに厨房の人たちも救うことを考えるとあの人に手が回らない!」
優斗、ホールに向かって駆けだす。
軽部「増島さん!」
13. 同・ホール(夜)
辺り一面に炎が広がっている。
瓦礫の山。
優斗、炎の海に突っ込んでいくと、物陰に倒れている女性客の手を発見する。
優斗、防護服のパンツ部分から急速冷却銃・「ブリザード」を取り出し、スプリンクラーモードに切り替え、あたり一面に放つと、速やかに鎮火される。
優斗、瓦礫から女性客を救助し、背負い、駆けていこうとすると、目の前に柱が倒れてきて、道が閉ざされる。
迂回し、出口を目指して駆けていくが、視界がぼんやりとしてくる。
容赦なく立ち込める煙。
苦しそうに目を細める優斗。
14. 永樹中央病院・病室
呼吸器を付けられ、ベッドの上で眠っている優斗。傍らで見守る澤田。
目を覚ます優斗。澤田、ため息をつく。
澤田「無茶しやがって」
優斗「あの人は……?」
澤田「無事だ」
優斗「(ニヤリとし、)やっぱ正しいじゃないですか……俺のやり方」
澤田「馬鹿野郎!たまたまだ。いくら救助技術が発達しても、結局最前線にいるのは俺たち人間だ。次は本当に死ぬかもしれねえぞ」
優斗「大丈夫です。これまでだってそうだったじゃないですか」
15. 永樹ハッピーモール・メインストリート(夜)
T「1週間後」
左腕に包帯を巻き、歩いている優斗。
シャッターのしまった店舗の数々。
シャッターの閉まった寂れた看板の「小久保精肉店」の前を通りかかる。
16. (回想)同・同(夕)
「小久保精肉店」でコロッケを買い、笑いながら頬張り歩いていく優斗(17)と桑田礼二(17)。
17. 同・同(夜)
寂し気な表情を浮かべる優斗。そこからさらに歩いていくと、『喫茶 ロックンロール』に辿りつく。店内からは明るい光が漏れている。
優斗、ドアを開ける。
18. 喫茶 ロックンロール・中(夜)
優斗、入ってくる。
心地よく流れるジャズ。
カウンターの内側から、黒木一(72)が出迎える。
黒木「あら、好青年」
優斗「(笑いながら、)それ毎回言うのな」
黒木「しばらくだけど、元気にしてた?」
優斗「昨日来ただろ」
黒木、奥に向けてウインクする。
優斗、ウインクされた方向を見ると、礼二(24)、乾大悟、(24)本橋くるみ(24)が同じテーブルに着き、食事を楽しんでいる。
礼二、手招きする。
礼二「はやくこ~い」
× × ×
優斗も加わり、宴会を満喫する一同。
優斗「で?何だよ話って」
礼二「卒業間際に小学校の裏庭にタイムカプセル埋めたの覚えてる?」
優斗「そういやそんなの埋めたなあ」
礼二「それを明日掘り起こしに行かないかって今3人で話してたんだよ。ほら、小学校も確か防災博物館とかになるって噂じゃん?工事始まる前に行かねえと」
優斗「あー、じゃあ行くか。俺、明日も非番だし」
礼二「決まりだな!」
優斗「ああ」
礼二「(優斗の左腕を見て、)で、お前は相変わらず無茶してんのなあ」
優斗「しょうがねえだろ。救助活動じゃ、自分を守ろうとする思考が一番邪魔なんだよ」
くるみ「そんなことさらっと言わないでよ」
大悟「そうだよ。まあ優斗らしいけどさ」
優斗「何だそれ。ていうかお前らなんで急に帰ってきたんだよ。珍しいじゃん」
礼二「諦めることにしたんだ。Jリーグ」
優斗「……厳しい世界だったか」
礼二、頷く。
礼二「自分の限界がわかった、って感じかな。これからどうするかは決めてない」
優斗「あの環境で挑戦できただけすげえよ」
くるみと大悟も頷く。
優斗「(くるみと大悟に、)で、お前らは?」
くるみ「私は単純に帰郷かな。一週間くらいのんびりしてから帰るつもり」
優斗「そっか。忙しそうだもんな。ゆっくりしてけよ」
くるみ「うん」
大悟「俺は……親父の墓参り。早いよなあ。あれからもう7年も経つなんて」
優斗「大丈夫か?お前の母さん」
大悟「前を向きつつはある。でも、これからも定期的に様子見に帰るつもり。もう若くないし」
礼二、悔しそうにグラスを握る。
礼二「どう生きようと、結局あの日のこと思い出しちまう。縛られたまんまだ」
くるみ「あの日とどう向き合えばいいんだろう、私たち」
優斗「俺の答えは簡単だ。これからもここで生きる人々を守り続ける。そして一生許さない。怪獣と、あの巨人を」
19. フラッシュ
永樹市内で対峙するゴルドスとUUUUUUネメシス。
20. 永樹中央駅前(朝)
優斗、スマホを何度も確認しながら歩いている。
ふと、天を仰ぐ「光の巨人像」の横を通りかかる。
銅像を支える台には「英雄を称えて 令和6年5月23日」と記されている。
像を睨みつける優斗。
礼二「おーい!」
優斗、声のする方を振り向くと、礼二、大悟、くるみが手を振っている。
優斗、彼らの方に笑顔で向かっていく。
21. 天覇神社・全景
荘厳な佇まい。
22. 同・本堂・表
大きな人間のような存在の輪郭が浮かび上がっては消えるのを繰り返している。
ネメシスの声「私は、このままでは終わらない」
23. 旧花坂小学校・正門前
車から降りる優斗、礼二、大悟、くるみ。
礼二「じゃあ、行きますか」
校舎に向かって歩く優斗以外の3人。立ち止まり、寂しそうに校舎を見ている優斗。
くるみ「どうしたの、優斗?」
優斗「なくなるんだよな……ここも」
俯く礼二、くるみ、大悟。
くるみ「学校の統廃合も珍しくないんだよ。もともと人口も減ってたし、怪獣災害の影響でここ数年、それがさらに加速したの」
優斗「寂しいな」
大悟「まあ、ここで過ごした思い出が消えるわけじゃないし、俺たちさえ覚えてればそれでいいじゃん。な?」
礼二「そうだよ。初恋の舞に告って振られたこともちゃんと覚えとけよ!」
優斗「う、うるせえよ!」
笑う4人。
24. 同・裏庭
優斗、大悟、くるみに囲まれ、スコップで穴を掘る礼二。
礼二「あれー。この辺に埋めたはずなんだけど」
くるみ「見当違いじゃないの。だって12年前でしょ?」
礼二「いやこの辺だってー……(スコップの先に硬い感触があり、)ん?」
礼二、手で土をどけると、金属製の箱が出てくる。
優斗、箱を見て、
優斗「これだ!」
× × ×
各々箱の中身を楽しそうに見ている優斗、礼二、大悟、くるみ。礼二、カードゲームを眺めて、
礼二「懐かしいな~。デュエクラ。よくやったよな」
大悟、木片のようなものを持っている。
優斗、大悟に、
優斗「何だよそれ」
大悟「卒業制作でパネル作ったろ?あれの最後のピースだよ」
優斗「は?お前が持ってたの?」
いたずらに笑い、頷いてみせる大悟。
礼二「それ探すのに滅茶苦茶時間かかったよな!放課後まで居残りさせられて!なんでそんなことしたんだよ」
大悟「いや、これ完成させたらもう全部終わっちゃうような気がしてさ。寂しかったんだよ。いつかここがなくなるのもあの頃なんとなくわかってた気がする」
何も返せなくなる優斗と礼二。
優斗「しっかしあれは独特な絵だったよな。何を意味してたんだろう」
礼二「せっかくだし、後で最後のピース嵌めに行くか!」
くるみ、神妙な面持ちで一枚のメモ帳の切り抜きを見ている。
礼二「(くるみに、)何それ?」
くるみ「この街と戦え、って……。こんなの誰が入れたの?」
大悟「さあ。身に覚えないな。漫画やらアニメやらに影響されて誰かが書いたんじゃない?」
くるみ「そっか。ダッサ……。で、優斗は何埋めたの?」
くるみ、優斗の手を見ると、小綺麗な女性用の髪飾りが握られている。
くるみ「え?」
礼二「何、お前、お母さん困らせようとしたの?」
照れくさそうに髪飾りを隠す優斗。
優斗「ち、ちげえよ。昔仲良くなった子と交換したんだよ。お互いの大切なものを」
大悟「は、何そのステキエピソード」
優斗「連絡先知らねえから交換は一生無理だな」
礼二「ドンマイ。これで2人目だな、振られたの」
優斗「別にそんなんじゃ……」
突如大きな地震に見舞われる。その場に崩れ落ちる4人。
礼二「地震⁉」
大悟「めちゃくちゃデカいな……あの時と一緒だ」
優斗、校舎の裏をふと見ると、ゴルドスが出現する。
優斗「か……怪獣!なんで?」
ゴルドスの咆哮が響き渡る。
腰を抜かす大悟。
大悟「どどどどうする?」
優斗、素早く無線を装着する。
優斗「とにかくお前らは逃げろ。俺は避難誘導に当たる」
校舎を踏み潰すゴルドス。
礼二、うろたえる。
礼二「俺たちの小学校も……」
ゴルドス、4人の背後に位置する天覇山目がけて走っていく。
優斗「まずい、あの先には市街地が」
25. 天覇神社・本堂・外
ネメシスの声「またゴルドスか。諦めが悪いな」
26. 旧花坂小学校・正門前
進行するゴルドス。
優斗「待て!」
ゴルドスを追いかける優斗。
〇東知新聞社・中・デスク
鳴海今日子(26)、記事を推敲している。
突如地震が発生する。どよめく室内。
モニターに永樹市内の様子を伝えるテレビの臨時ニュースが映し出される。
アナウンサーの声「臨時ニュースです。先ほど、山上県永樹市内にて、怪獣が出現し、それに伴いマグニチュード8.0の地震が発生しました。現地は甚大な被害に見舞われ、現時点で確認できるだけでも延べ300名が既に重軽傷を負い……」
モニターを見てざわつく記者たち。
今日子も驚いている。
今日子「永樹……どうしてまた?」
映像を見ながら噂をする記者たち。
記者A「あの怪獣、ゴルドスだよな。てことはまた現れるのか……UUUUUUも」
27. 永樹市・市街地
前進しているゴルドス。
パニック状態で逃げ惑う人々。
ゴルドスの動きに伴い倒壊していく多くの家屋。
JRNのユニフォームを纏い、家屋の下敷きになっている人々を救う優斗。
優斗「大丈夫ですか?立てますか?」
近くでは複数台のリヴァイアサンが巨大な放水ホースで鎮火している。
一人の女性、泣きながら優斗に駆け寄る。
優斗「どうされました?」
女性「息子が……息子が天覇山の方にいるんです!助けに行ってもらえませんか?」
優斗、救助の人員や現状を把握した後、
優斗「わかりました。すぐに向かいます」
女性「ありがとうございますうぅ!」
優斗、ポケットからミニチュアヘリを取り出し、空に放り投げると、それが巨大化し、特殊救助ヘリ「イカロス」となる。
イカロスから伸びているワイヤーをよじ登っていく優斗。
天覇山の方面に向かって駆けていくゴルドス。
28. 永樹市上空
飛行するイカロス。
29. 天覇神社・入口付近
ワイヤーで降下する優斗。
地上に到着すると、イカロスがミニチュアに戻る。
優斗「(大声で、)おーーーーい!」
30. 同・本堂・外
優斗、周囲を見回している。
優斗「おーーーーい!」
少年の泣き声が聞こえる。
優斗、声に気づき、本堂の中に入る。
31. 同・同・中
特異な形状の器を右手に持った仁王像が立っている。
優斗、泣いている少年を発見する。
優斗「無事で良かった。お母さんが心配してる。戻ろう」
ゴルドスの咆哮が響き渡り、激しく揺れる。
32. 同・同・外
迫るゴルドス。
建物に向かって咆哮し、威嚇する。
33. 同・同・中
耳をふさぐ優斗と少年。
優斗「こんなときに……ていうかなんでここに?」
ネメシスの声「困っているようだな。力を貸すぞ」
優斗、ハッとする。
優斗「誰だ⁉」
ネメシスの声「誰でもいいだろう」
優斗、ハッとする。
優斗「……あの時の……巨人?」
ネメシスの声「もっと名前捻れよ……まあそう呼びたければ呼ぶがいい」
優斗、激しく憤る。
優斗「俺は一生許さない!俺たちの街を……人生を踏み躙ったお前らを!」
ネメシスの声「ほう。ならどうする?そのガキを抱えて大人しく下山するか?」
優斗「この街は人の力だけで守る。誰がお前の力なんか!」
優斗、少年と共に外に出る。
34. (回想)永樹市・市街地
ゴルドスに光線を放つUUUUUU。
35. 同・同・外
少年と共に出てくる優斗。
街の様子を見下ろすと、ほぼ壊滅状態。
優斗、膝から崩れ落ち、悔しそうに涙を流す。
優斗「同じだ……7年前と……!」
ネメシスの声「この街を守るだと?笑わせるな。いいか。キレイ事では何も果たせない。何も叶えられない。早く私と融合しろ。このままではお前のせいで泣く人間が増える一方だ」
36. 永樹市・市街地
壊滅状態の中、重傷を負い倒れる人々。
泣きわめく少女。
37. 天覇神社・本堂・外
優斗、目を閉じる。そして力強く開け、立ち上がる。
優斗「……一度きりだ」
ネメシスの声「ケリを着けるぞ」
優斗、右手を掲げる。
38. 同・同・中
仁王像の手に握られている器が光の粒子となり外に出ていく。
39. 同・同・外
優斗の右手に変身アイテムが出現する。
優斗、トリガーを引く。
40. 変身バンク
41. 天覇神社・本堂・外
ゴルドスを思いきり蹴り上げるUUUUUU。
42. 永樹市・市街地
ゴルドス、天覇山付近から飛んできて、地面に落ちる。
それを追うように光の粒子の集合体がひっくり返って転げているゴルドスの目の前に現れる。
光を見る人々。
粒子の集合体はやがてUUUUUUとなる。
胸には「スピリットクリスタル」が生成される。
体勢を立て直すゴルドス、ウルトラマンの姿を見て怯えている。
43. 永樹市・とある場所
必死に逃げている礼二、大悟、くるみ。
後方に強い光が生じ、振り向く。
礼二「……あれは!」
44. 東知新聞東京本社・中
モニターにわらわらと集まっている記者たち。
報道番組に、UUUUUUが映し出される。
記者A「UUUUUU……?」
記者B「すぐ現地で調査させろ」
各所で響き渡る電話のコール音。
慌ただしくモニター前から離れる人々。
モニターを注視する今日子。
45. 永樹市・市街地
ゴルドス、怯えながらもUUUUUUに突っ込む。
ゴルドスを軽くいなすUUUUUU。
泰然自若な様子。
身体をリラックスさせながらもゴルドスに着実に打撃を与えていく。
UUUUUUに感嘆する人々。
市民「頑張れ!UUUUUU!そんなバケモンとっとと倒せ!」
46. インナースペース
意識を失っている優斗。
47. 永樹市・市街地
マウント状態で容赦なくゴルドスをボコボコにするUUUUUU。
UUUUUUの声「どうした?この程度か」
ゴルドス、UUUUUUを振り払い、
体勢を立て直す。
軽く振り払うUUUUUU。
ゴルドス、人々を見ると、自分を見て人々が恐れているのがわかる。
その様子を見て、涙を流す。
UUUUUU、イノセント・プレイを発動。
数秒後、ゴルドスが内面から破裂するように爆散する。
スピリットクリスタルが点滅し始める。
ゴルドスの残骸に手を翳し粒子として吸収していくUUUUUU。
人々、UUUUUUを見て拍手喝采。
市民B「やはりあんたはヒーローだ!ありがとう!」
人々に背を向け、飛んでいくUUUUUU。
48. 永樹市内・山間部
倒れている優斗、意識を取り戻す。
右手には変身アイテムが出現している。
通りかかる礼二、大悟、くるみ。
優斗に気づき、駆け寄る3人。
礼二「優斗!しっかりしろ!優斗」
立ち上がる優斗。咄嗟に右手を隠す。
優斗「あ、ああ。救助してたら俺も巻き込まれちゃって」
くるみ「救助って……。こんなとこ誰もいないじゃん」
優斗「あ、あぁ。そうかな。ははは」
礼二「とにかく俺らの家族は全員無事だ」
大悟「7年前と同じだな。またUUUUUUが助けてくれた」
優斗「俺は……あいつを好きになれない。あいつも街を壊してること忘れてないか?」
礼二「優斗……」
優斗「市街地がやばいみたいだな。救助に当たる。お前らは避難所に行け。2次災害気を付けろよ」
よろよろと歩いていく優斗。
49. 永樹市内・阿弥陀川付近(夕)
変身アイテムを眺める優斗。
優斗の声「これで怪獣は二度と現れない」
変身アイテムを川に投げ捨てる優斗。
濁流に飲まれる変身アイテム。
50. 永樹市内某所・山間部(夜)
暗がりと静寂。
51. 同・同・地中(夜)
怪獣の呻き声。暗闇の中、開かれる目。
シナリオの感想や仕事のご依頼は、以下のアドレスにお願いいたします。↓ tokura.scenario@gmail.com