シーンの始め方を考えるうちに夜が明ける
5話も……たのしみ……
I'm Home4話がめちゃくちゃ面白いって話のつづき!
http://dtlog.sodenoshita.com/chatLogs_iamhome4_h.html
椋実さんの、相手が何をどこまで知っているのかをきっちり管理していくのが本当に凄みなんだよな……
舞台になっている場所を伝える場面の遠景ロングショット、最初の反応を引き出すための語りかけ、反応を待つ間により詳しい情景。
こうして改めれば確かに全てのオープニングは同じプロトコルで切り込んでいる。だというのにその印象は大きく違う。
プレイヤーの反応を引き出すための型を揃えながら物語の見せ方を変える事はできると教えてくれる。
不慣れなGMがとりあえず「こんな場面なんだけどどうするかな、普段どうしているかな」と切り出して「それだけだと動きようがないよ」と停滞した事はないだろうか?
あるいは公式シナリオを持ってきたGMが周辺の描写を先に全て読み上げようとしてプレイヤーがいつまでも反応できなかった事は?
反応できても、描写の途中で出てきたプレイヤーの反応は的外れになってしまった事はないか?
PCから台詞を切り出すシーンを作ろうとして「自分から台詞を切り出すのはちょっと難しいぞ」なんて展開になった事だってあるんじゃないか?
余程熟練したプレイヤーなら、あるいは状況が煮詰まって話すことがはっきりしているなら、このあたりは意識しなくても避けられるだろう。
だが残念ながらいつもやってしまう。
恥ずかしながら、tokuninaはいつもそういう状況を作ってしまっている。おそらくは毎回。
シーンの導入は難しい。
どうやってスムーズに始めてみせるか。ロケット商会さんのこのシーン導入は上手くシーンを始めて物語を引き出す型だ。
じゃあ、毎回そんな型で揃えてシーンを始めるなら飽きないか。飽きない。飽きさせない。改めてI'm homeを読み返してほしい。おそらくここまでに感想を並べたシーン以外も全てがこの型に則っているはずだ。
あるいはそうしようとしたところNPCがPCより早く話し始めてくれて路線を切り替えたか。
PCが最初に話すのは極めて難しい。
終盤にひとつでもPCの台詞から始まるシーンを挿入できたなら、それくらいにPCが「こういうキャラクターだ」とプレイヤーが思えるようになれば、そのセッションは奇跡的なまでの大成功と言えるだろうってくらいの無茶だ。
そんなシーンをどんどん引き出してみせるのも凄いの一言なのだよね……情報収集シーンとか……
なお、これは「だから嗣子さんが凄いぞ」という話でもある。1つのエピソードの中では自分のキャラクターの解像度が一番低くなりがちなセッション開始時に、自分のキャラクターのモノローグからカットを始めてみせたんだから!
つるばみOPはポートランドの“「悪いが、今日は店じまいだなァ」”で反応を引き出す予定だったはずだ。実際会話の始まりはこれだ。
上手いこと出てきた発話に合わせて地の文を修正してみせるのがGMの丁寧さ、醍醐味だろうなあ。
こうして対応してみせるには(それもペースを落とさずに!)どれだけのテキストを用意しておけばいいのか!
あ、プレイヤーが関わらないシーンでは「ロケーション>語りかけ>状況の具体的な描写」の型を崩しているのが見て取れる、っていうのも触れておかねばだ。同じ型ばかりでシーンが始まる印象を崩す効果も見込める。
やっぱなー。
百入さん回想の語り出しがめちゃくちゃ格好いいんだよな……
簡潔に「忘れがたい記憶の回想シーンだ」「一番大事なところに踏み込む」「それは——」ってシーンのロケーションを伝えて、卯花くんの冷たい声で始める。
既にかれらの関係が冷え切っている事を我々は知っている。続くテキストで補強するまでもなく冷たい反応を用意できる。
予想させた上で「もう関係の修復など望むべくもない」と予想より更に重い状況をぶつけてくる。
2人の淡々とした会話。
いつも通り淡々とした卯花と、冷え切った声で切って捨てるような百入の答え!
無関心と嫌悪。どちらも「淡々とした」物言いながら、見える感情はあまりにも違う。
相手の言うことを受けて、返す。
それだけの会話がこんなにも格好いい。
徹底的に百入さんは会話の受け手だ。
うまく返すことに注力すればいいように話題を進めるGMと、それに上手く斬り返すDTさん。
プレイヤーの凄さを引き出す会話の運びと、上手く受けてみせるプレイヤー。
達人同士の剣戟でも見ているかのような。
流れがあんまりにも格好良くなめらかにつながって、ひとつひとつを切り取って感想を引き出すのも難しい。
ただ「相手の言葉を受けて返す」というのを重ねているだけだからだ。
めちゃくちゃ会話が上手い以外に言いようがあるだろうか?
“ついに尻尾を見せた”“ようやくか”。時間がかかっていそうな言い回しと見て時間がかかったものだと返す。
“コンディションがどうであれ”“コンディションなんてずっと最悪だ”。重大な単語は自分でも繰り返す。
リンクスコールの由来。
たすけてくれ。これをもっと詳しく見て詳しく好きだって言える語彙を。
事ここに至ってもなお、卯花を頼る候補として挙げてしまうのが本当になあ!
そのまま頼ってはいけないと切り捨てるにしても、こんな仲でも、真っ先に挙げるのだと。
だから百入さんは優しいと思うのだ。
頼れる人のいなかった過去……
そういえばようやくちゃんと各PCのキャラクターシートを見ました。コンボ名とアイテム欄くらいは見ていたのですけれど。
ロイス欄……自由記述ができるスペースではみんなそれぞれに悪さをするな……たのしい……
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