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手形・小切手がなくなる日

2024年になって、企業間取引の支払い方法が大きく変わってきています。数年前までは、取引顧客からの支払いは、約半数が手形・小切手によるもので、もう半数が振り込み、数件がでんさいもしくはファクタリングでした。
変わった原因をいくつか挙げていきます。
・2023年10月から始まったインボイス制度
・公正取引委員会より出された「手形等のサイトの短縮について」
・取引銀行から発行される手形帳・小切手帳の値上げ

2023年10月から始まったインボイス制度
インボイス制度の開始に伴い、支払手数料の負担が受け取りてから支払い側に変更になりました。振込手数料など、それまで支払い側が手数料分を引いて支払っていました。制度の開始に伴い、振込手数料も支払い側が負担するようになりました。手形・小切手の郵送費用も同じく支払い側の負担となりました。郵便料金値上げ前でも簡易書留の場合404円(郵便料金84円+簡易書留320円)でした。100万円以下の場合は200円の収入印紙を領収書に貼って、それを郵送する際には、更に郵便料金84円かかりました。その上、取立手数料もかかりました。
振込費用も各社様々で、880円というところもありました。請求額が少額な場合などは、手数料の値引きがそれなりの割合を占める場合も出てきました。

公正取引委員会より出された「手形等のサイトの短縮について」
公正取引委員会は、「60日を超える長期の手形等を交付した場合、下請代金支払遅延等防止法の割引困難な手形の交付等に該当する恐れがある」として、その親事業者に対し、指導する方針を公表しました。
にもかかわらず、120日サイトの手形を出してくる顧客もいるのですが。厳格化されてくれば、効果を出してくるでしょう。

取引銀行から発行される手形帳・小切手帳の値上げ
取引銀行にもよるのでしょうが、わが社が取引している銀行の小切手帳に関してですが、以前は770円だったものが、数回の値上げの後、現在では50枚綴りで11000円になっています。一枚当たり220円になります。

2026年度末までに紙の手形・小切手を廃止する方針を、政府が出しています。代替案としてでんさいがあります。
今まで手形で支払いしていた取引顧客の中で、でんさいに移行したのは2割くらいでしょうか。2割はいまだに手形の支払です。残りの6割は銀行振り込みによる支払いに変更になりました。

わが社が支払う場合も、以前は廻し手形+小切手、現金などの場合が半分、銀行振り込みが半分、だったものでした。それが今では廻し手形+小切手、現金などの場合が3分の1、銀行振り込みが3分の2といった割合に変化してきました。紙の手形・小切手がなくならない理由は、未だに手形をもらうことがあること、値上がり前に購入した小切手帳が残っていることです。
いずれ小切手帳を使い切れば、銀行振り込みに移行していくでしょう。

でんさいも回しで支払いに充てることができるのですが、受け手側もでんさいの口座が開設してないと支払いできません。大半の企業がでんさい口座を持つまでは、いましばらくかかりそうです。その為、現時点においてでんさいのスムーズな運用は難しそうです。
大半の商取引の支払いが、銀行振り込みになっていくことは、キャッシュの見える化になり良いことです。自社がキャッシュをどれくらい保有しているかを把握することは、経営していく上で重要な項目です。
ただでさえ企業は買掛金・売掛金があり、売上は立っているのだけれど現金がない、などということにもなりかねません。運転資金が枯渇してしまうということです。買掛金として待ってくれる取引先もあるかもしれませんが、公共料金や税金など支払期日の融通が利かないところも多々あります。
キャッシュ比率が高まることで、不用意な資金調達を行う必要もなくなるかもしれません。資金は企業経営の血液ですから、途絶えさせるわけにはいきません。
手形・小切手がなくなることは、運転資金の見える化を進めてくれることでしょう。

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