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ねじ留めor溶接:燕三条の町工場の一例

金属の部品同士を組み合わせる方法は、主にねじ留めと溶接になります。
ねじ留めは部品同士に穴をあけ、ねじを通してナットで留めます。
もしくは一方の部品にタップを立てて、もう一つの部品に穴をあけて、ねじを通して止めます。
溶接は部材同士に高圧の電気をかけて接合部分を溶かしてくっつけます。
もしくは部材同士の間に溶けた金属を流し込み部材同士も高圧の電気をかけて溶かしてくっつけます。
文章にして表すと大仰ですが、日常業務で行っている作業です。

ねじ留め、溶接の特徴を挙げていきましょう。

ねじ留めの特徴
・ねじを外すと分解できる。
・異素材同士も接合できる。
・表面処理後に組み立てることが出来る。

溶接の特徴
・金属同士を溶かして接合するため、接合部が丈夫。
・接合用の穴を開けなくても、接合することが出来る。
・連続溶接することで水漏れなき接合をすることが出来る。

・ねじを外すと分解できる。
一度接合したら二度と分解する必要のないものなら必要ないですが、メンテナンスの際に分解する必要のある部品もあります。そういった場合、溶接では分解することが出来ないため、ねじ留めによる組み立ては有効です。
またねじの長さを調整することによって、部品同士の間隔を動かすことも出来ます。
ただし、長期間放置することでねじ山が錆びて動かなくなることもありますので、注意が必要です。

・異素材同士も接合できる。
ねじ留めてあれば、金属のボードに樹脂のパネルを固定することも出来ます。溶接は基本的に同じ金属同士しか接合できません。それに対しねじ留めは部材に穴をあけてねじで固定するため、異素材同士の固定に適しています。

・表面処理後に組み立てることが出来る。
塗装やメッキなど金属を表面加工してしまうと、溶接は行えません。金属の表面を溶かして接合するため、金属表面の被膜がはがれてしまうからです。
ねじ留めであれば、異なる塗装を施した部品同士も問題なく接合することが出来ます。

・金属同士を溶かして接合するため、接合部が丈夫。
接合部が溶け込んでいるため、余程の衝撃を加えなければ外れません。
ただし溶接の溶け込みが不十分だと溶接外れの原因になります。
また長時間の振動や負荷をかけ続けることで、溶接部分が金属疲労を起こし破損の原因になります。

・接合用の穴を開けなくても、接合することが出来る。
ねじ留めの場合は、ねじが通る穴が必要になります。接合する穴同士のピッチがズレているとねじをとめることが出来ず、不良になってしまいます。
それに対し溶接は、接合したい位置に部材同士を設置し溶接作業を行うことが出来ます。ただし、適当な位置に溶接すれば良いというわけではなく、決められた位置に部材を設置するためには、マークをするとか、治具で固定するなどの必要があります。

・連続溶接することで水漏れなき接合をすることが出来る。
気密性を要する部品の場合、ねじ留めでは接合部分から漏れが生じてきます。ゴムパッキンを挟んだり、コーキング処理をしたりと対策が必要になります。それに対し溶接加工では、接合部どうしを溶かしてくっつけるため、気密性を保った接合が可能となります。当然、検査は必要になります。溶接が不十分でピンホールが発生した場合は、その部分から漏れが発生してしまいます。そうした場合は再度溶接加工を施すことで、ピンホールを埋めていきます。

その他にも様々な接合方法がありますが、主要な二点に絞って書いてみました。用途や求められる品質などにより接合方法は変わってきます。どちらの方法もオールマイティで完璧なわけではありません。

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