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サッカー型組織:燕三条の町工場の一例
野球型組織か、サッカー型組織か、でいったらサッカー型組織をめざす。
会社ではは多くのスタッフが同時に働いています。町工場でものづくりをする場合も、多くのスタッフが様々な工程を担当しながら、連携して働いています。
どのような指揮系統で働くかを大きく2つに分けてみます。
野球型組織
野球での守備は、それぞれのポジションが固定されています。ピッチャーがボールを投げ、キャッチャーがボールを受ける。守備はそれぞれ決められた位置につきます。バッターがボールを打った場合には、適切に捕球しアウトを狙います。
製造現場になぞらえると、担当スタッフがそれぞれの工程をきっちりと担当し、次の工程に受け渡していきます。スタッフ同士の工程間の移動は基本的に行われませんし、自分の担当範囲に責任を持ちます。
サッカー型組織
サッカーでは、選手間でボールをパスしながら、敵陣に攻めていきます。ドリブルで相手をかわしていくこともありますが、複数の選手間でパスをしながら相手ディフェンスを崩して、シュートまで持ってきます。フォアード、ミッドフィルダー、ディフェンスなどのポジションは決まっていますが、野球ほど固定化されているわけではなく、状況によって流動的にポジションを変えていきます。コーナーキックなどのセットプレーで得点というシーンもありますが、混戦の中でボールをゴールに押し込むのもチームプレーのなせる業です。
製造現場になぞらえると、それぞれのスタッフが担当する工程は、大まかには決まっているが、状況によっては工程を移動したり、交換したりもありうるということになります。
トクニ工業の場合、定番品を一定の数量、安定的に生産していくような製造現場とは異なります。定番品も一定の割合で取り扱ってはおりますが、特注品を主に扱っているため、複数の顧客から複数の注文が同時に入ってくる場合もあり、そのような状況になると突然、特定の工程が忙しくなります。(逆にどの顧客からも注文が入ってこなくなると、急激に仕事量が落ちてしまうというリスクもあります。)
特定の工程が忙しくなる。つまりボトルネックが発生するわけです。
その場合、従来のスタッフの工程配置では対応できなくなり、製造工程に混乱が生じます。また、納期の遅延も発生しかねません。
対策としては、ボトルネックとなっている工程にスタッフを多く配置し、その工程の生産量を上げてやります。コーナーキックの際、ゴール前に選手が設定くような状態で、得点を狙います。
急激に混むような状態になるのは一時的なので、山場が過ぎれば、本来のポジションに戻ります。
また、製造現場では複数の製品が様々な工程を経て完成品に違ずいていきます。サッカーで例えると複数のボールが同時にピッチ上にあり、それぞれが完成というゴールを目指していくようなものでしょうか。
例えば、自動車部品などを製造してる会社であれば、看板方式に基づき、定められた納期で、必要な数量を不具合なく作ることが求められます。つまり、決められたポジションで安定して生産に携わる野球型組織が適しているわけです。
それに対して、様々な業界から様々な案件を受注しているような雑食系の製造業にとっては、きっちりと固定した組織ではなく、その時の状況に応じてフレキシブルに対応できる組織が、(たとえ若干非効率になっても)適しているとおもいます。
効率的に仕事をしたからといって利益が積みあがっていくとは限りません。安定した収益が見込まれる業態では、新規参入リスクが高く薄利多売になりがちです。安定した生産量が確保できるうちは良いのですが、一連の自動車業界の不祥事などに見舞われると、予定に変調を来たしてしまいます。
必ずしもサッカー型の組織が秀でているというわけではありません。事業規模や業種などによっても変わってくるでしょう。
サッカー型組織に属しているからかもしれませんが、やり遂げた際の達成感が大きいと思います。
安定した仕事で着実に結果を出していくことは良いことです。
ただ、一緒に働くスタッフと特注案件を完成させ、クライアントから感謝の言葉をもらうのは、ものづくりに携わる者として幸せな瞬間です。