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もう一つのラブストーリー⑤「巨大迷路」
「ちえ」に告白した翌日も、いつものように10時に迎えに行きました。
「おはようトクちゃん」
「おはよう」
「今日は、どこ行くの?」
「それは、ひ・み・つ」
「今日はね、お弁当作ってきたんだ、トクちゃんサンドイッチ好きそうだったからサンドイッチにしたよ」
「おお、ありがとう。「ちえ」の手作りのサンドイッチが食えるのか···。楽しみだな」
「トクちゃん今日は「ちえ」って言ってくれたね」
「うん、まだ照れくさいんだけどな」
そこから車を2時間程走らせた所に巨大迷路がありました。
ここが、今日の目的地です。
「今日のデートは、ここなんだ」
「ここってなんなの?」
「迷路だよ、巨大迷路になってんだよ」
車から降りて巨大迷路に行くと、標準完走時間45分と書いてありました。
「45分か···、「ちえ」トイレは大丈夫?」
「俺、ちょっとトイレ寄ってくよ」
「じゃあ私も行っとくよ」
「さあて、どうするか、別々に行って競走するか、二人で一緒に行くかだな」
「私、方向音痴だから、ひとりじゃ絶対無理、一緒に行こう」
「良し、じゃあ一緒に行こう」と言って「ちえ」の手を握りました。
少しでも長く「ちえ」と手を繋いでいたかったので、ワザと道を間違えて歩いているうちに、ホントに迷ってしまいました。
「あれ、おかしいな?完全に迷ったぞ」
「トイレ大丈夫?」
「うん、さっき行ってきたから大丈夫」
「俺、なんかオシッコ出たくなっちゃったよ」
「歳とるとオシッコが近くなるね(笑)」
それでもなんとか、1時間程で無事に迷路から抜け出せました。
「あー、やっと出れた。標準時間より、余計にかかっちゃったな。お腹空いちゃったよ」
「私もお腹空いたあ」
「じゃあ、あそこのベンチでお昼にしょうか? 」
「トクちゃん、いっぱい作ってきたからね。たくさん食べて良いよ」
「じゃあ、いただきま~す」
「俺、このタマゴサンドが一番好きなんだよな」
「そう思って、タマゴサンドいっぱい作ったんだ」
「「ちえ」って優しいし気が利くな」
「あ、それからさあ、これからのデート代のことなんだけど」
「奢ったり奢られたりするの面倒だから、毎月、同じ金額を出し合って、一つの財布に入れとくってどう?」
「うん、それ良いね」
「それで、その財布は〇〇さんに持ってて欲しいんだけど、どう?」
「財布を持ってるのは良いんだけど、トクちゃん、また〇〇さんって言ってるよ」
「あ···、ゴメン。まだ意識してないと〇〇さんって言っちゃうよ(笑)」
「二人の財布は、このポシェットに入れとくね」
「ちえ」は、いつも可愛いポシェットを身に付けていました。
それから海岸沿いをドライブして夕食はオーシャンビューの喫茶店で済ませました。
「トクちゃん、オシャレな、お店知ってるよね。さては元カノと来てたなあ?」
「そういう話しはしないってこの前言ったよな?」
「でも気になるなあ···。トクちゃんの元カノのこと」
「俺も「ちえ」の元彼のこと気になるけど聞かないからさ」
「そう言えば「ちえ」の誕生日ってまだ聞いてなかったな、何月生まれ?」
「私は9月生まれだけど。9月5日だよ」
「俺は、3月生まれだから「ちえ」の方が半年位年上だよな···。やっぱり〇〇さんって呼ぼうか?」
「同級生なんだから年上じゃないよ~、私とトクちゃんは同い年なの」
「まあ、そうしとくか···」
「明日は仕事だから、今日は早目に帰ろか、来週の土曜日も会ってくれる?」
「うん、大丈夫だよ、これから毎週土日は空けとくから」
「なんか1週間会えないのが寂しいな···」
「私もだよ」
「平日で会える日があれば良いんだけどな···」
「私は仕事が終われば大丈夫だけど、トクちゃんは何か用事があるの?」
「俺、火、木、金は空手の稽古日なんだよな···。最近は、金曜日は空手じゃなくてバスケやってんだけど」
「へえ~、トクちゃんバスケもやってんの?」
「うん、一応バスケ部のキャプテンだから」
「トクちゃん凄いね、キャプテンなんだあ···。でも高校の時ってバスケやってたっけ?」
「高校の時はやってないよ、バスケ部のキャプテンから誘われたんだけど無理ですって断っちゃった」
「なんで断っちゃったの?」
「俺、背もちっちゃいしさ、高校レベルじゃ無理だって思ったから」
「私は吹奏楽部だったけど、トクちゃんは何部だったの?」
「俺は、1年の時は応援団と将棋部だった」
「2年からは将棋部だけ」
「へえ~、トクちゃん将棋部だったんだあ。私、クラブ活動は将棋だったよ」
「え~、俺も将棋クラブだったんだけど···。「ちえ」のこと全然知らなかった」
「私もトクちゃんのこと全然知らなかったよ」
「アハハ、お互いに全然意識してなかったんだな(笑)」
つづく
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