新説「かぐや姫」
あるところに、竹取をして生活している竹取の翁と言われる者がありまし。
翁には長年連れ添った嫗がありました。
ある時、翁が、いつものように竹取をしていると、金色に光った竹を見つけました。
「これは、金の竹かもしれない、これを切って売ったらたいそうなお金になるに違いない、しめししめ」
翁は、元々欲深い性格だったので、喜んで、その竹を切りました。
すると⋯。
竹の中には、小さな女の子がおりました。
翁な、女の子には目もくれず切った竹を見てみました。
すると⋯。
なんと、竹は、普通の竹に戻ってしまっていました。
「なんだこれは、普通の竹じゃないか、これは、一儲けしそこなったわい、せめてこの女の子を連れて帰りお手伝いにでもさせようか」
翁は、そう思い女の子を家に連れて帰りました。
家で待っていた嫗にことの次第を話すと「それでは、この女の子がお手伝いができるようにワシが仕込んであげよう」と言いました。
そして、この女の子に「かぐや姫」と名ずけてたいそう厳しく育てました。
それから15年がたちました。
「かぐや姫」は、たいそう綺麗な女の子に成長いたしました。
あまりの、「かぐや姫」の美しさに噂は、村中に響き渡りました。
「「かぐや姫」を一目みたい」そう言ってたくさんの人が翁の家に訪れました。
翁は「ワシ達が苦労して育てた、「かぐや姫」じゃ、ただでは見せられん」
「「かぐや姫」に会いたい者は10分で10文支払いなさい」と言いました。
村人の大半は、苦しい生活をしていたので、10文払える者は限られていました。
しかし、数少ない「かぐや姫」に会えた者が「「かぐや姫」は、10文払っても惜しくないほど美しい娘であった」
と言い合ったので、「かぐや姫」の美しさは、更に評判となりました。
その評判は、宮中にまで届き、5人の貴族が「「かぐや姫」を一目見たい」と言って来ました。
「お公家様達、あなた達のようなお金持ちには10文では足りませぬ」
「一両出したら、「かぐや姫」に一時間会わせましょう」と翁は言いました。
貴族にとって一両というのは安い金額です。
5人の貴族は、一両出して「かぐや姫」に一時間会いました。
すると、5人すべての貴族が「かぐや姫」を是非ともお嫁に欲しいと言いました。
「お公家様達、「かぐや姫」をここまで育てたのには、大変な苦労がございました」
「ただで、「かぐや姫」をお嫁に出すワケにまいりません」
そう言うと5人の公家達に、それぞれたいそうな宝物と引き換えに「かぐや姫」をお嫁に出すと伝えました。
5人の公家達は、翁の要求通りに、宝物を持って来ました。
しかし、翁は「これは、偽物だ、あれも偽物だ」と言っては、難癖をつけて「かぐや姫」をお嫁に出すことはしませんでした。
そのくせ、公家達が持って来た宝物を返すこともしませんでした。
翁は、その宝物をお金に替えて、たいそうなお金持ちとなりました。
人間とは欲深いもので、金銭欲が満たされると次は権力が欲しくなります。
そんな時に、帝からの使者が翁のところにやって来ました。
「帝が「かぐや姫」をお嫁に欲しいと言っています。すぐに「かぐや姫」を帝に差し出しなさい」
すると翁は「たとえ帝とはいえ、苦労して育てた「かぐや姫」をすぐに差し出しわけにはまいりません」
「条件がございます」
「その条件とはなんだ」
「まず「かぐや姫」を正室とすること。それに「かぐや姫」の産んだ子供を皇太子として次の帝とすること」
「この条件さえ満たして頂ければ「かぐや姫」を帝に差し出しましょう」
「分かった。帰って帝にそう伝えよう」と言って使者は一度宮中に帰りました。
次の日に使者はまた、やって来ました。
「帝が、その条件をお飲みになるとのことです。すぐに「かぐや姫」を差し出しなさい」
「それでは、帝に念書を書いて頂きたいと思います。念書を書いて頂いて、ワシ達夫婦を宮中に住まわせてもらえるなら、すぐに「かぐや姫」を差し出しましよう」
そして「かぐや姫」は、帝の正室となり、翁夫婦は、宮中に住まうこととなりました。
翌年に「かぐや姫」は男の子を出産しました。
帝は、約束通りに、その男の子を皇太子としました。
すると翁は、更に欲が出てきました。
「ワシ達夫婦は、皇太子の祖父母である。ですから万が一帝が早く亡くなられた時には、ワシを摂政とするように」に願い出ました。
帝は、「かぐや姫」にベタ惚れだったのでその条件を飲むことにしました。
すると翁は、お金にものを言わせて、ある者に帝に毒をもるもうに画策しました。
そして、帝の暗殺は見事に成功し、翁は、願い通り摂政の位に着くことができましたとさ。