
「なな」(22)「永遠の別れ」
今回でも「なな」との思い出も最終回になります。
それは、「なな」がもうこの世にはいないからです。
人生には3つの坂があると言います。
「登り坂」と「下り坂」それに「まさか」です。
「なな」は、私が「俺はなんでもできる」と自信満々だった「登り坂」を一緒に歩いてくれました。
そして女房は、うつ病になり何もできなくなった私と「下り坂」を一緒に歩いてくれました。
そして最後の「まさか」を教えてくれたのも「なな」でした。
人伝えに聞いたので、詳しいことは分かりませんが、「なな」は夜中に倒れて、救急搬送されたのですが、それから1週間後に息を引き取ったそうです。
享年48歳という若さでした。
うつ病の苦しさに負けて、何度も自殺未遂を繰り返した私が生き残り、あの「なな」が先に逝くなんて⋯。
今でも信じられません。
私には一つの夢がありました。
それは、さだまさしの関白宣言のように、私が息を引き取る時に「なな」の手を握り、「「なな」のおかげで良い人生だった」と一言、言ってから息を引き取ることでした。
今は、もうこの夢はかないません。
私が死んで、天国に行けたら、また「なな」と再会できるのでしょうか?
「なな」は、あの頃の満面の笑顔で私を迎えてくれるのでしょうか?
女性の恋愛は「上書き保存」で男性の恋愛は「名前を付けて保存」だと言われます。
私の心の中には「なな」との恋愛が、「名前を付けて保存」されていますが、「なな」の心の中では、私との恋愛は「上書き保存」されて消えているのかもしれませんね。
でも、あの病院の面会時に言ってくれた言葉が事実ならば⋯。
もしかしたら、「なな」の心の中に「私との恋愛」が名前を付けて保存されているのかもしれません。
もっとも、約3年間の付き合いの私よりも、20年以上連れ添ったご主人を迎えることが自然なのかもしれません。
さあ、これで「なな」とは永遠のお別れとなってしまいました。
しかし、私の心の中の「なな」はこれからもずっと永遠です。
この「なな」との思い出シリーズを全部読んで頂けるととても嬉しいです。
完
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