寿命を買う女
こんにちはトクです。
本日も訪問くださりありがとうございますm(*_ _)m
今回も創作物語(ショートショート)を書いてみたいと思います。
拙い文章ですが、最後までお付き合いをお願い致します。
「寿命買います」
電車の中吊り広告にそう書かれていた。
電車に乗る大抵の人間は、中吊り広告など見ているようで見ていない。
そんな中である男が、その中吊り広告に目をとめた。
「寿命買います?」
「寿命なんて売れるものなのか?」
男の頭の中は「?」でいっぱいになった。
男は中吊り広告に書かれていたビルに行ってみた。
男は金に困っていたのだ。
ビル内の一室に「寿命買います」という看板がかかっていた。
その一室に入ると、カウンター内に女が立っていた。
「いらっしゃいませ。寿命をお売りになりますか?それともお買い上げですか?」
女は男に声をかけた。
「売る方です・・・。しかし、寿命ってホントに買ってもらえるんですか?」
「はい。人によって単価は変わってきますが、こちらで寿命を買取できます」
「単価が変わる?」
「俺のような生きていても仕方がない人間の単価はやっぱり安いのかな・・・」
「ご希望であれば、こちらで査定をさせて頂きます」
男は言われるままに女の前に立った。
女は、何やらパソコンを叩き始めると「お待たせしました。こちらが査定額にります」
女が示した紙を見ると・・・。
「俺の寿命の単価は1万円か・・・」
「ところで、こんな商売って、そもそも成り立つのか?」
女は答えた。
「この世には2種類の人間がいます。一方は、この物質世界で満ち足りた生活をしている人間。もう一方は、この世に絶望しか感じないです」
「前者は、一日でも長く生きたがり、後者は一日でも早くこの世から去りたいと思っています」
寿命に対する需要と供給は成り立っているのだ。
この女は、この世に絶望した人間から寿命を買い取っては、一日でも長く生きたがる人間に高額で売っていたのだ。
供給が止まることはない。
何しろ年間に2万人を超える自殺者を出す、自殺大国日本である。
うつ病等の精神疾患を持つ人間は、女のお得意様である。
自殺をするよりも、寿命を売ってしまえば、残された家族も助かるというものだ。
人生に絶望した人間は、寿命を売りたがり、人生に希望しかない人間は寿命って買いたがる。
それが世の常である。
「しかし、寿命を売ったらホントに寿命が短くなるのか?どんなシステムなのか?」
男はその点が気になった。
カラクリは簡単である。
人間とは暗示に弱い生き物である。
「寿命を買い取ったから、あなたの余命は3ヶ月です」と言われれば、ホントに3ヶ月後には亡くなるのだ。
その反対に「寿命をお買い上げ頂いたので、あなたの余命は50年です」
そう言われれば、ホントに長生きする。
そういうものなのだ。
つまり、女は、何もせずに金儲けをしてあたのである。
それでは、最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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