「ちえ」(53)「また告白されちゃった」
土曜日の朝、10時に「ちえ」を自宅まで迎えに行きました。
「トクちゃん、何かあった?浮かない顔してるけど」
「うん、ちょっとな。アパートに着いたら話すよ」
アパートに到着後。
「「ちえ」に言っときたいことあるんだ⋯」
「何?もしかして、また告白された?(笑)」
「なんで分かった?」
「えっ⋯。冗談で言ったのに⋯。ホントなの?」
「うん⋯」
「はぁ⋯。今度は誰なの?」
「この間、ファミレスに連れてった子⋯」
「ゴメンな、あんなことしなきゃ良かった⋯」
「いつ告白されたの?」
「昨日の仕事終わり」
「ファミレス行ってからさあ、なんか誤解されたみたいで、仕事終わりに俺のとこ来るようになったんだ⋯」
「トクちゃんが、気があるようなこと言ったんじゃないの?」
「そんなこと言ってないよ。まだ、18歳の子だぞ」
「どんな話しになったの?」
「うん、仕事終わって駐車場まで歩いてる時に、後ろから追いかけてきてさあ」
「Tさん、また、どこか連れてってくれますか?」
「って言われたから、ゴメンね、俺、彼女いるから、そういうことはできないんだよ」
「って言ったらさあ⋯」
「いきなり「私、Tさんのこと好きなんですけど、彼女いても良いですから、私と付き合ってくれませんか」だって⋯」
「それで、トクちゃんは、なんて言ったの?」
「そういう彼女を裏切るようなことはできないって言ったんだよ」
「「Oさんには、もっと若い男の子の方が合うと思うよ」って言ったんだけどさあ⋯」
「言うこと聞かないんだよ⋯」
「18歳か⋯」
「大人の男の人に憧れる時期かなぁ⋯」
「そうなの?「ちえ」もそうだった?」
「う~ん。同級生の男の子が子供に見えたのは確かだね」
「えっ、じゃあ俺のことも子供だと思ってたの?」
「あの頃はね⋯」
「ふ~ん、そうだったんだあ」
「じゃあ、あの頃に告白しても、振られたんだな、きっと⋯」
「今のトクちゃんは子供じゃないよ」
「そうかあ?」
「うん、私より全然大人だと思うよ」
「それに、トクちゃん、優しいから、そんな若い子に告白されるんだよ」
「ちゃんと断ってよね」
「だからさあ、断ったんだって」
「でも、あんまり強く言って、泣かれでもしたら嫌だしなあ⋯」
「トクちゃん、ホントに私のこと好きなんだよね?」
「それって今さら聞くか?」
「だって、トクちゃん誰にでも優しいからさあ⋯」
「不安になっちゃうんだよね⋯」
「俺が好きなのは「ちえ」だけだから。「ちえ」だけで十分満足してるから」
「でも、Hビデオは見たいんでしょ?」
「それとこれとは話が別じゃん」
「俺がHするのは「ちえ」だけだからさ⋯」
「見るだけなら良いじゃん」
「こら!見ちゃダメでしょ!」
「トクちゃんが見て良いのは私だけだからね」
「それって、女の裸は「ちえ」のだけしか見ちゃダメってことか?」
「そうに決まってるでしょ!」
「そっかあ⋯」
「それでさあ、あの子のことどうしよう?」
「もう、トクちゃん、しっかりしてよ」
「ちゃんと断れば良いでしょ!」
「だからさあ、断ったって言ってんじゃん」
「言うこと聞かないから困ってんじゃん⋯」
「「ちえ」が18歳の頃って、断られる時に、どう言って欲しかった?」
「う~ん。子供扱いされたら、諦めるかな⋯」
「女の子だって思われてないって分かれば諦めてくれるんじゃないかな⋯」
「分かった、月曜日からそうするよ」
「それでさあ、今日は泊まってけるの?」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあさあ、久しぶりにラブホ行く?」
「ラブホ連れてってくれるの?」
「うん、Hから聞いたんだけどさあ、凄く良いラブホがあるんだって」
「場所聞いて来たから行ってみよ」
「うん、なんか楽しみだね」
つづく