普段M-1を見ない自分がガチでM-1を見た感想と個人的順位を書く
M-1がやっていても普段はあまり見ないけど、なんとなく気が向いたので見てみた。何年か前に見たこと自体はあると思うけどここ数年は全く見ていない。最近の芸人もラランドくらいしかわからないレベルだ。
どうせ見るならブログのネタにするために本気で見ようと思い、メモをしながらテレビにかじりついていた。今回はそのM-1の感想や個人的順位を書いていきたいと思う。
1ラウンドと最終決戦の両方を登場順に感想や順位を書いて、最後に総評を書こうと思う。ちなみに最終決戦に進出したコンビについても1ラウンドのところでは1ラウンドの漫才だけを評価対象としている。それでは早速感想を書いていこうと思う。
1番手:令和ロマン(1ラウンド)
1ラウンド点数→648点(3位)、個人的順位→2位
まず令和ロマンの掴みは「髭を顔で囲うことによって独立させようとしている」というネタ。決勝でも髭ネタ使ってたので定番なんだろうか?領土ネタなのでちょっとおもしろかった。
令和ロマンの本筋としては、「パンをくわえた主人公が登校中に知らない人とぶつかるも実は転校生だった」という創作物あるあるネタがベースとなっていた。普段漫才を見ないのでこういう漫画あるあるネタがお茶の間に通じるようになったんだなという意外さがあった。
こういった漫画あるあるネタって若い人には当たり前のように通じるので受け入れられているけど意外と高齢者には伝わらなかったりする。自分は祖母と同居しているので、そういったネタが伝わらない様子をよく見ている。
しかし現に令和ロマンが決戦に進出しているので「パンをくわえた主人公が登校中にぶつかる」というネタもある程度広い世代に受け入れられるようになったのかもしれない。今回のM-1では令和ロマンだけじゃないけどそういうことを感じるネタがいくつかあった。
肝心のネタについては日体大のところが面白かった。天国へ向かってすしざんまいも好き。随所のフレーズがキャッチーで面白いと思う。
2番手:シシガシラ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→627点(9位)、個人的順位→8位
シシガシラは脇田さん(ハゲている方)のツッコミの声や抑揚は良かったと思う。ただ若干きわどいネタをやっていたのでちょっと風刺が強すぎるかなと思ってしまった面はある。
「看護婦じゃなくて看護師と言わなければいけない」という、昔は普通に使っていたけど今は使っていけないという言葉。そういった言葉の変化をベースに「ハゲはいいの!?」という疑問で面白さを作り出す漫才だとは思うけど、ハゲですら若干グレーゾーンな風潮になってきているのでなんとなくソワソワしてしまった。
見ている側がソワソワしなくてもいいとは思うんだけど、昨今はちょっとでもグレーゾーンなネタを見ると「これって後でクレームきたりして炎上とかしないよな……?」という目線で見てしまう。自分はそういうコンプラ重視の風潮にはむしろ反感を抱くタイプではあるけど、いざコンテンツの中にそういうネタがあったりするとなんとなく不安になってしまう。
あと昨今の風潮に対する嫌味っぽさが若干強くて風刺ネタとしては良いけど、こういった場での笑いとしてはディープすぎたかなという印象もある。自分でも考えすぎかなと思う面はあるけど、どうしてもそう思ってしまった。ツッコミ自体は面白かったのでネタが違えば個人的にはもっと上位にしたかもしれない。
3番手:さや香(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→659点(1位)、個人的順位→5位
国際交流が大事な時代なのでブラジルからホームステイを受け入れるという話の漫才。エンゾくんという子が今度ホームステイにくるから、迎えるのに緊張してて黙って引っ越そうとしているというネタ。
「ホームステイ飛ぶ」というワードがすでに面白いと思う。これだけで面白い視点なのでとても好き。中盤までのそういった掛け合いは面白かった。
ただ途中から大声漫才みたいになったところから微妙に感じた。そういうのが好きな人は好きなのかもしれないけど個人的には中盤までの温度感で漫才を見たかったなという気持ちが強い。
4番手:カベポスター(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→635点(6位)、個人的順位→1位
夜に学校で写真を撮って願い事を書いた紙とともにある場所に供えると願い事が叶うというおまじないの話の漫才。しかし結局おまじないではなく校長を脅していただけというネタ。こういう変転は好き。
後半も「ララシの音を吹いたら新しいおまじないに繋がるかもしれない」という皮肉が最高だった。個人的には一番好きなタイプの漫才。
ただ順位的には6位なのでこういうタイプは点数を取りづらいのかもしれない。
5番手:マユリカ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→645点(4位)、個人的順位→4位
ギスギスしている夫婦の漫才。ギスギスしてて話を拒否するけど気になりすぎることを言っているから話を聞いてしまうというネタ。
ちょっとしたワードのセンスが好き。東大に出てフードファイターをしているタダフケシ、冬になったら浴槽でおでんを作るマクラダベイ、尾木ママのサインを集めてるユザワコンクリ。これらは刺さらない人には刺さらないかもしれないけど自分には刺さった。この部分ってセンスが好きとしか言えない領域な気がする。
ただ「ズッキンズッキンプッチン不倫ですポンピー!」のところはよくわからなかった。なにか元ネタあるのか、単純な奇声なのかはわからないけど長い尺をとる割には面白さがよくわからなかった感じ。最後まで中盤のテンション感だったら個人的には良かったと思う。
あと導入がわかりづらかった感じがする。なんで夫婦のコントしてたんだっけという疑問があって、見直しても唐突じゃないかという印象を受けた。そのあたりのキャッチーさが薄かった気がする。だたワードセンスが好きなので4位とした。
6番手:ヤーレンズ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→656点(2位)、個人的順位→3位
変な大家に挨拶しに行くという漫才。ボケの楢原さんの方の演技が上手くてそれだけでわかりやすい漫才だったと思う。「サブちゃん演歌スクール」など随所に面白ワードもあったし全体として完成度が高いと思う。
点数自体が伸びた理由もクラシックな漫才風味というのが大きいんじゃないかと思う。前提知識を必要とするネタが少なかった印象なので誰でも見やすい漫才だと感じた。
ただ逆に「クラシックすぎないか?」という風に感じてしまった面はある。わかりやすくするにしても置きにきすぎてる感じはする。クラシックだからこそ完成度が高いという見方もあるけど、このあたりは好みが別れそうなところだと思う。M-1というより笑点の大喜利前の漫才で出てきそうなクラシック感がある。完成度という側面でいうと確かに1位か2位だけど個人的な好みとして3位にした。
7番手:真空ジェシカ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→643点(5位)、個人的順位→6位
10組の内、個人的に一番順位を決めるのが難しかったのが真空ジェシカである。というのもネタがトリッキーすぎるからだ。B画館やZ画館というネタは斬新で面白いけど、変化球すぎるしどう評価するかが難しい。
ムービィ勝山とかクローン澤明みたいに映画ネタをもじったネタが登場する感じで映画好きとしては面白かった。ただもじりが一部わかりづらかったので漫才自体にあまりのれなかった感じがする。エンジンのスマホもよくわからなかった。映画泥棒が勝ったとか随所に好きなネタはあるけど、微妙なところも多いので6位にした。
8番手:ダンビラムーチョ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→631点(8位)、個人的順位→9位
天体観測やYOASOBIのアイドルなどのカラオケ音源をそのままやるというネタ。個人的にこういったタイプのネタの面白さがあまりわからないので低めの順位になってしまった。こういうのが好きな人は好きなのかもしれない。
天体観測の時点で歌の尺が長すぎると思った。その点はツッコミでもうちょっと早く終わらせた方が良かったんじゃないかと思う。基本的に歌だけで漫才として流れの変化がなかったというのも微妙に感じてしまった。
9番手:くらげ(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→620点(10位)、個人的順位→7位
食べたアイスやサンリオのキャラ、口紅などの名前が思い出せず、思い出させるために相方がそれらを列挙するというネタ。
「なんでそんなに詳しいの?」というところに面白さを作り出しているとは思うし、「レ・メルヴェイユーズラデュレ リキッドルージュ」みたいに響きが独特なやつを出した時は面白いと思ったけど、列挙ネタ自体がそれぞれ長すぎると思った。
それゆえに変化が少ないというか、ちょっと冗長に感じた。さすがにくどくてなぜツッコまないのかとソワソワしてしまった。列挙ネタ自体を短く早めに処理してもっと漫才に変化をつけて欲しかったなという感じ。
10番手:モグライダー(1ラウンド)
1ラウンド審査員点数→632点(7位)、個人的順位→10位
錦野旦の曲に対しておかしな要素を見出して、それを面白くネタに昇華するという漫才。
この漫才は単純に面白さがよくわからなかった。モグライダーに関してはそれしか言えないかもしれない。好きな人には申し訳ないけど自分と相性が悪いのか全然面白さがわからなかった。
1ラウンド個人的順位
1位→カベポスター(審査員順位→6位)
2位→令和ロマン(審査員順位→3位)
3位→ヤーレンズ(審査員順位→2位)
4位→マユリカ(審査員順位→4位)
5位→さや香(審査員順位→1位)
6位→くらげ(審査員順位→10位)
7位→真空ジェシカ(審査員順位→5位)
8位→シシガシラ(審査員順位→9位)
9位→ダンビラムーチョ(審査員順位→8位)
10位→モグライダー(審査員順位→7位)
1ラウンドの個人的な順位をまとめ直すとこんな感じとなる。個人的には4位以上はどれも良かったので今でも順番には迷う。最終的には好みで順位をつけたという感じ。ただ改めて見ると1位のカベポスターは好みのタイプのネタだったけど、完成度的にはヤーレンズや令和ロマンの方が上かなという気がした(そういう意味ではカベポスター3位でもいいかもしれない)。
M-1という場は難しいと思う。審査員側としても直球的な笑いと変化球的な笑いを比較しなければならないので、完成度が高い場合、最終的にはどういったスタイルが好きかという好みによって決着してしまう側面があると思う。
例えば年齢層高めの客が多い寄席でウケるネタだったらこの10組の中だとヤーレンズかマユリカが1番だと思うし、もうちょっと若い人が多い場だったら令和ロマンやさや香、カベポスターあたりの方がウケると思う。受け手によってどういう漫才がウケるのかが変わるので後は好みとしか言いようがない面はどうしてもある。審査員側がどう判断しているのかは、評価の部分すら飛ばして見たので知らないけど、異なるタイプの漫才を比較するのって本当に難しいなと思う。
まとめみたいになってしまったが、ここからは最終決戦の漫才の感想や個人的評価を書いていきたいと思う。
最終決戦1番手:令和ロマン
冒頭の掴みで髭ネタを擦る。やっぱりこのネタは定番なのだろうか?この掴み自体は面白いと思う。
ドラマを見ててその内容を人力でダイジェストするという漫才。全体的にわかりやすくキャッチーな言葉が多くて面白いなと思った。
「クッキーに未来はない」「トヨタにこんな人いません」など印象に残りやすいフレーズが多かった。1ラウンドの時も思ったけどこういう印象に残るセリフを作るセンスはすごい。あと吉本の人の動きが好き。
最終決戦2番手:ヤーレンズ
ラーメン屋の店主の漫才。1ラウンドの漫才と同じく全体としての完成度が高いと思った。あとやっぱり楢原さんの演技が上手い。動きやセリフの抑揚のコミカルな感じが洗練されていると思う。
地味なところだけど「赤穂浪士か!」というツッコミや「てやんでい」と「デイアフタートゥモロー」のところが好き。
1ラウンドも決戦も安定感がすごいコンビだった。幅広い世代にウケるコンビだと思う。
最終決戦3番手:さや香
四則演算だけではなく五則目の「見せ算」を作ったというネタ。四則演算でいう「和」「差」「積」「商」のように「眼」があるらしい。
とにかく癖が強い。最終決戦に持ってくるにしては変化球すぎる。比較すると他のコンビが王道系だったので相当目立っていた。この場面でこれをやるという根性やスタンス自体はすごいと思うけど、攻めすぎかなとは思う。
こういうネタだとフリップがないとわかりづらいと思う。一応ついていけたけど、見せ算のルールが多いから面白味よりも困惑の方が大きかった。決勝でこのネタを持ってくるという面白さはあったけど、ネタ自体はそんなに面白くなかったと思う。
最終決戦の個人的順位
1位→ヤーレンズ(審査員3票)
2位→令和ロマン(審査員4票)
3位→さや香(審査員0票)
さや香は置いておくとして最終決戦は個人的にヤーレンズが1位かなと思った。自分の中でもこの2組は接戦だった。ネタのキャッチーさは令和ロマンで完成度はヤーレンズという感じ。ここは完全に好みの差だと思う。審査員でも票が割れていた理由がわかる。
これをどちらが上か決定するのは難しいと思うけど、幅広い世代にウケるのはどちらかと考えたときにヤーレンズの方がわかりやすいかなと思ったので1位とした。
ただ数年後に覚えてそうなのはさや香だと思う。最終決戦であえて意味不明な漫才をするというのは、見ている多くの人の記憶にも刻まれたはずだ。もしかすると接戦で2位になるよりも、さや香の奇行の方が歴史に残るのかもしれない。そういう意味ではすごかった。
総評
久々に漫才の賞レースを本格的に見たけど面白かった。ガチで見るからこそ集中して見れて面白い面があるなと思った。Tverだと敗者復活戦の動画もあるので、せっかくだしそちらも見て感想を書こうかなと思った。
ただ今回の記事は分量が多くなりすぎた。すでに5000文字を超えている(最終的に5900文字程度)。1つの記事でこんなに書いたことは今までにない。敗者復活戦で同じくらいの熱量で書くとなると、組数が倍近くあるので1万文字くらいいきそうだ。流石にそれは難しいのでやるにしても3記事くらいに分けると思う。
とにかく久々に漫才を見てみるのも面白いなと思った。来年もM-1くらいは見ようかなと思う。あとテレビでいうと、もうすぐ放送のSASUKEが楽しみ。
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