【シャニマス】イルミネイベ『絆光記』の感想
※絆光記のネタバレがあるので注意!
シャニマスの新作イルミネイベコミュである『絆光記』を読んだのでその感想を書いていこうと思う。
このコミュは読む前からやたらと評判が良かった。絆光記はTLのシャニマスPたちが話題に挙げる回数も多いので楽しみにしていたが、実際に読んでみると自分としてもとても良いコミュだと感じた。さりげないセリフが全体のテーマに繋がっている部分もあり、月並みな言葉かもしれないけどよくできていると思う。
ここからは良いと思った場面や良いと思ったポイントなどを挙げていこうと思う。
「勝手に助けられた人にされるのが嫌な人」の描写が良い
「勝手に助けられた人にされるのが嫌な人」の描写は面白い。良かれと思ってやったことでもされた側にとっては必ずしも嬉しいとは限らないという、ある行為が受け手にとって様々な解釈をされてしまうというのは価値観が多様化した今の時代にはよく見る光景だろうと思う(今の時代に限らず昔からあるとも思うが広がっているとは思う)。
人によってはこういう人に対して「人の行為を素直に受け取れ!」というように理解できない価値観に怒りをあらわにする人もいるかもしれないしそういう気持ちもわからないでもないが、「勝手に助けられた人にされるのが嫌な人」自身としてもそう感じる自分を嫌悪している面もあると思うので難しい話だとも思う。
何気ない描写だけどこの人の話は今回のテーマを見事に落とし込んでいるように思う。自分もこの人の感性が理解できるし、一般的に良いとされてることでも自分にされると嫌だなと思うことも多々あるので間接的にとても共感してしまった。
ルポライターの話が良い
今回の主役と言っても過言ではない46歳ルポライターの質感がすごかった。漁港近くでのイルミネのワークショップに同行し記事を書くのがルポライターの今回の仕事だが、その際に挟まる本人の心情などがとても正直で生々しさがあり面白い。
ルポライターは今回のイルミネの企画に対し非常に冷めた目線で見ている。漁港でのありふれた田舎体験という使い古された番組の流れ。そういった無難すぎる番組構成に予定調和を感じてしまうルポライターだが、これは自分としても非常によくわかる。番組によるとは思うがこの手の番組は往々にして予定調和だろうし、そもそも番組側が「こういうのでいいんでしょ?」と撮る前から構成を決めて作ってることが多い印象がある。ルポライターもそれを十分にわかっているからこそ番組にもイルミネにも懐疑的な目線を送ってしまうのだろう。
ただそんな中でインタビューの時に灯織から発せられた何気ないセリフを聞いて、ルポライターがイルミネたちを捉えなおす場面は良かった。番組自体は無難な感じに終わってしまったかもしれないが、イルミネの3人は伝わらないということに対してしっかりと考えて、どう言葉を探し伝えるかを模索し続けている。それがルポライターにも伝わったからこそ、ルポライターが奮起するきっかけともなったのだろうと思う。
ここにおいてはどう伝えるかを模索し続けたからこそ伝わるものがあるという思想を感じる。シャニPがルポライタ―に依頼をした理由もルポライターの本を通して本人の真剣な想いが伝わったからだろうし、それと同じようにイルミネがどう伝えるかを模索し続けたからこそルポライターにも伝わったのだと思う。
絆光記では今のイルミネに救われている人たちのために変わらない大切さを説きながらも、その中でどう伝えるかを模索する大切さも描いているように感じる。
現地の女子3とめぐるの対話
漁港近くのワークショップで出てくる現地の女子3とめぐるの話が良かった。最初はルポライターと同じようにこの企画に対して懐疑的な目線を持っていた現地の女子3。めぐるが漁港の何かを褒めてもすぐに跳ね返してしまう描写が何度かあった。
そんな中でふと競争をすることになり「なーんだ人間じゃん」と感じて仲良くなる。その過程がとても良いと感じた。
絆光記では言葉にまつわる問題を描きながらも、結局は当人同士の関係性が重要であることも示唆しているように思う。めぐると現地の女子3の関係性のように良い関係性が構築できれば言葉だけの関係性よりも伝わりやすくなる。それは間違いなくあると思う。
6話の一連の言葉に今回のテーマは詰まってる
今回の話のテーマはこの一連の言葉にすべて詰まってると言っても過言ではない、少なくとも自分はそう思った。
何か言葉を探してもちょうど良いと思う言葉がなかなか見つからないというのもあるし、仮にちょうど良いと思う言葉が見つかったとしてもそれが相手に伝わらないこともある。さらにいえば言葉が正しく伝わったとしてもそれが相手を傷つけてしまうこともある。言葉は便利だけど不便で冷たい面がありあたたかい面もある。そういった言葉にまつわるよくある現象を見事に表している言葉だと思う。
絆光記では全体的にこの言葉で説明されるような現象を描いているように感じた。伝わらない可能性はどこまで言っても残るかもしれないけれど、探し続けるという意思を持つことで伝わることもある。物語を通してそういったことも示唆しているように感じた。
「また喧嘩しましょうね」という言葉の良さ
イベントに付属していたサポートコミュの最後のシーンでルポライターがめぐるに対して「また喧嘩しましょうね」というシーンがあるが、このシーンがとても良かった。
一見すると乱暴な言葉のように聞こえるけど、めぐるとルポライターの間では通じるものがあり、伝わったからこそ温かみのある言葉となっている。単にポジティブな言葉よりもこういった言葉の方が伝われば心地よいものとなる。何気ない言葉だけどテーマが凝縮されている言葉で個人的にはとても良い言葉だと思った。
まとめ
絆光記を読んでしばらく経ってから書いたので、プレイ時の熱量を文に取り入れられなかったという気がしてしまう。そういった点で多少消化不良気味ではあるけど、「『絆光記』は言葉の伝達における周辺の現象を描いている」という自分が思う絆光記のテーマについて書くことはできたと思うのでそれなりに満足している面もある。
『絆光記』というコミュは単純に完成度が高いと思う。何気ない言葉がテーマに繋がっているという、そういった細部が洗練されている。さらに言えば他の人の感想などを見ると自分とは違った観点から語っている人がいたりして読む人によって異なる色彩を見せる。そういった多様さもあり豊かな話だと感じる。自分の感想を書く際に影響されると思って、まだツイッター(X)で感想を見るくらいしかしていないのでこれから本格的に感想を漁ってみようと思う。
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