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【アークナイツ】サイドイベント『ダーティマネー』の感想

アークナイツのサイドイベント『ダーティマネー』をようやく読み切ったので感想を書いていこうと思う。

本シナリオはBSWの面々がデイヴィスタウンという荒廃した街で任務を行う姿が描かれる。主にジェシカが街の人々の交流を通して銀行や政府の考えに疑問を持ちそれに対するジェシカなりのアンサーを示す内容となっている。

デイヴィスタウンが限界都市すぎて酷かった。負債があるとはいえ住民たちを追い立てる銀行などの様子はむごいとしか言いようがない。冬の寒い時期に半強制的に開拓地へと向かわされる住民たちの描写はアークナイツシナリオならではのえぐさを感じた。

シルヴィアのカールへの想いはそこまで掘り下げられて語られなかったけど、銀行強盗をするくらいだから元婚約者として相当思い入れがあったんだろうなと思う。シルヴィアだけでなくレオーネやヘレナ、マイルズなどのサブキャラの描写も良かった。

ジェシカは理想論を掲げているけど共感できる部分も多いなと思う。普通この手の理想論を掲げるキャラは空論すぎて反感を持ってしまう場合もあるけど、テラ世界の場合はいろいろと酷すぎるのでジェシカのような考え(希望)もあってほしいなと思えてくる。ジェシカの考えは理想論ではあるけど真に変えようとしている意志を感じたのでジェシカのことがより好きになったという感じだ。

おそらく読者である我々もジェシカの目を通して実際に虐げられている人を見ることで「世界が酷すぎるしジェシカもなんとかしたくなっちゃうよな」と深いレベルで共感できるから理想論に対する反感が生まれづらくなっているのだと思う。ロドスのスタンス含めアークナイツはこのあたりの共感を生み出す構成が上手いと思う。現実的な世界の非情さもしっかり描き切っているからこそジェシカのような考えに希望を見出したくなるのかもしれない。

ウッドロウとクリフの関係性も良かった。記憶が間違っていなければクリフは90を超えていると言っていたので相当な年齢である。恐らくウッドロウも同じくらいの年齢だということを考えるとどちらも年齢より若々しい感じがする。クルビア独立戦争の描写もちょっとだけ出てきたけど、他に出てきたところはあるんだろうか?自分が読んだ範囲だとあまりなかったところなので現時点でどの程度話に出ているかがわからないというのがある。ヴィクトリアとクルビアの関係はイギリスとアメリカの関係だと思われるので、モデルとしてはアメリカ独立戦争だと思うけどこのあたりの話も気になるところではある。

ジェシカの実家が太かったのは全然知らない情報だったので驚いた。銀行強盗をしても選択次第では刑務所送りにも開拓地送りにもならないというのは凄い富豪である。ジェシカの実家が太いことは他のBSW隊員も知っているらしくBSW内では丁重に扱われているということも示唆されていた。

ただロドスに派遣されていたときは普通に最前線とかに配置されていたよなとも思ってしまう。本人はその恵まれた境遇に対して負い目を感じる部分もあるようなのでロドスのその措置はある意味温情なのかもしれない(ブラックとかではなく温情のはず)。

あと個人的に好きだったのがリスカムやフランカたちのジェシカに対する接し方である。ジェシカが投降するときのリスカムのセリフは涙腺が緩んだ。ジェシカのように涙を流せる人間だからこそリスカムが選んだと言ってくれたというのがとても心に沁みた。全体的にリスカムたちの優しさが伝わってくる話でそういった点が個人的には好み。

今回のシナリオはアークナイツのシナリオの中でも上位の好きさかもしれない。アークナイツ全体として伏線的に大きなものはなかったと思うけどジェシカの想いが伝わってくる良いシナリオだった。荒廃した街ということで暗い話なので足が遠のいて読み終わるのも遅くなってしまったけど読んでみると少なからず希望も持てる話だったように思う。次は『翠玉の夢』かメインシナリオの7章を読もうと思うが、シラクザーノが復刻されたら先にそっちを読むかもしれない(しばらくアークナイツを読んでなかったけどダーティマネーが良かったのでモチベが高まってきた)。

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