【アークナイツ】サイドストーリー『マリア・ニアール』の感想(+赤松林の感想も)
アークナイツのサイドストーリー『マリア・ニアール』とオムニバスの『赤松林』を読んだのでその感想を書いていこうと思う。
『マリア・ニアール』の感想
今回のシナリオの舞台はカジミエーシュ。この国の名前は以前から様々なシナリオで耳にしていたが、実際にその国が舞台となるシナリオをプレイするのは初だ。いや、よく考えると『騎兵と狩人』も舞台がカジミエーシュだったような気もするが、田舎だったし実質初ということにしておく。
カジミエーシュでは騎士競技が盛んということで闘技場で戦う騎士がたくさん出てくる。今回のシナリオの軸となるマリアもそんな中の1人で彼女が実家の栄光を守るために騎士となり戦う姿が描かれる。
今回のシナリオはアークナイツにしては驚くくらい少年バトル漫画風味だった。ギリギリで勝利する感じがジャンプを思わせる王道展開でバトルの内容もどこか既視感があるという感じ。しかし既視感があるからと言って楽しめないということはなく、良い意味で王道を突き通しているため普通に面白く読めた。終盤はアークナイツらしく騎士競技世界の闇といった内容に推移していくという感じもありそういった点も面白い。
メインシナリオや他のサイドシナリオだと戦いの中身よりも戦いを通して世界の悲惨さやそれぞれの想いが描かれるというような描写が多いが、本シナリオでは騎士競技のためか、戦いの中身が綿密に描写されている。二つ名や技名、ギリギリのバトルなど厨二心をくすぐられる演出が多かった。フレイムテイルなんかは完全に強豪校の解説ポジションだしジャンプ系作品の王道演出をほとんどやってる感じがする。
あとやっぱり二アールが来たところで鳥肌が立った。アニメでちょっとだけ出てきたキャラがまさかこんなに強かったとは……アークナイツを知れば知るほどドクターの奪還作戦に参加したメンバーって強かったんだなと感じる(Aceさんも強いし)。
一応二アールが来たという盛り上がりどころはあったけど『マリア・ニアール』だけだとまだ途中という感じが否めないので単体だとちょっと物足りなかったという感じがする。『ニア―ライト』で決着がつくと思われるのでとりあえず評価は保留。
『赤松林』の感想
『赤松林』ではフレイムテイルやアッシュロックなど、カジミエーシュのキャラクターたちについての7つの短編が描かれる。
個人的に好きなのは『大物』と『風にたゆたう』だ。
『大物』は『マリア・ニアール』にて代弁者に任命された後のマルキェヴィッチの話で、今までは生活もぎりぎりだったマルキェヴィッチが理由もわからないまま商業連合会の代弁者になってしまったということに戸惑う様子が描かれる。
話の文脈からしてマリア・ニアールで出てきたチャルニーは消えてしまった様子なので、マルキェヴィッチも失敗すると消されてしまうのかもしれない。このシナリオでは地位が高い人間も結局は大きな構造には逆らえず、苦しみながら世を回しているというようなことを描こうとしている兆しを感じた。マリア・ニアールでは終始チャルニーは悪人という描かれ方がされていたが、チャルニーにもマルキェヴィッチのような戸惑いがあったのかもしれないと思わされる。逆に言えばマルキェヴィッチもチャルニーのようになってしまう可能性があるのでそういった社会構造の仕方なさを描こうとしているのかもしれない(そういうのは好き)。
『風にたゆたう』もマルキェヴィッチやチャルニーのように大きな構造に飲み込まれてしまうプラチナの様子が描かれる話だとも解釈できる。『風にたゆたう』ではプラチナがどうやって今の地位に就いたのかが描かれるのだが、プラチナ(セント―レア)が歩んできた騎士→無冑盟→プラチナ(役職名)という仕事はどれも自由なようでいて、実は全体の社会構造に逆らえず流されるまま仕事を遂行するしかない職業だということが徐々にわかってくる。騎士の時は広告塔として八百長も行うし無冑盟においても社会人のように上からの命令に従い忙しく任務に奔走しなければならない。立場など関係なくそういった仕方なさが描かれるのは生々しいと思う(こういう生々しさが好き)。なのでこの2つの短編が個人的には一番印象に残った。
まとめ
『マリア・ニアール』だけだと中途半端なところで終わってしまったので結局は続きの『ニア―ライト』次第だと思う。途中なので感想を書こうか迷ったが『赤松林』は個人的にも好きなシナリオだったのでとりあえず書くことにした。
『ニア―ライト』にはアーミヤも出てくる様子なので非常に期待している。アークナイツにおいて完全なハッピーエンドは珍しいのでどういった解決がなされるかはわからないが、どうにかうまく収まってほしいなと思う(せっかくだし続けて読もうと思う)。