年に数冊しかラノベを読まない人間が『このライトノベルがすごい!2025』を見て良さげなラノベを発掘してみた結果
11月22日に『このライトノベルがすごい!2025』のTop10が各種レーベルのXアカウントから発表された。マケインの八奈見さんが2位ということで話題になっていたので知っている人も多いと思う。
「このラノ」の雑誌本体は26日発売なので自分も早速買い読んでみた。今回はその感想と、記載されていたランキングにより良さげだと感じたラノベを挙げていきたいと思う。
協力者票について思うこと
まず前提として22日に話題となっていた総合ランキングの結果には協力者票の存在が強く影響しているということを述べておきたい。
協力者票とは毎年恒例の特殊票で、書店員や評論家、ラノベ系インフルエンサーなど、様々なラノベに精通している人たちが投じる票のことである。「このラノ」の総合ランキングではこの協力者票と、WEB投票を行った一般の読者の票が合算されてランキングが作られるという仕組みになっている。
そしてこれは個人の感想だが、この協力者票は体感としてWEB票よりも面白さやその後の人気と相関しないことが多いように思う。WEB票に関してはそもそも一般の読者が投票しているということなので実際の人気が反映された形となる場合が多い。それゆえにアニメ人気に左右されやすかったりとWEB投票ランキングだけを見るとミーハーな順位になったり、流行により移り変わりやすかったりもするが、それでもとても参考になる指標だと思う。実際にWEB票がある程度の期間(数年間)維持されている作品は面白いことが多い印象にある。やはり一般の読者層というある程度の規模に評価されるというのは1つの試金石となるのだろう。
対して協力者票はWEB票に比べると相対的に信用ならない印象がある。協力者票多めで総合ランキングが上位だったとしても翌年になると全然振るわないことはざらにある。面白さについてもWEB票の方が打率が高い印象だ。もちろんWEB票が低く協力者票だけが高い作品の中にも本当に面白い作品もあるとは思う。有識者が投票することにより新作の面白いライトノベルを発掘するという試み自体は重要だし意義はあるということも理解できる。それが原因で読む人もいるだろうし、翌年以降WEB票などに反映され人気となる場合もあるだろうと思う。それ自体は長い目で見れば間違いなく重要ではある。
ただやはり自分のように年に数作品しか読まないラノベ読者の場合は、協力者票よりもWEB票の方が参考になるというのが正直なところだ。現状の総合ランキングはあまりにも協力者票の影響が強すぎるという問題点も抱えているように思うので、ランキングを見る側もありのままを受け止めるのではなく考慮してランキングを見る必要がある。つまりラノベ中級者がより良いラノベを発掘するためには協力者票とWEB票をそれぞれ見た上で総合的に判断する必要があるということだ。
WEB票と協力者票を見た上での面白そうな作品(このラノ2025版)
以上の点を踏まえて、このラノ2025を読み、あらゆる点を考慮して自分が面白そうだと思った作品を以下に挙げる(ちなみに文庫に限定するのでノベルス単行本は含めません。アニメ放送されている作品も省いてます)。
こちら、終末停滞委員会。
誰が勇者を殺したか
魔女と傭兵
お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう: けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?
クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった
週に一度クラスメイトを買う話
死亡遊戯で飯を食う。
これらは基本的にはWEB票のランキングを元にアニメ放送されていない作品を抽出したという感じだ。どの作品もWEB票での人気が高い作品となっている。
この中で一番注目なのは『こちら、終末停滞委員会。』である。
この作品は新作なのにWEB票だけでも相当高い順位となっている。WEB票ランキングでこの作品よりも上位には人気アニメ化作品しかないので実質1位と言っても過言ではないと思う。アニメ化されていないのにこの順位は異様だ。あまりにも順位が高いので気になってしまい既に通販で買ってしまった。実際に読んでみてどうだったかは読んだ後に気が向けば別記事にて語ろうと思う。
『誰が勇者を殺したか』についてはいろいろなところで話を聞く。ラノベ界隈だけでなくその外にも広がっている印象がある。ミステリーとしてよくできているという評判もあるしWEB票についても高めなので面白さはある程度保証されていると言っても良いだろう。恐らく1冊完結だと思われるので読みやすそうでもある。こちらはまだ買っていないが気が向いたら読んでみようかと思う。
『お嬢様系底辺ダンジョン配信者(略)』はタイトルが長いので地雷臭がするが、それでもWEB票が高いのである程度は支持されているようだ。ただこの手の作品は合う合わないは間違いなくあると思う。なので自分に合うかと言われると微妙なところだがちょっと気になる面はある。なので時間があれば読んでみようかなと思っている。
『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』はTVアニメ化も発表されているらしい。本作は去年のこのラノ2024においてもWEB票が多く、今年はちょっと落ちたもののそれでも結構な数のWEB票があるので人気がある程度維持されている作品のようだ。このラノを見る上で前年の数字を見ることは結構大事で、アニメ化前において本作程度の人気を維持しているのはあまりないので期待できるのではないかと思う。今年1位のマケインも去年は文庫総合ランキング35位だがWEB票は結構高い。もしかするとアニメ化されれば『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』もマケイン並みのブームとなる可能性もあるかもしれない。
『週に一度クラスメイトを買う話』と『死亡遊戯で飯を食う。』はどちらも去年の文庫ランキングでTOP10に入っていたので既に1巻を買って読んでいる(週クラの方は2巻まで読了済み)。週クラはディープな百合作品なので評価は人によって分かれると思うが自分は好きだ。今年もWEB票の順位がむしろ高まっているので徐々に人気が出ているのかもしれない。死亡遊戯の方も癖が強いデスゲーム作品だが、勢いがあって自分としては結構好き。ただ拙い部分や勢いに任せすぎている部分もあるのでこれも好き嫌いが別れると思う。どちらも去年に引き続き、今年もWEB票の数値を維持している作品だが、共に癖の強さゆえに固定ファンがついているのかもしれない。2作品とも万人に勧められる作品ではないが、好きな人は好きだと思う。
まとめ
以上が「このラノ2025」を読んで自分が面白いのではないかと見出したラノベである。読んだ作品以外はタイトルしか情報を知らないが、WEB票を重視して選ぶと以上のようになる。上の方にも書いたがもちろん協力者票がまったく信用ならないというわけではないと思うので、WEB票が低く、協力者票が高い作品の中にも面白い作品はあると思う。ただやはりWEB票で上位にくるようなある程度の人数に支持されている作品はほかの多くの人にとっても面白い作品であることは多い。そのため失敗しないのはWEB票を元にした見方だと思う。
本当であれば協力者票のランキング作品もできる限り読んで新しい作品を発掘したほうが埋もれている作品を発掘できるので良いとは思うが時間は限られているので仕方ない。たまには冒険してみるのもいいかもしれないが、なかなか勇気が出ないという面もある(ラノベに限らず小説は評価が定まっている作品や好きな作家を買ってしまいがち)。