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電子書籍では小さい文字は読みにくい(漫画制作の話)

昔より漫画の電子書籍の解像度は上がりましたが、それでも紙の雑誌やコミックほどは解像度は高くありません。
そのため、小さい文字は電子書籍だと文字潰れが起きやすくなります。

最近の漫画は電子書籍版の事も考えて文字サイズは小さすぎるのは使わないよう意識しているのも多いですが、コマ内のセリフ量が多い時などは小さい文字をうっかり使ってしまっているのもあります。
呪術廻戦最終話もやけに小さい文字が多かったです。

そういう作品の場合は、ipadなどのタブレットの大画面では問題なく読めてもiphoneやandroidスマホでは文字が小さすぎて読めなくなったりする事があります。
またipadなどのタブレット端末でも横にして見開き(二ページ)表示で読む場合はやはり文字が小さいと読みにくくなる事が。

「ページを部分拡大すれば小さい文字も読みやすくなる」と言っても、ユーザーの中には横着してページをそのまま表示して読んでいく人が結構います。

今は色々な端末で漫画が読まれているため、スマホなどの小さい端末でもストレスなく読める大きめの文字サイズにするよう、漫画家自身や編集者も日頃から意識すべきだと思います。

漫画の作画は大画面のPCモニターやipadなどのタブレットでやっている人も多いでしょうが、ページ毎のチェックの際に「このページの文字はスマホで小さく表示した時も快適に読めるか?」は意識した方が良いでしょう。


<SNS漫画も転載時に文字が読みにくくなる事がある>

Xやnoteや他のSNSで公開した漫画が情報サイトの担当者から「この漫画を転載してもいいですか?」と連絡が来て、そちらで転載される事は最近よくあるでしょう。

情報サイトの方ではサイドに広告を表示するなどの関係で、転載する漫画は元の画像サイズより縮小してしまう事が多いです。
やはり小さいサイズの文字を使っていると、文字潰れが発生して一部のセリフが読みにくくなってしまいます。

そのため、SNSで公開する漫画も日頃から文字サイズには気をつけましょう。

私はnoteで毎日色々な方の漫画を読んでいますが、「これはスマホだと文字が小さくて読みにくいかも?」みたいに思うのが時々あります。
そういう作品はスマホユーザーの場合は文字の読みにくさで読むのを諦めてしまうという事になりかねません。

文字が小さくて読みにくいとそれだけで読む人をずいぶん減らしてしまう」というのはSNSで漫画を公開している人達は意識すべきだと思います。

読む人が減るといいねやスキ、リポストやリンクでの紹介も減ります。
SNSだけでなく漫画投稿サイトに掲載する漫画も同様。


<背景にかぶせる文字の白フチは幅を大きめに>

キャラクターの今思っている事をセリフにする場合、黒ベタや背景の上などに文字を白フチ付きで乗せる事が漫画ではよくあります。

この白フチの幅についても電子書籍版を考えて幅は太めにしておきましょう。

白フチの幅が細いと、解像度が紙より落ちる電子書籍版では白フチしているはずなのに文字が背景や黒ベタに溶け込んで読みにくくなる事があります。
昔の漫画の電子書籍版では白フチの幅が狭いのもあり、こういう現象を時々見かけます。
黒ベタの上に白フチ文字をかぶせている漫画の一部で「文字があちこち潰れて読めなくなっていた」という作品もありました。

「黒文字+白フチ」だけでなく、白文字をベタの上に乗せるだけの時もその白文字の線の幅が細いと電子書籍版では文字が潰れて読めなくなる事があります。
その場合は文字サイズを大きめにしたり、線が太い字体を選ぶようにしましょう。


<高齢者向けの漫画の注意点>

企業の依頼で商品やサービスを紹介する漫画を描いている人もいるでしょう。

高齢者のお客様も読む漫画の場合は老眼なども考えて文字をだいぶ大きめにしましょう。
また高齢だと脳が衰えている人が結構いるため、セリフについても複雑なセリフではなくシンプルなセリフまわしにした方が良いと思います。

私自身もまだ50歳になっていませんが結構な老眼になってしまい、眼鏡をかけたままだと小さい文字は手元では見えにくいですね。
漫画を読む時は眼鏡を外して読むので問題ないですが。

今後は人数の多い団塊ジュニア世代が50代、60代、70代と高齢化していきますが、子供の頃からよく漫画を読んでいた人達は老人になっても漫画を読み続ける人は多いでしょう。
団塊ジュニア世代は人数が多く、そういう人達向けの商品は大きく売れやすいというのがあります。

「文字は大きめ」「衰えた脳でも楽しめるよう内容はシンプルに」みたいな高齢化した団塊ジュニア世代向けの漫画の制作も今後は検討していってはどうでしょうか。