kindleの漫画一冊11円セールは作者にとってどのようなメリットがあるのか?

これを書いている現在、『極!合本シリーズ 喰いタン』が全巻あわせて100円以下で買える。
合本版は一冊で普通のコミック数冊分を収録したものだが、それが一冊11円という。
漫画自体かなり面白いしお得すぎるので即買っておくべき。

喰いタン以外にもジャンプでやっていた体操漫画の『空のキャンパス』や同じ今泉先生のボクシング漫画『神様はサウスポー』なども同様に合本版が一冊11円。
「子供の頃に読んだ作品だ。なつかしいなぁ。」と思った人は買っておこう。

週刊少年マガジンで当時の全国の不良達をときめかせて累計2500万部以上売り上げた青春恋愛漫画『BOYS BE』も合本版が一冊11円で全巻あわせて200円以下で買えるという。
もうここまで安すぎるとあまり深く考えず速攻で買った人もいるのでは。
他にも色々な漫画が一冊11円セール中なので、アマゾンで「極!合本シリーズ」で検索して「価格の安い順」で表示し、気になった作品はどんどん買っておいたら良いと思う。

自分はこのnoteでも「昔の売れなかった漫画の場合はkindle unlimitedで全巻読めるようにした上で、一冊100円のセールをするとunlimitedで読んで気に入った人がkindle版も買ってくれる」とおすすめした事がある。

あくまでも昔の売れ行きが悪かった漫画に限ってだが、こうやって利益を増やした方が良いと。

ただ、一冊11円まで下げすぎるというのはどうか?
単体で見ると利益はそんなないだろう。
アマゾンだけでなく出版社にもいくらか取られるので、漫画家に入って来る金は余程爆発的に売れない限りはそこまで額が大きくない。

このような一冊11円セールは目先の利益だけで計算するのではなく、もっと別の視点から見てやっているのだと思う。

<作者の知名度アップと他の作品の売れ行きアップ>

1冊11円、巻数にもよるが全巻あわせて200円もしない場合はお得感が強すぎて、多くの人は表紙だけ見て良さそうだと思ったら即購入したり、最初の数巻を試し買いして読み、気に入ったらすぐ残りの巻も買うという事をするだろう。

その漫画家を知らなかった人達にとっては漫画家を知る一つの機会となり、この大幅セールで買った本が元で作風を気に入り、同じ作者の別の作品を買ったり、連載中の漫画を読んだりコミックを買うという事につなげる効果がある。
11円セール単体での儲けは知れていても、結局他の作品の売れ行き増加もあるので全体で見るとそんなに悪い効果ではないと。

<採算は度外視して「より多くの人に読んで欲しい」という考えも>

漫画家はもちろん金を稼ぐために漫画を描いているわけだが、「より多くの人に自分が頑張って生み出した作品を読んでもらいたい」とも思っている。
過去に販売した漫画はもう金をきっちり稼いだものもあり、「お金儲けではなく、自分の作品をもっと多くの人に読んで欲しいから」という気持ちでセールを許可したというのもあるかもしれない。

BOYS BEの作者さんは今癌で闘病中だが、このセールで読む人が増えて「マガジンで読んでたなぁ。なつかしい」とか「当時読んだ事はないけど今はまった」とかそういう声がSNSで増えると作者にとっても活力が沸いてくると思う。

<読者数が増えると評価数やレビュー数も増えて、それによって今後の売れ行きが増える事も>

極端な安値セールで読者数を一気に増やすとアマゾンでのユーザーの評価数やレビュー数も増やせる。
それがその漫画の今後の売れ行きを増やす効果がある。

たとえば評価数が5で文章でのレビューがまったくない作品はなかなか買ってくれない。
でも評価数が100を超えていたり、文章でもそこそこ高い評価のレビューがわりと投稿されている状態になると、それらを見て通常価格に戻った後も「評価良さそうなのでこの漫画を購入してみるかな」と思う人を増やせる事に。

<出版社にとっても11円セールは効果がある>

「極!合本シリーズは時々11円セールをやる事がある」とユーザーが意識するようになると、定期的に極!合本シリーズで出ている色々な漫画をチェックするようになる。
金銭的に余裕がある人はもうセールを待たずに色々買ってしまう人もいて、出版社にとっても合本シリーズの販促効果が期待できる。
ちなみに合本でない同じ出版社の漫画シリーズも一冊11円セールをよくやっている。
 

11円セールはあまりにも安すぎて「もうちょっと高くしても良いよ?」とは思ったりするが、ここまで安いからこそ一気に売れてそれが上記で書いたような色々な効果を生み出すんだろう。
 
出版社でなく自分でkindleで漫画や小説を出している人も、好調に売れているならともかく思ったように売れてない場合はこのようなセールも検討すべき。
一部の作品はかなり買いやすい価格でのセールをすると自分の認知度を高めたり、他の作品の売れ行きを増やす効果が期待できる。
まぁ最初は一冊11円ではなく一冊100円とか150円のセールで様子を見た方が良いとは思うけど。