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「より強くユーザーの心を動かす」を製作者は常に意識する (漫画、小説、ゲーム、音楽、その他)

記事の見出し画像は以前行った京都の伏見稲荷大社で撮影した猫の画像です。


<競争が激化したエンターテインメント業界>

今はエンターテインメントはどの分野もコンテンツが増えすぎて競争が激化しています。

漫画は漫画アプリや漫画掲載サイト、SNSで連載の場が大きく増えた影響で、1990年代とかに比べて大幅に作品数が増えてしまい、漫画制作で食べていこうという人達にとっては生き残りがかなり難しい感じになっているのではないでしょうか。

ゲームもゲーム制作のハードルが大幅に下がった結果、異様なペースでゲームが次々と登場していく感じになり、市場規模は膨らんでも個々のゲームの売れ行きはかなり悪化しています。

音楽や小説、その他のエンターテインメント作品も似たような状況でしょう。

趣味で作品作りをしている場合はともかく、商業でやっていく場合は自分の作品が少しでも多く売れるよう作品作りや作品の知名度アップをしていく必要があります。
そして作品作りの際に気をつける点としては「ユーザーの心をより強く動かす」というのを常に意識する事。

あまり心が動かされない作品の場合、たとえば漫画でそうだと漫画アプリやサイト、雑誌では読んでもらえてもコミックを買ってもらえません。
漫画家はコミックをある程度買ってもらって始めて商売が成り立つのですが、そのコミックがなかなか買ってもらえないと連載は打ち切りを食らうし、そういう作品ばかり描いているとやがて仕事として続ける事ができなくなります。

かなり辛口になってしまいますが、漫画アプリや雑誌で色々な商業漫画を読んでいると、「あまり心が強くは動かされないな」と思う作品がわりとあります。
ほどほどには楽しいけど、そこまで強くは心は動かないというか。

趣味で漫画を公開している人は「ほどほどで楽しい」で十分良いと思いますが、商業で漫画を作っている人はそれではコミックが売れにくくなると思います。


<ユーザーの心を強く動かす作品は売れ行きも堅調になりやすい>

昔や今の人気の漫画作品を色々読むとわかると思いますが、売れ行きが良い作品の多くが「ユーザーの心を動かす力がかなり強い」という風になっています。

感動、ギャグ、ホラー、スリルやサスペンス、癒し、燃える展開、恋愛やキャラクターへの萌え要素、性的な要素など、いずれかの方法でユーザーの心を動かすのですが、その心を動かす力が人気の作品は相当強い。

「この漫画、めちゃくちゃ強く心を揺らしてくるな」と人気の漫画を読んでいる時によく感じます。

心を強く動かす作品は以前にnoteで書いた「名場面がある漫画の力強さ」という記事でも言及しましたが、コミックを買って繰り返し読み返したくなるし、他人にもその作品をおすすめしたくなるので、やはり売れ行きが好調になりやすいのでしょう。



漫画、音楽、映画、小説、ゲームその他、エンターテインメント作品では当然のように「ユーザーを楽しませる」という事を考えながら作っています。
でも今の時代は「ほどほどに楽しませる」ではもう不十分で、「ユーザーの心をより強く動かす」というのを常に意識して作品作りをしないと売れ行きはなかなか厳しい事になってしまいます。

作り手自身が常に「どうやったらユーザーの心をもっと強く動かせるか?」を意識して作品作りをしていかないと、出来上がるのは「ほどほどに楽しい作品」という事になりがちです。
そうなると数多くある「ほどほどに楽しい作品」の中にすぐ埋もれてしまいます。
 

漫画の場合はユーザーの心をより強く動かすにはストーリー構成の勉強や、キャラクターの感情表現力をより高める、萌えとか恋愛系ならより深くキャラにはまらせる方法を試行錯誤する、ギャグならどうやってもっと強く笑わせるかなど、自分が描く漫画の内容にあわせて日々の継続的な研究や鍛錬が必要となってきます。


<SNS用のショート漫画で鍛えてみる>

SNS用のショート漫画はフォロワー数増やしや自分の知名度アップだけでなく、漫画制作の実験や鍛錬の場でもあります。

短いページ数の漫画でもユーザーの心をどうやったらより強く動かせるか?」というのを考えつつSNS用のショート漫画を色々作っては公開していくと、地力がどんどん鍛えられていき、人の心を強く動かす作品作りができるようになると思います。

しかもそういう心を強く動かすミニ漫画というのはバズって閲覧数とフォロワー数が増えやすいという。
ある程度分量がたまったらkindleインディーズでまとめたのを出していくらかの金稼ぎもできるので、自分の鍛錬になりつつ多少の金稼ぎにもなるというメリットがSNS用のショート漫画制作にはあります。

「ここはこうしたらもっと強く読者の心を動かせるのでは?」というのを考えてきちんと修正してから公開した方が己の鍛錬になって良いでしょう。
そういう試行錯誤を繰り返す事が人の心をより強く動かすコツを獲得する事につながります。


<感情の表現力を高める>

同じ内容のドラマでも演技が上手い役者がやった場合と演技が下手な役者がやった場合ではそのドラマで視聴者の心を動かす力もずいぶん変わってきます。

漫画の場合はキャラの演技力によって読者の心を動かす力もずいぶんと変わってきます。
漫画のキャラの演技力を高めるには表情の描き方を試行錯誤したり、仕草とかポーズの訓練をする必要があります。

より強く印象に残る場面にするにはキャラクターに会心の表情をさせる必要がありますが、日頃から表情の練習を繰り返していないとなかなか良い表情というのは描けません。
一枚絵での表情練習だけでなく、漫画の特定のページを抜き取ったかのような複数のコマやページに渡ったキャラクターの感情表現の訓練も時々するべきではないでしょうか。

漫画でキャラが会心の表情をしたシーンでは、読者もふと読み進める手を止めて見入ってしまう事があります。
豊かな感情表現というのは読者を深くその作品にのめり込ませる力があります。

日々の鍛錬によって人の心を強く動かすような表情をきちんと描けるようになると、それは漫画家として生き残るための強力な武器になりえるでしょう。
実際に古今東西の人気の漫画って、キャラクターの表情がかなり上手い作品が多いですよね。
人の心をより強く動かす魅力的な表情をしている漫画が名作には多い。


<「ほどほど」ではもう生き残れない厳しい時代>

先にも書いた通り、今の時代は無料でもほどほどに楽しませる作品が腐るほど存在するからこそ、お金を取る商業で求められるのはより強く人の心を動かす作品となります。
強い感動、強い笑い、強い燃え、強い萌え、強い恐怖やスリル、逆転の快感、その他なんらかの要素でユーザーの心を強く動かす必要があります。


感動させる作品なら「どうやったらもっと強く感動させられるか?」を考え、ギャグ漫画なら「どうやったらもっと笑わせるか?」を考え、ホラーやサスペンスなら「どうやったらもっと恐怖やスリルを感じさせるか?」を考える。
萌えや恋愛漫画なら「どうやったらもっと読者をはまらせるか?」を考え、エロい作品なら「どうやったらもっと興奮させられるか?」を考える・・・・・みたいな感じで作品を作っていく必要があります。

作品制作には締め切りもあるので無限に時間を使えるわけではありませんが、それでも使える時間内でより強く読者の心を動かせるような作品を目指すべきだと思います。
ほどほどで満足せずに。


また、日頃からの継続的な鍛錬や研究も大事です。
人の心をより強く動かすための手法の試行錯誤や勉強、他作品を実際に体験しながら「この作品はこういう方法でユーザーの心を強く動かしているのか」などの研究も日々していくべきでしょう。

心理学を学ぶ事も人の心を動かすためのコツを学ぶ一助にもなるかもしれません。

何らかの漫画を連載中の人達は鍛錬や研究に使える時間は限られていますが、それでも日々少しずつ地力を高めていく事は、競争があまりにも激しくなってしまった今のエンターテインメント業界で生き残るためには必須なのではないでしょうか。

「ほどほどに楽しませて対価を得る」というのが本来のエンターテインメントの姿だと思います。
しかし今はもう競争が激化したために「より強くユーザーの心を動かせる作品を作れる人でないと生き残れなくなりつつある」に変わってしまっているように思います。

趣味の世界での漫画の公開はもっと気楽にやるべきですが、商業での世界ではもう求められるハードルがかなり高くなってしまっているというか。