世界中にある匿名サービス①
みなさん、LINE、Twitter、Facebook、Instagramをどのように使っていますか?コミュニケーションを取るため、趣味のため、人それぞれ違う目的でしょう。
日本独自のSNSアプリも多くリリースされており、中でも現在1990年後半から2012年頃までに生まれたZ世代を中心に、GRAVITY、Yay!、などの匿名サービスが流行しています。他にもzenlyのような友達同士で位置情報を丸出しのサービスもあります。世界ではどんな匿名サービス提供されているのか見ていきましょう。
1,世界から届く手紙を待つたのしさ「SLOWLY」
SLOWLYは香港発のアプリで、世界中の人とスマートフォンで昔ながらの文通、メッセージのやりとりが体験できます。まるで交換日記のようで大人でも懐かしい気分が味わえます。
SNSでデジタルが主流になっている世の中で、秒でコミュニケーションを取るより、時間をかけてゆっくり打ち明けるコミュニケーションが楽しめます。加えてSNS疲れを癒してくれ、意味のある会話を求めている人のために作られました。SLOWLYには主に2つの特徴があります。
まずひとつ目は世界とリアルタイムで繋がっています。自分でアバターを作成後、自己紹介と好きなトピックを登録し、SLOWLYは匿名のアバターで会話を行い、手紙のやり取りも、ユーザー同士の物理的な距離によって手紙が届く時間が変わります。自分のことを知らない相手のプロフィールを読み解き、相手のことを考え手紙を送って返事を待つ。世界の誰かから手紙という経験、不思議な気持ちと期待が高まります。
ふたつ目は、アプリ内で切手を集められることです。各国の人と会話すればするほど切手を集められるのもSLOWLYの特徴です。600以上も切手のデザインがあり、日本なら東京タワーや大阪城をイメージしたモノがあります。自分の切手が増えていく条件も、5か国以上の友だちをつくる、100人以上に手紙を送る、課題をクリアするたび増えていくのでたくさんコレクトしたくなる仕組みです。
このSLOWLYのアプリは全世界でApp Storeのレビューは1万件を超えています。人気の秘訣は、早く返事をしないといけないというプレッシャーもなく異文化交流ができるのです。言語を選択できるので、勉強中の言語を選択することで外国語の勉強にも使えます。趣味について各国の人とゆっくりしたペースで楽しめるのも魅力ですね。
2.誰にも言えない秘密は「Whisper」で
現実世界や他のSNSでは言えない秘密、でも誰かに聞いてほしい......そんな悩みをWhisperが解決します。Whisperはアメリカ発の匿名で何かをささやくことのできる投稿型のSNSです。
テーマは恋愛、ファッション、家族、暗いテーマまで幅広くあり、世界中で大きな反響を呼んでいます。「良く思われたい」「これを言えば知り合いに嫌われるかも」そんな悩みもなく、ありのままの自分の言葉で表現でき、匿名で言えない本音や秘密を打ち明けることができます。現在日本でもリリースされていますが、ユーザーはほぼ英語圏のようです。
使い方は簡単で、画像を選択し、ささやきたい内容を入力するだけ。投稿したささやきは全世界へ発信され、コメントと反応をもらいます。自分しか考えていないと思うことが、実際はみんなの悩んでることと同じであったり。自分はひとりでないことを実感でき、思いつかなかった他人の意見も聞けることもあります。
Whisperは秘密を匿名で共有できるSNS。世界のどこかでわたしの気持ちを分かってくれるひとがいる、という想いを胸に使用してみてください。いままで誰にも言えなかった心の秘密を匿名でささやいてみてはどうですか。
3.懐かしアプリの「Yik Yak」が復活
2010年代の前半にアメリカの学生の間で人気だった匿名アプリ「Yik Yak」は2017年に閉鎖されましたが、4年後の現在に復活しました。ユーザーは匿名のメッセージを投稿すると、半径約8km以内にいる他のユーザーがコメントしたり、評価できるというユニークな設定です。
Yik Yakはアメリカの学生が立ち上げ、全米で最もダウンロードされたアプリのトップ10にランクインしました。しかし、匿名を利用をしたいじめやヘイトスピーチが問題となり、一度閉鎖に。それを解決する施策が施されて、今回新バージョンとしてリリースされました。現在はアメリカしか利用できませんが、今後サービス展開を考えているようです。
このサービスの対象者は学生で、自分の地域の人々の匿名投稿を表示する、利用者の地域のための匿名場所ベースアプリです。イメージするなら匿名Twitterでしょう。しかし、Twitterのようにフォローし合うという機能ではなく、近くで話している内容や起こっていることを発見できるように、GPSとメッセージを機能を組み合わせた斬新なものです。物理的に自分の近くにいる人の投稿が並び、近くで何が起こっているのか、学生であればタイムリーに学校内で何が起こっているのか、身近な話題が一目で分かります。
4.日本で話題になった「Sarahah」
TwitterやInstagramで見たことある人も多くいそうな「Sarahah」と呼ばれる匿名でメッセージを送受信出できるアプリです。
このアプリはサウジアラビア発で、中東や欧米の若者を中心に流行り、日本でも話題になりました。本来の使い方は、同僚や友人から匿名でフィードバックを受けることで、自分の強みや改善すべき点を発見し、今後役立てるといった目的でつくられたアプリです。しかし、日本では有名なインフルエンサーがSNSでメッセージを募集したり、質問に対する回答を投稿したことから、質問募集として使われるようになったようです。
使い方はアプリに登録すると自分専用のURLを発行でき、そのURLにアクセスした人から自分宛てのメッセージを受け取れます。メッセージは匿名で送られるため、誰がメッセージを送ったのかを知ることも、直接返信することもできません。
国によって使い方は異なっていますが、匿名でメッセージを送ることができるという利点を活かして利用者が増加しているようです。
インフルエンサーがファンとのコミュニケーションでSarahahを使うと効果的ではないでしょうか。匿名の性質を利用し、普段コメントができないひとも気軽にメッセージが送りやすいのと同時に、配慮に欠けたメッセージを送る人もいます。使用する人はマナーがない人もいるという現実を理解しながら、使うべきでしょう。
5.社内向け匿名SNS「Blind」
社内向け匿名SNS「Blind」をご存じですか。仕事でFacebookやTwitterを利用すると、出会う機会がない人と繋がったり、ビジネスチャンスにつながったり、実名制でのメリットがあります。
それとは反対に、実名で活用することで、肩書や役職のステータスの公表、上司と部下の距離感、企業内でも本音が話すことができない環境が増加しています。この悩みを解決するために生まれたSNSが「Blind」。アメリカからリリースされ、韓国の大企業のみならず日本でも現在使用されています。実際にアメリカではAmazonが、韓国ではNAVERやLG電子の企業が活用しています。
ユーザーは匿名であるからこそ発信者が判明することなくできる安心感があります。ユーザー登録の際には、勤務先の個人メールアドレスが必要で、ユーザーは会社ごとにコミュニティに割り振られます。社外の人とはやり取りは一切できず、同じ会社のユーザーと、匿名で年齢、入社年次構わず気軽に、オープンなコミュニケーションが実現します。
実際このアプリには何が書き込まれているのでしょうか。匿名を良いことにセクハラや同僚の悪口、給与に対する不満が次々と書き込まれています。しかし、このプラットフォームは社員が悪口をいう場ではありません。社員の言いにくい本音を読み取り、企業データを配信するメディアを通して、他の匿名アプリでは見れない社会をよりよく改善するサービスの立場であります。働き方改革がされている日本で、このBlindを導入すれば、労働環境を改善するための最適なツールになるに違いありません。
まとめ
各国からリリースされた匿名サービスについてでした。匿名をうまく利用して趣味や娯楽に使用できたり、やはりYik Yak,Sarahah,Blindとは匿名のネガティブな部分が多く出てしまう印象がありました。
しかし、そのネガティブな部分を利用すれば良いのです。例えばBlindでは匿名を利用して悪口が溢れかえっていますが、それこそ社員の本音であるのでその本音を読み取り、企業を変えるきっかけになるはずでしょう。
匿名とは、良い方にも悪い方にも転びます。捉え方も人それぞれです。日本でも誹謗中傷があるように匿名は悪いイメージが付きがちですが、実際にはSLOWLYのように懐かしい気分でそれぞれの国の人と異文化交流もできます。このように人を癒したり、自分の居場所を確保できる匿名の良さ、匿名だからこそできるサービスがあることが広まっていくといいなと思います。