001ch レールに乗ったと思ったら
去年21年の、確か春先でしたかね。
新規に劇団を立ち上げる旨の投稿を、ジモティーのメンバー募集カテゴリ内に見付けまして。
雑用とシナリオのお手伝いみたいなポジションで仲間に入れてもらえねえかな、みたいな軽い気持ちで応募したんですよ勢いで、もう外的要因からの刺激に頼んねえと俺駄目だろうなっつって。
で。
主宰の方とリモート面談なんかさせてもらって、ボクとかねー、小説とかねー、書かせてもらったりとかしてるんですよー、つーか書かせてもらってるとかなんでへりくだった言い方しなきゃなんねえのか分かんねえけど右に倣えでそう言っとくか、ええ書かせてもらったりとかしてるんですよー、なんつって眼鏡をくいくい持ち上げながらアピールして、noteのURLなんかも送って。
で、結果一員に加えてもらえる事になって。
演者がお二方と、アピールの場としてYouTubeで動画配信もしていくという事で撮影と編集を兼任される方と、総勢5人で以ての顔合わせの会があって。
劇団名もその場で決めるってえんで俺は超絶意味深長な「劇団常識」という案をこれっきゃねえという気持ちで携えて臨んで。
YouTube用のバラエティ動画を撮るって事で「はぁって言うゲーム」なんかで楽しく遊んで。
或いは明確なビジョンですよ。
主宰の方の、計画力と実行力を備えた情熱に感心しつつ、一つ演劇に向きそうな、それも演者が二人のみだからこそ出来そうな内容のシナリオ案も思い付いてさて、これから面白くなるかもだ、なんて思ってたんですけれども。
結果的にその劇団は起ち上がらなかったんですよ、顔合わせの会から僅か数日後に散開と相成ったんですよ。
けどもうこっちゃ火が点いてる訳ですよ、エレクチオンしちゃってる訳ですよ。
すっかり膨張しちゃった俺の股間のバジルソースはどこにBUKKAKEたらいいのかって話ですよ、君の股間のフェットゥチーネはアルデンテかい?
で。
じゃあもう自分が呼びかけちゃうかっつって、コントグループ起ち上げます、つきましては詰まんねえ己の日常をぶっ壊したい仲間を募集しますっつって、ジモティーに投稿したんですよね。
結果。
自分も思い切って日常を変えてみたいです、憧れます、仕事が忙しいです。なんつって要領を得ない愚痴を漏らしたいだけみたいなメッセージが1件と、たぶん既に芸人として活動されてる方から具体的な活動計画を覗うようなメッセージが1件あって。
その2件に関しては面談には漕ぎつかず仕舞いだったんですけれども。
出役はやらんが動画編集なら手伝える、という方とは直接お話が出来まして、言うて世の中を明るくしたい人を楽しませたいみたいな前向きな気持ちは一切なく根底には復讐心しかありませんよウエストランドじゃないけども、というこちとらの犯行動機に賛同くださる彼女の様子にちょっとした陰性を見て頼もしく感じつつ。
さてじゃあ素敵な共犯関係を築かなくっちゃ、と、肝心の演者探しの方法を模索したんですけれども。
具体的に言えば彼女に座っていてもらうだけで成立するコントの台本を思い付いたけどこれ一本だけでどうすんだ、とか、彼女の容姿に頼って呼び掛け動画でも撮ってみるか、とかですけれどもでも、なかなか正解と思える方法を導けなくって。
そんな折に個人的に、YouTube観賞に溶かす時間がやたらと増えまして。
というのも3年弱勤めたお土産屋を馘になったんですよ、それこそ編集の彼女との面談の際に今さっき社長に仕事辞めろと言われてきたとこだなんて話したみたいな、そんなタイミングで。
都市ボーイズ、あるごめとりい、世の中の闇とそして鬼越トマホーク喧嘩チャンネル辺りを延々と観倒すだけの怠惰な日々を、半年以上も過ごしまして、なんなら年だって明けちゃって、果たして。
ここから少し、当たり障りのないように、そして同時に自分の認識不足を誤魔化すように、共通認識で捉えられてはないと思われる単語をけれども感覚的に扱って話しますけれども。
VHSからエンコードした動画かYouTuberのオリジナル動画しかないと思ってたけど意味のある内容を扱う番組もあるんだと知った訳ですよ、これなら俺にも出来んじゃん、なんておこがましい事を思った訳じゃなくって企画と言うほど独自性のある思い付きじゃないけどテーマを前面に押し出したトーク番組なら俺がやってもいいんじゃね、と思い上がった訳ですよ。
それこそ俺が読んで面白いと思う物語を俺が俺に向けて書くという俺が小説を書く理由と同じ、愛と憎と情と欲に塗れた滋味深い恋愛に於ける失敗談を下世話に茶化しながら掘り下げたらきっと誰が喋るそれも面白い、味のしない夕飯を食う時に垂れ流すに丁度好いそういった番組を、探しても見付からねえならじゃあ俺が作るか、と。
で。
端的に言ったら恋愛トーク番組ですよね、ゲストを招いて話を聞かせてもらうスタイルの。
そのアイデアをちょいと聞いちゃくれないかと、起ち上がらなかったコントグループで動画編集を担当してくれる予定だった彼女に久し振りに連絡をしてみたところ個人で新規のプロジェクトを起ち上げた折で大変に忙しい、そんな暇はねえと順当にお断りされてしまって。
で。
職場で、年上の同性からは反感を持たれ年下の同性からは憧れられ俺みたいな偏屈なおっさんには上から目線で見込みあんじゃんなんて認められそうな、整った見た目からは連想し得ない強い個性を持った娘さんと知り合って、その企画を話して聞かせて一緒にやらないかと誘ったところ興味を持ってくれて。
で。
前の職場で仲の良かった会話スキルの高い女性にゲストで出演してもらえないか頼んだところ、これも快諾してもらえて。
で。
「ダメ恋話で更ける夜」、なんて番組名も思い付いたところから企画の細部も見え始めてきまして。
当初はおっさん向けの、なんなら演歌みたいな方向性を想定してたものの娘さんに友人を誘ってもらいその2人でMCをやってもらったら若年層がゲストに来た場合でも対応出来るぞ、ボカロ曲もいけるぞ、じゃあいっそ2人娘を軸としてレギュラー陣に弟と、お母さん役が出来るメンバーを迎え入れて如何なる層がゲストに来ても対応可能にしようそうしよう、なんつって。
番組上MCは基本2人、ならレギュラー5人の内の誰が出陣するのか、その組み合わせが毎回変わればそうそう飽きられもしない筈、なんつって。
更新が途切れそうな時はラジオ音源でお茶を濁すなんてどうかしら、なにしろレギュラーが5人もいる訳だし、なんつって。
これもうレールに乗ったじゃんと思いましたよね、勝ったじゃんと思いましたよね。
で。
やっぱりジモティーで、YouTube番組を起ち上げますなんつって、ゲストとレギュラーと撮影スタッフを募集しますなんつって募集して。
早速、動画編集の講座を受け終えてこれから実績を作りそれを仕事にしていきたい、みたいな方と面談させてもらう事になりまして。
さて。
あたしその面談の場で彼に告げましたよね。
一緒にやる予定だった娘さん、なんなら彼女が居るからこそ勝算があってこれ起ち上げた企画なんだけれども飛んじゃったんすよ職場から、連絡先の交換もしてないから途絶えちゃったんすよレールが、なんつって。
参加させてもらえる予定だった劇団は起ち上がらず、人が集まらずコントグループは起ち上がらず、なんなら後は日程調整と必要最低限の機材を揃えるのみ、撮影までのお膳立てが揃っていた筈のYouTube番組もまた振り出しに戻っちゃった訳ですよ。
それが今年22年の、3月末くらいまでのお話。
(22.06.17)