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環境にやさしいインキとは?

清澄白河にある製版会社、特殊阿部製版所です。
今回は〔  環境にやさしいインキ  〕についてお話したいと思います。

「インキ」と「インク」の違い

まずは「インキ」と「インク」の違いについてです。
印刷関係のページを見ていると
「印刷用インキ」って言ったり、
「インクジェット用インク」って言ったり、
どっち??ってなりませんか?(私はなりました!!)

インクのインキの違いなんですが・・・ありません!!

ないんです…。
ただ印刷業界では「インキ」とおっしゃる方が多いです。

「インキ」も「インク」もどちらも正しいのですが、
弊社では、印刷会社さま向けの製品を製造販売していること、
また、印刷請負サービスも行っているため、
note内では「インキ」で統一させていただきますね。

印刷用インキとは

印刷用のインキとはどんなもので構成されているのでしょうか?
主に3つのもので構成されています。

● 着色剤(顔料)
● ビヒクル(合成樹脂、油脂類、溶剤等)※1
● 添加剤(潤滑剤、硬化剤等)

着色剤で、色を再現、
ビヒクルで、印刷素材へ色を転移、密着させ、
添加剤で、乾燥性などの印刷適正/効果を調整します。

印刷用インキの中身を図にしてみました

※1「顔料を運ぶ」ことから、ビヒクル(vehicle)と名付けられたようです。 

環境にやさしい印刷用インキ

環境にやさしい印刷用インキ…ということは、
そもそも印刷用インキは環境にやさしくないということになりますね。

そうなんです。現在最も使われている工業用の印刷インキは、
石油系溶剤が含まれており、これは環境にやさしくないのです。
なぜなら石油系溶剤には揮発性有機化合物、
通称VOC(Volatile Organic Compounds)が含まれているからです。

VOCとは大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称のことで、
塗料、印刷用インキ、接着剤、ガソリン、シンナーなどに含まれます。
代表的な物質としてはトルエン、キシレン、酢酸エチルなどになります。
※実は消毒用アルコール(エタノール)もVOCに該当します。

印刷を行うと、
インキ(着色剤/ビヒクル/添加剤)が素材の上にのっかりますが、
このときまだ顔料は素材に密着していません。
顔料を包んでいた溶剤等が揮発することによって、
顔料が素材へ密着し、印刷が完了するのです。

なんとなーく図にしてみました


印刷用インキにVOCが多く使われているのは、
この揮発しやすい(乾燥しやすい)、という特性があるためです。
(印刷しても乾燥するのに時間がかかると、乾燥させるためのスペースも必要ですし、スペースがあかないと次の印刷ができないですよね)。

ただ、溶剤が揮発する際、有害物質が空気中に飛散します。
印刷作業をする人は、この有害物質を吸い込むので健康被害があり、
大気中にはこれがただようので公害が問題になっているんですね。
なので、近年ではできるだけ用いないことを求められています。

印刷工場では健康被害等を防ぐため、防護マスクや眼鏡を用い、排気装置等を完備した室内で印刷を行っています。また、作業環境測定(作業場に有害物質がどれくらいただよっているか)や特殊健診が義務付けられています。

とはいっても、印刷しないわけにはいかない…
そのため、なるべく人体や環境に配慮したインキが開発されています!


大豆インキ(ソイインキ)

インキに含まれる石油成分の一部を大豆油に代えたインキのことです。
ただ大豆インキは「食用の大豆を原料とした、大豆油のみの使用を認めるもの」と定義されており、食用のものを使うということはちょっとエコじゃないよね、ということから、今では非食用とされる他の植物油を使用した
「ベジタブルオイルインキ」の方が主流となっています。

特徴としては
・揮発性有機化合物(VOC)の発生が少ない
・生分解されやすい
・紙のリサイクルに適している
・伸びが良く少ない量のインキで印刷できる
・大豆油の透明度が高いため、色料を最大限に生かした鮮やかな発色が可能
・乾燥に時間がかかる
といった点があげられます。

ベジタブルオイルインキ

インキに含まれる石油成分の一部を植物油で構成したインキのことです。
植物油とは再生産可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、およびそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油と定義されています。

Non-VOCインキ

石油系溶剤を植物油等に置き換えて1%未満に抑えたインキのことです。
ベジタブルオイルインキはそれぞれ基準値(石油系溶剤の使用率がX%未満等)があるので、完全にVOCが除去できているわけではありません。
ベジタブルオイルインキよりさらに環境にやさしいインキになります。

UVインキ

UVインキは、有機溶剤を含まないので、VOC成分が極めて少ないです。
しかしなぜ有機溶剤が含まれてないのに顔料が密着するのでしょうか?
それは紫外線(UV光)の照射によって、
インキ中のUV硬化成分が硬化し、顔料が密着するからです。

弊社では、UVインキを用いてのパッド印刷が可能ですので、
ご希望の方はぜひお気軽にお問い合わせください。


いかがでしたでしょうか?
再現したいデザインや求める品質によって、
印刷方法や選定するインキも異なってきます。

弊社では、お客さまのご要望に合わせて、
印刷方法等をご提案させていただきますので、
どうぞお気軽にお問い合わせください。

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