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最初の四つ葉を想像してみる

わたしの仕事は、受付窓口。
今日も、おじいちゃんおばあちゃんがやってくる。

「これを持っていると彼氏ができるよ」
あるおばあちゃんが四つ葉のクローバーをくれた。
押し花のようにして小さなカードに貼ってある。

「はい、あなたにも」
窓口担当の隣の子も幸運のカードをもらった。

自分で四つ葉を探してカードを作っているのだろうか?
何枚も持っていた。

わたしももう一人の窓口担当の子も既婚者だが、喜んで受けとった。
なんかいいことがありそう。

それからずっと事務服の胸ポケットに入れている。
この四つ葉が幸運を呼ぶ、というより、だからあげるというおばあちゃんの気持ちが幸運を呼ぶような気がする。

このおばあちゃんに会えたことがラッキーだったのでは?
だとしたら、おばあちゃんは歩くラッキースポットだ。

なにをどう積み重ねたらそんな人になれるんだろうか。
きっと、最初はこのおばあちゃんが“四つ葉が幸運を呼ぶ”ということに感動するようなことが何かあったんじゃないかな。
おばあちゃんも誰かにもらっていいことがあったとか、孫の受験のお守りに四つ葉を探して合格して一緒に喜んだとか。

勝手な想像だけど、その最初の四つ葉の思い出をおばあちゃんが大事にしているから、その思いが育ってタンポポの綿毛のように飛んで行っているのではないか、とおとぎ話のようなことを考えた。

でもほんとは別に深い意味はないかもしれない。
ただただやさしいおばあちゃんなのかもしれない。



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