板を切って、暮らしを楽しむ
6歳の息子が「ばぁばんちに行きたい!」と言うので、急遽、実家に遊びに行くことにした。
実家へ帰ると、テーブルの上の飾りがハロウィン仕様に変わっていた。
わたしが「かわいいやん」と言うと、母は下に敷いている畳の板の色が合わない、と納得いってない様子だった。
母「黒い板が合うと思わん?」
わたし「そうね…黒いいかもね…」
母「黒く塗った大きい板あるから切ろうかな~」
わたし「へ~いいんじゃない?」
黒く塗った板って、いったい何に使っていたんだ。
父が大工だったので、母は見よう見まねで棚とかDIYできるようになっている。
何か作ったけど、使わなくなったやつがあるんだろう。
母は、どこからか黒い板を出してきて庭へ出た。
そして、亡き父の残した錆び錆びになったのこぎりを手に持った。
ギコギコと切り出した板の側面は木の色のままだ。
そこに、黒い塗料の入ったスプレーをシューッとかけた。
塗装スプレーとか持ってるの?!
夕方になると母は、庭で乾かしていた板を「置いてみよ」と言って、畳の板と取り替えた。
母「あちゃー、ちょっと短かったね~」
わたし「まぁ、いいんじゃない…?」
飾っている花は庭に咲いていたものだ。
いろんな植物を植えてある。
仕事を引退したら庭いじりを一日中やりたい、と母は言う。
わたしは庭の草むしりを手伝わされた。
息子は自分もお手伝いすると言って、とった草をまき散らかして遊んだ。
母は毎日忙しく働いている。
だけど、こういうことも楽しそうにやっている。
なんかいいな、と思った。
そして、よかったな、と思った。
おわり。