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Appleが最新のiPhone 16シリーズで、新しいA18 Bionicと上位のA18 Pro Bionicチップを投入しました。今回、同じナンバリングで「無印」と「Pro」のチップが登場していますが、この2つの違いについて詳しく見ていきましょう。

A18とA18 Proチップの概要

A18とA18 Proの両チップは、TSMCの第2世代3ナノメートル技術(N3Eプロセス)に基づいて製造されています。これは、M3チップで使われた第1世代の3nmプロセスの進化版で、パフォーマンスの向上と製造コストの最適化が図られています。

A18チップには、2つの高性能コア、4つの効率コア、そして16コアのニューラルエンジンが組み込まれています。ニューラルエンジンは機械学習処理速度が前世代の2倍であり、システムメモリ帯域幅も17%向上しています。これにより、AI処理がより迅速かつ効率的になり、全体のパフォーマンス向上が期待できます。

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A16 Bionic(iPhone 15に搭載)と比較して、A18のCPUは30%速く、5コアGPUは最大40%の高速化を実現しています。さらに、このパフォーマンスは35%少ない電力で提供され、ゲームの持続的なパフォーマンスも30%向上しています。Appleはまた、iPhone 16のマザーボードの熱構造を最適化し、効率的な熱放散を可能にしました。

A18 Proの詳細

一方で、iPhone 16 ProおよびPro Maxに搭載されているA18 Proチップも同じ第2世代3nm技術で作られています。このチップは16コアのニューラルエンジンを持ち、毎秒35兆回の演算を処理し、メモリ帯域幅も17%向上しています。A18 Proは、2つの高性能コアと4つの効率コアを持ち、A17 Proと比較して15%高速化し、20%少ない電力で同じパフォーマンスを提供します。

A18 Proはハードウェアベースのレイトレーシングをサポートし、ゲームや映像のリアルな表現が可能です。これまでiPhone 15 ProのA17 Proチップが必要だったいくつかのゲームも、iPhone 16で動作します。また、A18 ProにはUSB 3が限定されており、ProRes動画の撮影やPromotionディスプレイなど、iPhone Proならではの機能もサポートされています。

では、この2つのチップは何が違うのか?

大きな違いはGPUのコア数です。A18 ProのGPUはA18よりも物理的に17%増加しています。しかし、スマートフォンではGPUを使ったハードウェアレイトレーシングやAI生成の作業はあまり一般的でないため、この差は極めて小さいものとなるでしょう。

むしろ重要なのは、内蔵キャッシュ量の増加です。これは、GPU処理時やAI処理時にも少なからず影響を与えると考えられます。また、ProチップのみがUSB 3に対応している点や、メディア処理系がProチップに限定されていることも見逃せません。

A18で十分か?それともA18 Proを選ぶべきか?

Appleは、A18とA18 Proを直接比較するのではなく、2世代前のA16 Bionicと比較しています。そのため、A18はA16 Bionicに対して30%高速であると発表しています。数値を分析すると、A18はA18 ProのCPU性能に匹敵すると見られますが、A18 Proの方がより大きなキャッシュを持っているため、性能差は最大でも5〜10%程度でしょう。

ただし、A18はA16 Bionicに比べて30%少ない電力を消費します。これにより、バッテリー持ちの面でも新しいA18シリーズは非常に優れています。ニューラルエンジンも両方のチップで同一で、最大35兆回の演算を毎秒処理でき、AI機能に大きな進歩をもたらしています。

ライバルとの比較とスマホの未来

現在のスマートフォンチップのAI性能は、すでにデスクトップクラスと呼べるレベルに達しています。AppleのA18シリーズは、PCのコーパイロットプラスに匹敵するAI処理能力を持っており、スマホであらゆるAIタスクを高速に処理できる時代が到来しています。将来的には、Apple Watchのような小型デバイスでも高性能なAI処理が可能になるかもしれません。

A18とA18 Proの5Gモデムも同一で、おそらくQualcommのSnapdragon X75 5Gモデムを使用しています。これにより、両チップセットはWi-Fi 7およびBluetooth 5.3にも対応しています。

結論:どちらを選ぶべきか?

A18チップセットはA18 Proのややスケールダウン版ですが、その性能は非常に高く、iPhone 16 Proシリーズのほとんどの機能に匹敵します。どちらのチップセットもわずかなダウングレードを除けば、フラッグシップレベルのパフォーマンスを提供しています。そのため、チップ性能にこだわる必要はなく、iPhoneの機能性や価格で選ぶのが賢明でしょう。


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