不動産オーナー探訪記 第3話 ぬ利彦
京橋のオフィスビルオーナー「ぬ利彦」。独特な名称なので記憶されるのですが、実際は何の会社かわからないなんて話を聞きます。実は江戸時代からの超老舗企業です。
その発端は1717年(この年数はあとから出てくる重要ワード) 初代中澤彦七が酒・醤油の仲買人としての醤油の仲買商「塗屋彦七」を営んだのが起源です。日帰りで江戸近郊を往復していたのでその行動力から「天狗の彦七」と称されてましたという事。(超健脚ですね)
2代目は酒の販売を開始、3代目は両替商
ぬ利彦の二代目彦七は銘酒「星の井」を販売。三代目の彦七は両替商を開業。
酒醤油を関八州に販売するようになったほか、両替商の「江戸八天秤の一」として数えられ、諸大名とも取引をおこなうなど、商いを大きく発展させます。
さて、その後のぬ利彦社の躍進としては1890年の終わりに東京卸酒販組合を組成します。その後宮内庁御用達のお墨付きをもらいます。
宝町の町名の由来を提唱
ちなみに、日本橋の「宝町」という名称がついたのはこのぬ利彦が区画整理の際に提唱したのが理由になります。八代目彦七は「国民酒場」を開設と、このエリアを中心に酒造のパイプを強くしていきます。
株式会社ぬ利彦そのものは1948年に設立されて今日に至ります。その後、1962年 第一・第二ぬ利彦ビル竣工。無線車・冷蔵庫による配送業務開始など同社は時代背景に比べて先進的な試みを数多くしていたことが見受けられます。
IBMコンピュータ導入、システム化
1970年にはIBMコンピュータシステム導入。
受注からの商品管理、配送までの業務効率化を図ることから、コンピュータシステムを導入。コンピュータ時代の到来を予想した前向きな姿勢
このあたりの試みから、ぬ利彦社はITの専門サービス「株式会社ぬ利彦ITソリューションズ」設立と酒販店からスタートしてその時代に併せて企業の在り方を変えている柔軟性のある会社です。
歴代の社長は、彦七を襲名するのが慣習になっている。
2棟のハイスペックオフィスビル
オフィスビルとしては2017年 第1、第2 新自社ビルを完成させています。ぬ利彦ビル南館と北館(北館の名称はぬ利彦1717ビル)の2棟を運営管理しています。
ここまで書くとわかるかと思いますが、『ぬ利彦1717ビル』の1717は初代彦七が酒醤油仲買商を開始した年です。
ビルのスペックも非常に高く、テナント用の非常用スペース、免震構造、自然換気に対応、備蓄倉庫、グリッド天井システムやLED照明といったハイスペックな機能。名前からは想像しづらいオフィスビルです。
企業概要
企業名:株式会社 ぬ利彦
所在地 :東京都中央区京橋 2-9-2
代表者 :中澤彦七
業種 :酒類・食品卸、不動産賃貸、運送事業等
コンピュータシステム販売
主な賃貸オフィス:ぬ利彦ビル南館、ぬ利彦ビル北館(1717ビル)
主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます