Location and initiation of degenerative rotator cuff tears: an analysis of three hundred and sixty shoulders.
Kim HM, et al
J Bone Joint Surg Am 92:1088-1096
Abstract
Background
腱板変性断裂は、最も一般的には棘上筋腱を含み、棘上筋挿入の前部で始まり、後方に伝播するという理論が立てられている。この研究の目的は、腱板変性断裂の最も一般的な断裂箇所を決定し、さまざまな損傷サイズに関連する損傷の位置様式を調べることである。
Methods
360肩の超音波検査を行い、完全腱板断裂が272肩または部分腱板断裂が88肩であり、断裂の幅と長さ、および上腕二頭筋長頭 (以下、LHB:long head of biceps brachii) 腱から断裂の前縁までの距離を測定した。損傷部位は、そのサイズ(前後の幅)と範囲(部分的または全層)に基づいてグループ化した。各断裂は、LHBの後方の裂傷の幅と距離を表す連続した数値を統計処理した。
Results
233人の被験者の平均年齢は64.7±10.2歳であった。損傷部位の平均幅と長さは、それぞれ16.3 ± 12.1 mmと17.0 ± 13.0 mmであった。LHB腱から前裂傷縁までの平均距離は7.8±5.7mmであった。さまざまな裂傷群のヒストグラムは、LHB腱の後部15〜16 mmの位置が、後部腱内で最も一般的に断裂した場所であることを示した。小断裂(幅<10mm)と部分的な厚さの断裂の割合は、断裂部位の分布が類似しており、LHBの後縁より約15mm部位が、腱板断裂が最も一般的に始まる場所である可能性があることを示唆された。
Conclusions
腱板断裂は、最も一般的には棘上筋と棘下筋の接合部近くの後部に起こる。複数の損傷部位のサイズにわたる裂傷位置のパターンは、腱板断裂がLHBの後方13〜17mmの領域で起こる可能性があることを示唆している。
感想
高齢者になると、無症状でも腱板断裂が起きている方を多くおられる。診断名が腱板断裂であったり、肩関節周囲炎でも腱板断裂の疑いがあったり、する方のリハビリを担当することは、臨床上よくある。痛み、不定愁訴の訴え方は患者さんそれぞれであるが、一般的な腱板断裂部位を把握して、イレギュラーな症例にも対応できるように努めたい。
引用参考文献
星加昭太:リハビリテーションを進めるための情報収集、肩・肘の画像診断のポイント、超音波、菅谷啓之他):機能でみる船橋整形外科方式肩と肘のリハビリテーション、文光堂、P18-24
次回
7月24日にRotator Cuff Lesions in Patients with Stiff Shouldersについて報告します。
投稿者:小林博樹