身体各部位における可動性-hypomobilityとhypermobilityへの対応肩関節

今回は、肩関節のhypomobilityとhypermobilityについての報告です。

臨床スポーツ医学:Vol 40.No.2(2023-2),126-129.
東北大学病院リハビリテーション部 村木孝行先生

肩関節におけるhypomobilityとhypermobility
 肩関節は人体で最も可動性と自由度が高い関節です。HypoでもHyperでも、どちらでも傷害が生じやすいですが、その原因がHypoなのか、Hyperなのか、を把握することは重要です。どこからがHypoでどこからがHyperになるのか。現在のところ、明確な定義はありません。このような状況の中で、肩関節におけるhypomobilityとhypermobilityへの対応について村木先生が解説されています。

hypomobility
 肩甲上腕関節のhypomobilityを改善するために、まずは求心性が保たれた状態で運動が行われることを目標にアプローチを組み立てる必要があります。
 基本的な順序としては、
①主動作筋となる腱板筋の促通
②拮抗筋のリラクゼーション・筋力強化
の順序でアプローチします。
hypermobility
 肩甲上腕関節のhypermobilityは、主に挙上や2nd外旋、3rd内旋で生じます。hypermobility自体を改善させることは困難であり、極端に制限しようとするとパフォーマンスを大きく損なうことになりかねません。GHが過度に動いているということは、隣接しているScapulaの運動が低下しており、そちらの運動改善を図ることがで間接的にGHのhypermobilityの問題を解決できることが多いです。

臨床との接点 動的安定性
 職場でインソールを検討、作成する機会が増え、動的安定性の評価について考える機会が多くあります。また、体外衝撃波を肩関節に照射する指示を受け、hypomobilityについても勉強しなければいけないと感じております。足関節と肩関節の共通点は、自由度が高い点、相違点は荷重がかかる、かからないという点があります。どちらも動的安定性、hypomobility、hypermobility、について自分なりにかみ砕いて評価につなげる必要があると思います。

感想
 機能解剖学などの知識は非常に大切です。触診技術も大事です。機能解剖、触診技術を学んだうえで、今回のようになかなか表現するのが難しい知見についての報告を読むことは、臨床上、患者様、特にスポーツ選手の傷害に立ち向かう上に、大きな武器になると思いました。視診、問診、視診、フルに活用して頑張って参りたいと思います。

次回:7月10日
Morbidity of long head of the triceps motor branch neurotization to the axillary nerve(腋窩下神経への上腕三頭筋長頭運動枝の罹患率について)

投稿者:小林博樹

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